17日目~_2
10日程かけて、僕は10000文字程度の短編を書き上げた。
もともと考えていた、大学生の女の子の話だ。でも少しだけ話の矛先を変えることにした。
彼女は姪との交流を通じて、教職を取りたいと考えるようになる。
そこで、彼女は教師も一人の人間であることを理解するようになる。
高校生のころには考えもしなかった視点で教師を見ることになる。
そんな中で彼女には一人の友達ができる。同じ学部で、同い年の女性だ。一緒に出掛けたり、買い物したりする中になる。その友人には恋人がいた。でも彼女は、そんな友人の恋人が、家庭のある人だと知る。友人もそれを知って、付き合っていた。
彼女は友人が幸せになってほしいと思うとともに、現状が良くないと考えていた。
友人の女性は、彼女の言葉を受け止めるが、それでも今の幸せを壊したくなかった。
彼女は友人の為、夏休みを使って一緒に旅をすることにする、教師に感じたようなパラダイムシフトを友人にも感じてほしかった。いろんなものを見て、幸せの形が一つで無いことを知ってほしかった。
「そんな話になってます。」
僕は、親友と早見さんの前で新作の概要について説明していた。
「いいんじゃないか、悪くない。」
親友の言葉にとりあえず安心する。
「よかった、僕もいい出来だと思ってる。」
「はい、いいと思います。」早見さんの方を見ると、彼女も頷いてそう言った。
「ただ、先生の作品にしてはちょっとドロドロしているというか、
読み味が少し変わっているのが気になりました。」
「そこはいいんじゃないか、同じような作品を書くことが作家の仕事じゃない、年月と共に作風が変わるのはよくあることだ。」
「そうですね。」
「しかし、思った以上に早く揚がったな」二人はそう言って原稿をしまおうとする。
「ちょっとまって、最後、すごく気になるんだけど、」
「おまえが完成したからといって見せたんだ、問題ないんだろ?」
「それはそうだけど。」
何か言いたいんだけど、うまく言葉にできない。自分の作風といわれても良くわからない。そんな自分の顔色みて、親友が声をかけてくる。
「それじゃあ、校正は少し止めておく、1ヶ月くらいだったら問題ないから、
何かあったら言ってくれ。」
その言葉に少し安心して、僕は二人を見送った。