見せたいのは、お前だけ
主人公がユウの2作目
この世界では男が守られるべき存在。
露出なんてもってのほか、強めの視線だけで保護対象に指定されるレベル。
でも、ユウは違った。
「見たきゃ見ろ」主義で、誰に対しても堂々とした態度を崩さない。
──そんなユウが、ある日を境に様子を変えた。
気づいたのは、クラスメイトの少女・イリナ。
彼女はユウの態度に惑わされることもなく、普段から冷静だった。
「なあ、イリナ」
放課後の教室、ユウはいつになく真剣な表情で言った。
「最近さ、お前が他の男と話してんの、なんか気になる」
「え?」
戸惑うイリナに、ユウはスッと制服のネクタイを緩める。
そのまま第一ボタンを外し、シャツの隙間から鍛えた首筋と鎖骨が覗く。
「……俺、お前になら見せてもいいって思ってる。
だから、他のやつ見るくらいなら……俺だけ見とけよ」
一瞬、時間が止まった。
イリナの目が真っ赤になって、手に持ってた教科書が床に落ちた。
「……な、なにしてんの、ちょっと!?」
「色仕掛け、ってやつ。効いてんのか?」
ふざけたように笑うユウ。
でもその目は真剣だった。
「他の女子の前じゃこんなことしねぇよ。
お前が好きだから、やってるんだ」
「……ッ!」
イリナの鼓動が爆音になり、頭が真っ白になる。
その後。
ユウが袖を軽く捲っただけで、イリナがぶわっと赤くなって倒れそうになるのは、もう日常になった。
「俺にとって、この身体って武器だからさ。
使うなら、好きな相手の前だけでいいだろ?」
誰にでも堂々としてた男が、好きな子の前だけで“特別”を見せる。
──それが、彼なりの恋の仕方だった。