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「あれが、選抜試験だっただと?」
「そうだ。この先にいる毒草を制圧するには、俺の『毒』に耐えきれる毒消しであることは最低条件だったんだ。そのついでに他の役に立ちそうにない毒草も殺させてもらったが」
はらわたが煮えくり返るが、それでも今はそんなことで争っていられる場合じゃないらしい。俺がさっきまでいたあの地獄にいることすら、許可されなかったやば過ぎる毒草たち。そいつらの元に、これから俺達は足を踏み入れるのだから。
* * *
自身の毒が全く聞かない綾崎を見て、神月はあっさりと態度を入れ替えた。
俺には話さなかった、神月がこの施設に来た本当の理由。可能な限り毒草を殺すことや、ムクロの『祈願』を習得することは実際目的だったらしい。だが、それ以上の目的が奴にはあった。
それは、この施設とは少し離れた場所で一斉に反乱を起こした『毒草』討伐の仲間集め。
この施設に集められた『毒草』及び『毒消し』には、実のところ一つ共通性がある。それは普段の気性が荒くないこと。元々人を殺すことに積極的な者や、自身の『毒』に関係なく人に危害を加えることを好む者は、『毒』を高めるための実験には使えないとして別の施設に隔離されていたという。
要するに、『毒』もそうだがそれ以上に凶暴性のある危険な奴らが収容された場所が存在しており、そちらの施設が現状壊滅状態らしい。
幸いにもそのやば過ぎる毒草どもの施設外逃走は防げているらしいが、施設内のカメラなどが全て破壊されてしまっているため、内部の情報がさっぱり分からなくなっているとか。中には毒草だけでなく、彼らの管理を行っていた職員もいるため、このまま放置しておくわけにもいかない。
しかし相手は人を狂わせる毒を持った怪物たち。問答無用の爆撃や発砲で殺すことなら可能かもしれないが、施設の運営者共は職員の救命を行いつつ、さらに『毒草』自体もできるだけ殺さずに再収容したいらしい。
そうなると普通の人間にはほぼ不可能な行為となる。
彼らの毒に対し耐性があり、ある程度の強さを持っている者が必要不可欠。
そこで綾崎及び、使えそうな毒消しを求めて神月は遣わされたらしい。
因みにどうして俺に真実を話さなかったかと言えば、俺の毒耐性がどの程度か分かっていなかったかららしい。もし大した耐性がなかった場合は、置いていくつもりだったとか。
正直俺としては、色々と納得がいっていない。なんで俺が誘拐された直後にそんな事件が起こったのかとか。そんだけヤバい事件が起きていたのに、こっちの施設の毒草どもを殺したり俺に嫌がらせをしてきたのはなぜか。結局神月は何者なのか。というかいい加減俺をここから解放しろって問題とか。
しかし今の俺に、この理不尽な物語を止める力はない。流されるままに、そのヤバい毒草どもが待つ施設に向かうことになってしまった。




