シーズン2 第1話:世界進出の第一歩、バチカンの空をバグらせろ
いつもお読みいただきありがとうございます。『トラックに轢かれたのに異世界転生できませんでした。~現実世界で【才能鑑定】のチートが生えたので、隠れ天才たちをプロデュースして最高に面白い日常を作ります~』、記念すべきシーズン2開幕の第1話をお届けします。
国内での大騒動を終え、いよいよ舞台を地球規模へと移した拓真たち。最初の目的地である「バチカン市国」を舞台に、聖地を巻き込んだ前代未聞の神聖なるイリュージョンを描きました。スケールアップした世界進出編の幕開けをお楽しみください!
「――で、バチカン市国とラスベガスのカジノ王から同時にオファーが来たってわけか」
成田空港の出発ロビー。喧噪と飛び交うアナウンスのなか、佐藤拓真は手元のパスポートと特製のタブレットを眺めながら、れっきとした国際線のチケットを確認した。
その傍らには、それぞれキャリーケースを引きずったお馴染みの面々――超能力を封じる特製チョーカーを首につけた如月蓮、不機嫌そうに巨大なキャンバスケースを抱える蓮見、そしてノートPCを叩きながら歩きスマホに勤しむ九条奏の姿があった。
「国内のネットを焼き払っただけじゃ飽き足らず、今度は本物の歴史的聖地とマネーの都を狙い撃ち? プロデューサー、アンタ本当に頭おかしいんじゃないの」
奏は冷ややかな言葉を向けつつも、口元には隠しきれないワクワクとした笑みを浮かべている。
「褒め言葉として受け取っておく。世界中の退屈しているエリートや大富豪どもが、俺たちの『ファンタジー』を待ちわびてるんだ。行くぞ、今日から俺たちの舞台は地球全土だ」
飛行機の搭乗アナウンスが響く中、拓真たちが向かう最初の目的地は――世界最小の独立国であり、厳格な信仰と歴史の象徴である「バチカン市国」だった。
聖地に降臨する「神の奇跡」
ローマ・フィウミチーノ空港に降り立った一行は、現地警察や教会関係者の目を巧みにかいくぐり、バチカンを見下ろす絶好のロケーションへと陣取っていた。
依頼主である「世界を少しだけ面白くしたいと願う謎の匿名パトロン」からの資金援助は潤沢で、今回の作戦規模は前回の東京ドームを遥かに超越している。
「おい、タクマ。いくら何でもバチカンで派手にやらかしたら、世界中の宗教団体から総スカンを喰らうどころか、本気で悪魔扱いされるぞ」
蓮が冷や汗を流しながら警告するが、拓真は不敵に笑うだけだ。
「悪魔で結構。神様が奇跡を起こしてくれないなら、俺たちが科学と超能力と芸術の力で『現代の神2.0』を降臨させてやるんだよ」
セッティングは完了していた。
奏が世界中の通信衛星を裏口からハッキングし、バチカン市国を包むすべての防犯カメラと監視ネットワークに偽の映像データを上書きする。
同時に、蓮が上空の電離層にミリ単位で干渉し、目に見えない巨大な磁場のレンズを構築した。
「――よし、蓮見。お前の出番だ。あの夜空のキャンバスに、歴史をひっくり返す最高の一色を描いてみせろ」
拓真の合図とともに、天才画家・蓮見がゆっくりと筆を振り上げた。
彼女の【極度没入・狂気的色彩感覚】が極限まで高まり、空間そのものを絵の具代わりにして奔流のような光の絵の具を夜空へと叩きつける。
次の瞬間――。
世界中のキリスト教徒が祈りを捧げるバチカンの夜空に、聖母マリアのシルエットでも、天使の羽でもない。
誰も見たことがない、黄金と漆黒の翼を持った「異世界の巨大な聖獣」の幻影が、圧倒的な実体を伴って静かに降臨したのだ。
「――なっ……なんだあれは……っ!」
警備にあたっていたスイス衛兵たちが、あまりの美しさと神々しさに武器を取り落とし、膝をつく。
バチカンの広場に集まっていた観光客や巡礼者たちは、スマホを掲げることすら忘れ、その奇跡的な光景に息を呑んだ。
世界中のメディアが、またしても突如として発生した「バチカンの異変」を速報で世界中に配信し始める。
大聖堂の鐘が狂ったように鳴り響く中、高台の影からその光景を見上げていた拓真は、深くフードを被りながらニヤリと笑った。
「第一幕、大成功だな。――さあ、次はラスベガスのカジノを派手にひっくり返しに行くぞ!」
日本を飛び出した規格外のプロデュースチームは、地球規模の退屈を次々とぶっ壊していくのだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
日本という狭い枠を飛び出し、今度はバチカン市国という世界の聖地を文字通り「バグらせて」見せた拓真たち。超能力、空間アート、そして世界を欺くデジタルハッキングの合わせ技は、海を越えても健在です。
いよいよ本格始動したシーズン2ですが、バチカンの次は「ラスベガスのカジノ王」との対決が控えています。世界を股にかけた天才プロデュース劇は、ここからさらにハチャメチャでスリリングな展開へと突入していきます。
地球全体の退屈をぶっ壊す彼らの旅を、次回からもぜひ一緒に見届けてください!
それでは、次回の第2話もお楽しみに!感想や温かい応援、いつも本当にありがとうございます!




