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第五話

「えっと……それでは第二回企画会議を始めます。最初にプリントの提出をお願いします」


 オフ会の予定を立てた二日後である、金曜日の放課後。

 図書委員である俺は、予定通りに図書室へ招集された。

 どうやら今日やることはそれほどないらしく、プリントの提出と今回の企画全体を通しての役職決めだけらしい。


 ……この間伏見副会長にセクハラ紛いのことをしてしまったからなぁ……。さっさと終わってくれるならありがたい。


「よし、これで全員分集まりましたね。それでは……。ええと、役職決めに移りたいと思います」


 ……なんか、今日の副会長はあまり言葉の歯切れが良くない気がする。

 体調があまり良くないのだろうか?この間もふらついていたし、少し心配だ。


「伏見さん、大丈夫? なんだか昨日から調子悪そうだけど……」


 俺と同じことを思ったのだろう、副会長の友達と思われる女子生徒が話を遮って口を開く。


「い、いえ。大丈夫ですよ。心配をかけてしまってすみません」


 首を横に振って微笑みながらそう返す副会長。

 まあ確かに、よく見てみれば体調が悪いわけでもなさそうだ。前に保健室で会った時は顔色良くなかったけど今めっちゃ健康そうだし。


 なにか楽しみなことがあって、気分が浮かれてるとか?

 ……いやさすがにないか。あんなに完璧な人がそれは考えにくい。



 ──楽しみなこと。



 次第に俺の思考は今週の日曜日のことにシフトしていく。

 ふぉっくすさんってどんな人なんだろうとか、どんなことを話そうとか、当日のシミュレーションを頭の中で妄想する。


 昔っから、学校にテロリストが来たらどう立ち回るかとか、よく妄想しちゃうんだよな。結局そっちに気を取られて、授業とかなんも頭に入ってこないけど──


「──それでは企画担当は黒木場さん、お願いします」

「は、はいっ!」


 急に名前を呼ばれて、思わず返事をしてしまう。

 しまった、妄想に夢中でまたなんも話を聞いてなかった……。


 前のホワイトボードを見てみる。

 そこに書かれていたのは『企画担当:黒木場さん』の文字だった。




 ***




 結局その後はスムーズに役職が決まっていき、すぐに会議は終わった。


 ……またいつの間にか役職が決まってしまった。

 どうやら誰も企画担当になりたがらず、くじ引きの結果で俺になったようだ。

 ……なんか俺ってピンポイントでこういう運だけ悪いな。いやむしろ良いのか?


 まあ決まってしまったものは仕方ない。役職の詳しい説明は来週らしいし、その時にまた考えよう……。


 当面は明後日のオフ会について考えることにする。楽しみなことを考えた方が精神衛生上良いだろうし。


 ということで家に帰り着くまでにも、オフ会のシミュレーションを妄想する。ふふ、ここまで何通りもシミュレーションできてるし、本番はもう完璧だろう。


 もはやなにも心配することもなく、安心してオフ会に臨め──。





「……あっ」





 気づいてしまった。

 俺、オフ会に着ていく服ないじゃん。

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