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第15話 友達何人できるかな?

「マルタおばちゃん!今日のおやつなぁに?」

「今日はみんなで、ヨルクさん家の庭掃除手伝ったよ」


マルタの姿が見えると、元気よく数人の子ども達が駆け寄ってきた。歳のころは5歳から10歳くらいで、大きな子が小さな子どもの手を引いている。


少しばかり泥で汚れた子ども達の手や頬を軽くはたきながら、にこやかに話しかけるマルタ。


「今日も一生懸命、手伝いを頑張ったんだね。偉いよ!さぁ、今日のおやつはなんだと思うかい?」


「うーん、この匂いは……、クッキーかな?」

「違うんじゃない?リンゴの匂いするよ」

「じゃあ、焼きリンゴだ」

「えー、違うと思うよ。この匂いはね、タルトタタンだよ」


子ども達は一斉にアルマの家の窓辺に行くと、鼻をスンスン動かしては、各々におやつの名前を挙げた。


その様子を笑いながら見ていたアルマが、「正解はアップルパイさ」と告げると、歓声を上げて飛び跳ねる子ども達。


「やったー!マルタおばちゃん特製のアップルパイだ」

「ねぇ、マルタおばちゃん、もう食べられる?」


「ちょっと待ってな。今温めてあげるから。

そうそう、それまで ディセルネちゃんと遊んでおやり」


シェリールの腕に抱えられた ディセルネは、子ども達の好奇心に満ちた眼差しに捉えられた。


「……おぉ、妾と子ども達が、遊ぶのかえ?」

『そうみたい……だな。まぁ、頑張れ』

『もちろん、ヤーナ、其方も一緒じゃろ?

ほら、よく見てみよ、子らの視線の先にあるのは、白いモフモフじゃ』

『……い、いや、俺は遠慮しとく。あんなチビ達から、もみくちゃにされるのは……ちょっと勘弁してほしい』


念話を飛ばしながら、少しずつシェリールの足元に隠れて始めるヤーナ。


『無理じゃな、諦めよ。あの子らの、キラキラした瞳。ヤーナ、妾の代わりに、子ども達の良きおもちゃ……、じゃのうて、良き遊び相手になってやるがよい』


ヤーナを揶揄いながら、口元を楽しげに綻ばせた ディセルネ。

ちょうどその顔を見たシェリールは、何を思ったか「良かったね、ディーちゃん。お友達ができるみたいだよ」とディセルネを地面に下ろすと子ども達に笑いかけた。


「みんな、ディーちゃんと仲良くしてくれるかな?」


「うん、いいよ。一緒に遊ぼう」

「みんなでかくれんぼする?」

「何して遊ぶ?」


「おっ、おぉ、遊ぼうぞよ……」

ちらりと振り返ると、いい笑顔で頷くシェリール。


「シェリールや、何度も言うとるがのぅ。妾は子どもではないぞよ。それに子どもの(なり)をしとるが、妾は子どもの遊びは、ようわからん」

眉を八の字にした ディセルネの手を、右と左から子ども達が引っ張る。


「行こう、ディーちゃん!」

「ねぇ、あの白いワンちゃんも一緒に遊べる?」


1人の女の子がシェリールに尋ねると、彼は足元に隠れていたヤーナをひょいと抱え、子ども達の輪の中に置いた。

「もちろん、ヤーナくんも一緒に遊んでおいで」


『俺は嫌だ!シェリールの裏切り者!』

シェリールに向かってキャンキャン吠えるヤーナの念話は、彼には届かない。


「そんなに興奮して、よほど嬉しいのかな?」

『なぜそうなる!おい、俺をここから連れ出してくれ!』


『ふふふっ。ヤーナも妾と一緒に、子守り決定じゃな』


「ワオーン」

悲しげな遠吠えが、午後の陽だまりに溶けていった。


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