第四章 一歩近づいた日のこと
初めてランチをしてから数カ月経っていた。
卓也に横浜のデートに誘われた。
「横浜か~デートの王道だな~」と嬉しかった。
その日は朝から夜まで時間をお互い作った。
私は娘を実家に預けた。
とても爽やかな天気の初夏だった。
横浜駅で待ち合わせた。
お気に入りの白のワンピースを着た。
卓也とのデートのために買った服だった。
卓也はいつも私のことを褒めてくれた。
必ず、素敵な服だねと言ってくれた。
私が言って欲しいことを言ってくれる。
横浜港の遊覧船に乗るとき
卓也は私の手を握った。
初めて卓也の手に触れた。
卓也は微笑んだ。
私も、ちょって照れてしまった。
高校生のデートかよって心の中でツッコミを入れた。
ホテルのレストランにランチの予約してくれていた。
横浜港が一望できる素敵なお店だった。
ワインも飲んだ。
いつものランチより気分が高揚していた。
こんなデートを計画してくれた卓也に
感謝していた。
食事の後、ホテルの部屋に誘われた。
「暑いから少し休んで・・・・」と卓也は言い訳していた。
そんな言葉は耳に入らなかった。
私はドキドキ胸が高鳴った。
部屋に入ってもお互い緊張していた。
でも、この緊張感って新鮮だなと思った。
好意を持っている健康な男女なら
こうなるのは自然なことだと思っていた。
「私、しばらくぶりだからな~・・・」
とお茶目な言い方して緊張を解こうとした。
卓也のキスは優しかった。
私は全身から力が抜けるような感覚がした。
卓也は私の身体を大切な宝物のように
丁寧に優しく愛撫してくれた。
私の身体を綺麗だと褒めてくれた。嬉しかった。
卓也の手はとても温かだった。
唇は柔らかかった。
「麗子さんとこうしたかった」と卓也は私の耳元でささやいた。
「私も」と小さな声で素直に応じた。
その言葉を聞くと卓也は黙って
私を強く優しく抱きしめてくれた。
引き締まった筋肉質な体をしていた。
肌がキレイだと思った。
私は何年もこの感覚を忘れていた。
優しさに包まれた。
全身に心地良さが広がった。
卓也は、私の中を激しく突いた。
その動きに合わせて私も高まっていった。
卓也は私のことを優しく見つめていた。
私も閉じた目を開き、卓也の目を見た。
卓也の目は私を深く愛してくれていた。
言葉がなくてもそれを感じた。
私は呼吸が荒くなっていた。
卓也は最高の瞬間に達するという意味のことを言った。
私も同時にその瞬間を迎えた。
全身に強烈な快感が走っていた。
後から思い出すと恥ずかしいけど
私はとんでもない大きな歓喜の声をだしていた。
卓也の背中に手をまわししがみついた。
体温が上がり卓也と私の汗がまじりあった。
胸の鼓動が激しく高鳴っていた。
至福の時間を共有した。
言葉は要らなかった。