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13日目

「………」

「………」

「………」

「………」

四人の間に、緊迫した空気が流れる中、僕は正座させられている。

編集長と師匠が早見さんを引っ張るようにして僕の部屋に押しかけてきた。

そして僕に座るよう命じると、なぜか正座させられている。

「さて、申し開きを聞こう」親友が真面目な編集長の顔で僕にそう訪ねてくる。

「あの、申し開きというのはいったい…?」

「先生、すみません、実は、」

「君に発言を求めていない。少し黙っていなさい。」早見さんが口を開くが、親友に止められる。師匠はなぜか憐れむような目で僕を見ている。

「ちょっと、訳が分からないんだけど、僕は今怒られてますよね?」

「白々しい。お前が作家という立場を利用して、彼女を連れ出そうとしたことは、本人の証言から明らかになっている。」

「私に行ってくれれば、お見合いくらいは紹介できたのに。。。」

どうやらこの二人は僕が早見さんと二人で出かけることを強要したと思っているようだ。早見さんを見ると申し訳なさそうにこっちを見ている。

「あの、裁判長、発言をよろしいでしょうか?」

「許そう」

「誤解があります。僕は強要しておりません、彼女は善意の協力者です。」

「ほぅ、お前のようなオッサンに、早見君が善意で一緒にでかける約束をしたと?」

僕は無言で早見さんを見る。

「はい、裁判長、被告の発言に嘘は有りません」勢い良く早見さんがそう答える。この人、なかなかノリがいいな。

「二人が合意なのは理解した。」溜息をついてそう言うと、僕の方を睨んで裁判長は言葉を続ける。

「ただし、これはコンプライアンス的にはかなりグレーだ、お前が早見君に手を出した場合、私はお前に本物の裁判を体験させてやる。」

「あの、二人とも僕を一体何だと。これでもベストセラー作家でそれなりに社会的地位もあります。そんな迂闊なことはしませんよ。」

そう答えると、裁判長が、今度は早見さんに言葉をかける。

「早見君、彼はぶっちゃけちょろい。手に絆創膏を巻いて、手作りの弁当でも持って行ってやれば、簡単に落ちる。そのため、行動には十分注意するように。」

「わかりました。でも、一応プライベートで行く予定だったので、それほど問題になるとは思ってませんでした、すみません。」

「まて、プライベートということは、休日にこいつと待ち合わせして、出かけるということか?わざわざ時間を取って?」

「はい。」さも当然という顔で早見さんが答える。

「ならば何も問題ない。そうか、まぁ、節度を持ってお付き合いしてくれ。」

こいつ、名誉棄損で訴えてやろうかな。。

そのあと、次の打ち合わせにはキルフェボンを差し入れすることを約束して、この裁判は閉廷となった。

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