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わけが、分からねえ。
周りに動くものが誰もいなくったその場所で、俺は力なく座り込んだ。
こんなおかしな場所に拉致監禁されただけも頭が狂いそうだった。ドクロ女のおかげで何とか拉致された理由や、この場所の存在意義を知り多少は頭の混乱も抑えられてきた。なのに、そのドクロ女が唐突に殺され、彼女を殺したネズミ男もどんなわけか死んでしまった。
一体何が起こってるのか。
どれだけ常識が通用しない場所だというのか。
どうして俺がこんな目に遭わないといけないのか。
――本当に、訳が分からない。
実はこれは夢で、寝て目を覚ませば家のベッドの上にいるんじゃないか、なんて考えてしまう。
ああもう、死ぬほど疲れた。
俺は仰向けでその場に横たわる。周りに死体が二つもあり、強烈な血の匂いが漂っていて、眠れる気は全くしない。だったら移動しろという話だが、それ以上に動くことが億劫だった。
眠ることも、起き上がることもできず、なんとなく天井を見つめ続ける。
しばらく動かずに横たわっていると、不意にガスのようなものが部屋に流れ込んできた。かなりの勢いで部屋に充満していく白いガス。それが危険なものなのかどうか分からなかったが、どちらにしろ逃げる気は全く湧いてこない。もしこれが殺人ガスだったらそれはそれでいいかという、無気力感に支配されていた。
抵抗することなく、体に入り込んでくるガスを受け入れる。
すぐに、俺の意識は暗闇に落ちていった。




