第35話 それぞれの力。
いつもありがとうございます。
読者の皆様には頭が上がりません。
ティアラは早速シビージャから能力を渡された。
3人は共に別々の場所に行き、自分の能力を確かめていた。
「それがお主のギフトスキル「クレアボヤンス」じゃ、どうかな?」
目の前で話すシビージャを見て、ティアラはじっと見つめる。
「大司祭さま、この能力は……凄すぎます」
「そうじゃろう? それと大司祭様なんて堅苦しいのはやめんか」
「なんでですか?」
「お主とわしは兄妹といったじゃろうて、兄さんと言うほど年は近くないがな」
軽い冗談を言ってその場を和ませる、ふふっと小さくティアラが笑った。
「そうですね、ではアレクくんのように私もおじいちゃんって呼んでいいですか?」
「おぉ、そうかそうか。新しく孫が増えたようじゃ」
好々爺としてみせた表情にティアラは涙が溢れてきた。
そのままシビージャ、おじいちゃんの胸へと泣きつく。
「おじいちゃん、おじいちゃん!」
「よしよし、辛いことがあったのじゃろう? 分かっておる、分かっておるぞ……」
ティアラはギフトスキル「クレアボヤンス」を貰い、そしてお爺ちゃんができた。
「他の者たちもうまくやっておるかのぅ」
呟きは一切の憂いもなかった。
町の真ん中でユリアは記憶を追憶していた。
「マリオネットの力、全てを操る力」
開放がなった少女は自分の力を考えていた。
その時町をはしゃいで遊ぶ子供が石につんのめってコケそうになった。
「あ、危ない!」
急いでユリアは子供に糸を放つ、子供は不可解な現象に首を傾げながらも救ってくれたユリアにお礼を言った。
「ありがとうお姉ちゃん!」
「いいのよ、無事だった?」
「うん! お空を飛んだみたいだった!」
「そう、でも危ないから気をつけるのよ?」
「はーい!」
ニコニコしてかけて行く後ろ姿を見て、ユリアも少し微笑んだ。
「空を飛ぶか、中々面白いことを言うわ」
いつもアレクを助けていた、そのことを今更になって思い返す。
子供は空を飛んだみたいだと言った、全てを操るマリオネットの力。
「あれ? もしかして、空飛べるの?」
閃く思考、そうしてユリアは新たな力の使い方を知る。
勇者は町から離れた場所で緑に囲まれた場所にいた。
緑に囲まれるのが好きみたいだ。
「フッ! ハッ!」
一人無心になって剣を振り回す、そんな中で振り回されている聖剣イフタフが無言なのが気になった。
「おいイフタフ、最近喋らないじゃないか? どうした?」
「ん? 少し考え事をしていてな」
「剣でも考えることがあるのか……」
「やかましい!」
やかましい聖剣にやかましいと言われて変な顔をしてしまうラインハルト。
取り敢えず、相談に乗ってあげることにした。
「俺でよければ聞いてやるぞ?」
「へっ! 若造に聞かれても分からんだろうよ」
斜に構えてラインハルトの申し出を断る、逆にイフタフから質問をされる。
「そんなことより、お前さんの方が深刻みてぇじゃねぇか」
「分かるか?」
「俺はお前の聖剣だぜ? お見通しよ」
「はは、そうか。頼もしいな」
「おうよ、大方、力の使い方で考えてんだろ? 教えてやるよ昔の相棒がどうやって使っていたのかをな」
「本当か? 助かるよ!」
聖剣イフタフから当時の大勇者の力を教えてもらうラインハルト。
その力を反復し、己の身に馴染ませる特訓を日が暮れるまですることになる。
勇者は光魔法の力の使い方を改めて知るのだった。
最後にサラは原初の間に残っていた。
一族の秘宝、ケシのバッグを眺めて佇んでいる。
「死なないよな?」
サラは自分自身をバッグに喰わせることを躊躇っていた、だが自分が勇者達の中で活躍していないことも事実。
思い切ってバッグに自分の身を放り込んだ。
「あれ?本当に入れたよ……」
目を瞑った先にあったのは、宇宙のように所々に光り輝く世界。
よく目を凝らしてみるとその一つ一つが財宝だと気づく。
「これがケシのバッグの中か……あれはなんだ?」
光り輝いている中で、一つだけ黒い場所が存在した、サラは何かに惹きつけられるようにその黒い点へと歩いていく。
次第に近づいて行くとその場所には人影が存在した。
「誰だ?」
「ん? あぁここにきた奴が居たのか、久しいなお前は俺の子孫か?」
目の前にいたのは大盗賊のステラ・グラムだった。
どこか飄々としていて髪は青く、格好良いと言うより愛嬌のある人物がいた。
「子孫ってことは貴方がステラ・グラム……」
「そうか子孫が来たか、ってぇ事は俺のギフトを貰いに来たってことだな?」
よっこいしょと胡座をかいていた腰をあげる、そうしてサラの目の前までくる。
「お前がどんな使い方をするがしらねぇ、だが間違えるなよ? この力は身を滅ぼす」
「身を滅ぼす?」
「そうだ、俺のギフトは「オールクリア」全てを消す力だ」
「オールクリア……」
「そうだ、本当に全てを消す。自分さえもな」
「それってどうゆう……」
言うと同時にステラ・グラムの体が薄くなって行く。
「あぁ、そうだった忘れるところだった、いけねえ。お前さんこれを目印にしてここまで来たんだろ?」
大盗賊は後ろを指して話を続ける。
サラもその後ろのものが気になっていたから頷いた。
「いい反応だ、もう気づいてるかもしれねぇがこれはソフィアの左目だ。俺はこのバッグの中に封印している」
「やはりそうだったのですね……」
「その反応だと誰からか聞いたんだろうな。まぁバッグが劣化しない無限収納の秘密はこの左目の魔力を使っているからだ、だから言っておく、俺のギフトスキルは魔力を大量に使う。確かに能力は最強だ、だが使い過ぎるな、それが言いたかった」
次第にステラ・グラムが消えて行く。
最後に一言言葉を残した。
「俺の子孫よ、勝手なお願いだが賢者を、ソフィアのことをよろしくな」
笑顔で消えて行く大盗賊を見てサラは新たに獲得したギフトスキル「オールクリア」を胸に原初の間に戻ったのだった。
進化した能力紹介
名前 サラ・グラム
職業 音消し→オールクリア (進化)
ステータス レベル74
HP 443
MP 543
ATK 134
DFE 221
INT 476
AGE 732
称号 大盗賊の末裔 お宝コレクター 鷹の目 全てを消す力
名前 ティアラ・セドナ
職業 聖女→クレアボヤンス (進化)
ステータス レベル22
HP 157
MP 554
ATK 81
DFE 114
INT 289
AGE 71
称号 神託の巫女 断罪の姫 第一王女 祈りの聖女 全てを見通す力
習得魔法 神聖魔法
✳︎全ての能力が出揃いました、次の話アレクの記憶を最後に能力の変更はありません。
いよいよ、最後の決戦へと挑むことになります。




