第十七話
「……なるほど」
そこにあったのは、端から端までズラっと並んだライトノベル。
他にもアニメBDや声優のボイスCD、アニメキーホルダーなどのグッズが所狭しと並んでいた。
「わぁ、凄いです! 私、ここに来るの初めてなんですよ!」
早織さんに連れていかれた先は、オタク系グッズのチェーン店である『アニマート』だった。
確かにここならSNSの俺と一緒に来たかったというのも頷ける。
「俺は何回か来たことあるけど、確かに初めて来た時は凄くワクワクしたなー。なんて言うか、非日常感あるよね」
「はいっ、とてもワクワクします!」
普段周りの目を気にしてしまいがちなオタク趣味も、ここでは人目を気にせずに出すことができる。
オタク人種だけが集まるこの空間に来ると、どうしても高揚感というかなんというか……そういった感情が出てきてしまう。
「……あっ、あれってきつきみのコーナーですよね! 行きましょう、クロノスさん!」
そう言ってきつきみコーナーへと誘導する早織さん。
……なんだか、ふぉっくすさんとまたオフ会をしているような気分になってきた。
もしかしたら早織さんもそう思ってるのかもしれない。
さっきから俺のこと『クロノスさん』呼びだし。
前回はファミレスでただ話すだけだったけど、こうやって色々と見ながら話すのもやっぱり楽しいな。
なにより、無邪気に楽しんでいる早織さんがとても可愛い。
……うーむ。
最近思うけど、俺ギャップ萌えに弱すぎる気がするな。
そんなことを考えながら、ふと商品棚に目をやる。
「……あっ、キーホルダー増えてる」
きつきみはかなりグッズが多い。
いつの間にかキーホルダーやらぬいぐるみやらが増えていることもよくあるのだけど……。
「わぁ、どれも素敵ですね!」
「確かに、めっちゃいいな……」
うーん、どれも完成度高い……。
普段キーホルダーとかはあまり買わないのだけど、これは欲しくなるな……。
「……そうだ、ちょっと待っててくださいね」
それだけ言って、同じキーホルダーを二つ持ってレジへと向かう早織さん。
……ん? なんで同じやつなんだ?
早織さんがレジから戻ってくる。
「お待たせしました。……あのっ、どうぞ」
「えっ?」
……なんで買ったキーホルダーの一つを俺に差し出してるのだろうか。
「その……。これから生徒会のお手伝いしてもらうことのお礼というか……」
「そんな、気にしなくても──」
「いえっ! ぜひ受け取ってください!」
……無理やり渡されてしまった。
昨日の放課後のお詫びとして手伝うことになったんだから気にしなくてもいいんだけど……。
でもなんだろう、凄く嬉しい。
思えば誰かにプレゼントを貰うのなんて久々かもしれない。
「……うん、じゃあせっかくだし貰おうかな。ありがとね、凄く嬉しいよ」
「はいっ! ……えへへ、お揃いですね」
…………。
い、いや!
この言葉に深い意味はないはず!
勘違いするんじゃないぞ俺!
「あ、あはは……。そ、そろそろ帰ろうか」
「はっ、はい。そうですね、帰りましょうか」
……なんだか少し気まずいような、くすぐったいような空気の中、俺たちは駅までの暗い道を歩いて帰るのだった。




