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第20話 覚醒する勇者の力。

続きです、よろしくお願いします。

 「なんだど? なんの光だど?」


 怠惰は眩い光の先で何が行われて居たのかを知らない。 勇者が覚醒して次の魔法を獲得したことなんてまるで気付いて居なかった。


「怠惰の使徒「ラドン」よ、仲間の仇取らせてもらう!」


 勇者は先程よりも遅く攻撃を行う、敢えてラドンに時間を与えた。


「うるさいど! インパクト!【衝撃】」


 当然ラドンから強烈な衝撃波が飛んで来る、その攻撃を察知にして隠し切れない笑みを浮かべる。


「掛かったな」


 勇者は目の前にバリアを展開して居た、そこまでは先程と同じ状況、だが掛けた光魔法が重要だった。

 レベル1の分散ではなくレベル2の光魔法。

 新たな勇者が獲得した光魔法。


「リフレクション!【屈折】」


 不可視の衝撃がバリアに衝突する、莫大なエネルギーが可視化できそうなほどバリアとインパクトがせめぎ合う、高音の掠れた音が鳴り、耳鳴りがひどい、変な催眠音波でも流れているのではないか。


 長いせめぎ合いの中、ある一点から頂点を超えて音が徐々に収束してくる、バリアに貼られた一点に。

 遂には音が鳴りを潜め無音を作り出す、異様な光景。

 その中にいて勇者ラインハルトは信じられない事に無傷で存在していた。


「なんで無傷だど? おかしいど!」


 ラドンは異様な現象に首を傾げる、果たしてそんな余裕を見せていて良いのだろうか、衝撃はまだ終わっていないのに。


「余所見していて良いのか? お返ししてやるよ」


 バリアから異常が起こる、怠惰に向けて破壊的な衝撃波が齎されたのだ。


「う? ぼぉあぁ……?!」


 跳ね返された衝撃はラドンの腹部に鋭く跳ね返された、堪らずラドンは腹の中の物を吐瀉物として出してしまう。


「な、なにが起こったど? おかしい、何かがおかしいど!」


 ここに来て足りない頭でも緊急事態を察したラドン、しかし思考する時間を与える愚を勇者は犯さない。


「おい、ウスノロ! もう攻撃しないのか?」


 煽る勇者にラドンは顔を真っ赤にして反抗する。


「おでを馬鹿にしたな! 絶対に許してやらないど!」


 勇者は先程のリフレクションで感触を掴んだ、ラドンは自身の攻撃なら通用したのだ、ならばいけると手を固く握り締めた。


「イフタフ、剣は使い様だと言ったな?」

「あぁその通りだ、どうするつもりだ?」

「何、ちょっと揺れるけだ、許してくれよ!」


 聖剣と会話をしているうちにもラドンがさっきよりも更に力を溜めてインパクトを放とうとしている。

 凝縮されたエネルギーは光を放ちその威力が危険域に達している事を知らせていた。


「これで終わりだど、くらえ! インパクト!」


 圧倒的な質量を持ってインパクトは放たれた。

 喰らえばお終いのラドンが持ちうる全ての力。

 光を放つインパクトを見て勇者は冷静に詠唱を唱える。


「剣にバリアをそして……」


 --バリアの内側にリフレクションを--


 当然バリアは物理だけである、インパクトはバリアを通過した勇者に襲いかかった。

 咄嗟に身体を捻り衝撃を和らげる、それでも流しきれない衝撃が勇者を襲った。

 壁際まで吹き飛ばされる、勇者といえどラドンの攻撃を受けて無事では済まない。

 ガクガクと震える足を元気付けながらやっとの思いで立ち上がる。


「ははっ、思った通りだ」


 しかし勇者は笑っていた、目は一点を見つめている。

 自身が持つ聖剣へと。


「ったく、今回の相棒は無茶をする」

「でもそっちの方があんたは好きだろ?」

「ヘヘっ、違いねぇ!」


 勇者はフラフラと立ち上がる、その手には高速で振動を続ける聖剣があった。


 リフレクションを内側に向けた理由、それはこの振動を作り出す事にあった。

 まず勇者はリフレクションでインパクトを跳ね返した、その威力は堅牢なラドンの体を吹き飛ばす事に成功する。

 あの現場を見て勇者は閃く、インパクトなら通用すると。

 当初の目的はただ相手の力を反射させる事しか頭に思い描いていなかった、勝てはしないが負けもしない。

 相手の魔力切れを念頭に入れた長期戦構想だった。

 それがインパクトが効くとなると話は別、すぐさま挑発を行いインパクトを放つように仕向けた。

 インパクトの力が内包された聖剣は未だに小さくも高速で振動を続けている、ボロボロになって手にした逆転の一手。

  瀕死まで追い込まれてなお、勇者の瞳は宝石の様に輝いていた。


「いくぞ! 怠惰の使徒ラドン! 覚悟しろ!」


 振動を続けて止むことのない聖剣をラドンに向けて思いっきり投げた、今ある力を振り絞ったできうる限りの最高の攻撃。


「そんな攻撃効かないど? ヤケになったど?」


 ゲラゲラと笑うラドンは見下していた、怠惰は勇者が秘めた逆転の一手に気が付かない、やはりオツムが足りない様だ。


「貫け聖剣よ!」


 勇者ラインハルトがそう叫んだと同時に、高速で突き進む聖剣が。


 ラドンの腹を一直線に貫いた。


「? なん……だ……ど」


 硬い防御力を誇るラドンは、ぽっかりと空いた自分の腹を見つめて、理解が追いつかない。


「なんで、おでの腹……が……」


 呆然として無くなった腹を見つめて、最後の最後まで理解しきれずに、その大きな巨体を歪ませてドスン! と大きな音を立てて前のめりに倒れ込んだ。


 驚愕な顔を貼り付けたままで死んだラドンを見送ると、湧き上がってくる二つ名を倒した事による達成感と高揚感。


「はぁ、はぁ、勝った……勝ったぞ! 俺は二つ名を倒したんだ!」


 勝利の甘美に酔いしれる勇者も既に限界を迎えていた、勇者になってから見せたことのなかった心の底からの笑みを浮かべて、パタリとその場で嬉しそうに倒れていった。


 怠惰の使徒「ラドン」を撃破致しました。


 獲得「インパクト (Impact)」


 頭の中に心地の良い事実が流れる。

 勇者の右手に緑色の光が灯る。


 この日勇者は一人で二つ名を撃破すると言う偉業を成し得るのだった。



 名前 ラインハルト・ミュラー

 職業 勇者

 ステータス レベル97

 HP 994

 MP 295

 ATK 887

 DFE 801

 INT 367

 AGE 590

 称号 剣聖 光の任命者 王国の守護者 不屈の勇者

 光魔法レベル1 分散 (ディスパーション)

    レベル2 屈折 (リフレクション)

 解放能力 バリア【障壁】(Barrier) 

    インパクト【衝撃】(Impact)

    ハーベスト【収穫】(Harvest)

 隠しスキル 奮起する魂 (ブレイブハート)

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