第二章 偶然の再会 そして恋の予感
次に会ったのは
最初の出会いから数カ月経っていた。
卓也が銀行で打ち合わせしている姿を
私が先に見つけた。
本当に偶然ってあるんだと思った。
高校生のようにトキメキを感じた。
私に気づいて欲しくて、卓也の近くで故意に
大きな声で銀行の担当者に挨拶した。
卓也は振り返って私を探していた。
私は気が付かないふり。
卓也は私を見つけて追って来ているの知っていた。
「高柳先生~」って私を呼び止めてくれた。
私のトラップ大成功。
ホテルの素敵なランチをご馳走してくれた。
ワクワクした。
私は、一人でしゃべりまくっていた。
心地よかった。
気が付くと
仕事のことだけじゃなくて
娘のことや生活のことまで話してしまっていた。
卓也は聞き上手で
私がどんなことを言っても善意にとってくれそうで
気持ちがよくて、楽しくて
次から次へ話が止まらなくなっていた。
自分の気分障害のことまで話すことが出来て
気持ちが楽になった。
卓也となら気分障害も克服できるような感覚になっていた。
卓也は気分障害の知識はあまりないようだった。
それが普通だと思う。
今、調子がいいだけであって
私の厄介な障害は
後に卓也を大いに困らせ、傷つけ、振り回すことになったけど。
そんなことに考えも至らず
私は、また逢いたいな~と思っていた。
卓也は、私の心をちゃんと分かってくれたのか
「また連絡していいですか」と言ってくれた。
私は、とても嬉しかった。
あまのじゃくな私は、そんな嬉しい気持ちは抑えて
少し考えたフリなんかして
「いいですよ」と気取っていた。
今思い返すとそんな自分に赤面してしまう。
だって、一方的にあんなに楽しそうに
おしゃべりしていたのに。
何を考えているフリしてんだよって
自分で自分にツッコミをしたくなった。
女って素直じゃない。
「女じゃなくて、私は・・・」が正しい言い方かなと思った。