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その男には気をつけろ!  作者: 夢カモメ
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サクセスストーリー

その男は、

覗き込む様に話かけてきた。


『おやまぁ…随分とやられて仕舞いましたねぇ』


銀縁眼鏡をかけて、髪を七三にキッチリと分けた…


その男はそぼ降る雨を避ける様にコウモリ傘をさし、


ポケットの中から、一枚の名刺を取り出し俺の目の前に差し出した。


そこには…



《悪魔堂》営業部

主任 カモメ



と、書いてある。


ふざけた野郎だ!!

たった今…ヤミ金の取り立てに失敗して兄貴分の雄二さんにボコられたばかりのこの俺を…


からかってやがる。


俺がカモメと名乗るサラリーマン風の

おっさんを、

睨みつけたにも

関わらず。


何も無かった様な

表情のまま…


『そう…そう…

こちらの名刺も出さなければ』と


もう一枚の名刺を、俺の手のひらに、

そっと乗せた。…


その名刺には…


《貴方の人生をプロデュース致します》

と、書いてあった。


『馬鹿にしてんのか!』と


凄む俺に、


『契約者の人生をサクセスストーリーに、乗せて差し上げるのが、当方の仕事と言いますか…


それが…業務内容で御座いまして。』


やっぱり…ふざけてやがる。


これでも、下部組織とは言え、立派なヤクザだ!。たとえ…チンピラにでも、


プライドの一つ位は持ち合わせている。

頭の中にお花畑が満開に咲き乱れているサラリーマン風情になんて、構って居られない。


俺は痛みをこらえて立ち上がり無視を決め込んだ。


カモメと言うおっさんはそれでも諦めない。


『貴方のお名前は?』


『後藤だよ!後藤公明!何かもんくあんのか!?』



『滅相も御座いません。きみあき。とは、公明正大の公明でしょうか?』


『そうだよ!…

公明正大の公明だ』

『成る程…名は体を表すとは申しますが…《美しい魂》を

お持ちですね?


是非とも我が悪魔堂と、ご契約の程を』


『なにぃ!?…

美しい魂だと?

見ての通り俺はヤクザだ!

チンピラだ!


ついでに金もねぇ!クズなんだよ!クズ!』


怒鳴ってみても、哀しいだけだ…


喧嘩しか能の無い

惨めな男なんだよ。


心の中で自分を責めていると、カモメのおっさんが、



『その…惨めな…

喧嘩しか能の無い

貴方の人生をサクセスストーリーに乗せるべく…プロデュース致します。』


おい!俺の心を読んだのか?


それは、口に出して無いぞ!

驚く俺に、


カモメのおっさんは『雨の中じゃ…なんですから。そこのファミレスにでも入りましょう』


呆気に取られている俺は、カモメのおっさんに続きファミレスへ入った。


ファミレスの座席につくと、ウェイトレスが注文を、取りに来た。


二人ともドリンクバーを、と注文をして、カモメのおっさんは二人分の珈琲を持ってきた。


『さて…何処から始めましょうか?』


このカモメと言うおっさんは、珈琲を一口啜り、

開口一番、こう、切り出してきた。


『俺は、まだアンタと契約を結ぶつもりは無い』


『そうですね…

いきなり貴方をサクセスストーリーに乗せると言われたら、そう言う反応をする事が自然でしょうね。』


大事そうに抱えたカバンの中から、

一枚のパンフレットの様な物を取り出し、俺の目の前に俺が読みやすい様にキチンと置いた。


そのパンフレットには、創業千年を越えるわが社には

今までの契約者として、数多の偉人達と契約を結んで来ました。


その中には…


菅原道真


源義経


織田信長


等がいます。

と、書いてある。



『おい!こら!フカシてんじゃねぇぞ!

俺でも知ってる歴史の偉人ばかりじゃねぇか!!』



『左様で御座います。わが社がプロデュースさせて頂く方は、必ず、歴史の主人公へと躍り出て来られます。』



『もし…テメエの言う悪魔堂にプロデュースを受けても、


今の俺には逆さに振っても鼻血位しか出ねぇぞ』


本当にチンピラなんて鼻血も出ねえ


哀しいクズみたいなもんなんだ。


『私共は…成功報酬は頂きますが。

今の貴方からは、

一銭も頂きません』

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