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人人人皿毒  作者: 禍影
2日目

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 てくてくとウサギの人形を引きずりながら歩くムクロの後ろを、俺はぼんやりしながらついていく。

 つい神月の発言に苛立ち、この施設を作ることとなった元凶――かもしれない少女と会話したくなった二分前。その瞬間から二分経ち、なんとなく落ち着いてきた俺は絶賛後悔中だった。

 ――なんで会いたいとか言っちまったんだろ。

 運よく南方や水木、綾崎とはそんな危険なことになる前に話を終えられた。しかし、これから会おうとしているのは、おそらくこの施設に存在する最狂最悪の化け物である。

 まあここから出るためには勿論会う必要のある相手だろうし、準備や対策だってどうせ大したことはできない。だから別にいつ会ってもいいと言えばいいのだが、勢いだけで会うとか決めてしまったのはどうなのか。せめてもう少し心の準備をしてから挑むべきだったんじゃないか。今更ながらグダグダと会いたくない気持ちが溢れてくる。

 そんな思いを抱えつつ、俺は改めて目の前で紫のツインテールを揺らす少女に目をやった。

 やっぱり会うのはやめた、と言えば、おそらくムクロは反対などしないだろう。だがいくらこいつが見た目も中身もヤバい奴だとしても、俺のわがままに何度も何度も付き合わせるのは流石に気が引ける。

 もう腹をくくるしかない。どうせこんなことを考えてるうちに、マリアのもとに着いちまうだろうし。

 そんな考えを見透かすかのように、タイミングよくムクロは立ち止まった。

 急に立ち止まったムクロに追突しそうになり、慌てて後ろに体を引く。が、兎の内臓を踏みつけてしまい、盛大にスっ転んだ。

 そんな俺をうつろな目が不思議そうに捉える。

「何をやってるんですか睦雄さん。着きましたよ」

「お、おお。ここにいんのか……」

 俺たちの目の前には、他の部屋にあったのと同じドアノブだけがついた真白な扉。

 しかし、その先には十年以上ここに住むという化け物がいる部屋がある。

 俺は覚悟を決めてドアノブを掴むと、一息に開けた。

「な……」

 開けた直後、目に入ってきた部屋の光景に言葉を失う。

 白ばかりの異空間にあってなお、それをまだましだと思わせる異常性を醸し出す部屋。

 他と違わず一見白で覆われたその部屋は、床以外の全てが鏡張りの部屋だった。


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