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八百万が祭る 準備不足は否めない  作者: 東東
【第一章】出来てる準備はありません
4/22

「あのっ、もしかして、黒蛇の神様にも、色々種類があるんじゃないですか? それで、僕達のイメージはその一部の黒蛇の神様のイメージってだけなんじゃないかなって」

「あぁ・・・、みーさんと同じ種類の黒蛇の神様と、全然違う種類の黒蛇の神様がいるってこと?」

「それっ、ありなんじゃねっ? ほら、よくさ、悪そうに見えて、実は良い奴ってパターンあるじゃん!」

「そう、ですよね・・・、じゃあ、ちょっと黒い蛇の神様で検索してみたらいいのかも・・・」

「だよな!」


 三人の意見が一致したところで、それぞれが携帯を手に検索を始める。黒蛇の神様にはどういう神様があるのか、それぞれに思い思いのキーワードを入れて始めた検索は、しかし漠然としていた予想より、目的の結果を得るのは遙かに難しいことにすぐに気づく羽目になる。

 知りたかったことは、黒蛇の良い神様の事、そういう神様がいるのかどうか、いてくれるならどこにいるのか等だったのだが、黒蛇の神様、と入れただけで無数の情報が出てくるわりに、知りたいことがはっきりするような情報がなかなか見つからないのだ。

 色々な神様の名前も出てきて、その由来お出てくるのだが、しかし単純明快に『黒蛇の良い神様です』と載ってる情報が見つからない。正体が黒蛇の神様というのはいても、良い神様、と名言していないのだ。どういう力がある神様という明記はあって、それが人間の為になる力だとしても、その神様の行いには大抵、良い事もあれば悪い事もあって、良い神様だと断定させてもらえない。

 しかもこれは当然といえば当然のことなのだが、神様という存在に全く詳しくないので、ネットに載っている情報がどこまで正しいのかどうかが分からないのだ。本当らしいことが書かれているサイトは多々あるのだが、それらしいだけなのか事実なのかをどうやって判断したらいいのかを判断出来ない状態で。

 たとえば、真偽のほどが分からなくても、分かり易く求める神様だと書かれていたら、その情報に飛びついていただろう。しかしそういう飛びつけるような情報すらないのだから、ネットの世界で迷子になるしかなくなってしまう。迷子になって、そして・・・、とにかく近くの仲間に、しがみつくしかなくなってしまう。

 最初に限界を感じて手を伸ばしたのは、やはり順当なところで、芦だった。


「・・・リンゴくれる蛇は、やっぱ悪い奴で、みーさんの仲間じゃないよな?」

「ってか、それ以前に、日本の宗教じゃないだろ」

「あと、夢で見たら健康に注意って書いてあるページが結構あったんだけど・・・」

「そのページ、僕も見つけましたけど・・・、あの、占いするわけじゃないんで・・・」

「・・・とりあえず、言えそうなことを言ってみたんだけど・・・」

「いや、全然言えそうなことじゃなかっただろ」

「井雲さん! 止めてあげてください! 芦さんだって辛いんです!」

「・・・気を遣わせてすみません」


 芦が伸ばした手は、井雲にあっさり振り払われ、宇江樹にやんわり退けられた後、井雲のあまり冷たい突っ込みを見かねた宇江樹が、包み込むようにしっかりと握り締めてくれる。

 知り合って以来、幾度となく差し伸べてくれた救いの手をしっかりと握り締めながら、芦はもう恒例となってしまっている謝罪を宇江樹に捧げるより他に、出来ることはなかった。

 ・・・ただ、出来る事がないのは芦だけだったようで、その間も検索を続けていた井雲と宇江樹は、一つの結論に向かい始めていた。芦だけを、一人残して。


「なんか・・・、やっぱり、検索するキーワードが少なすぎる所為か、情報が絞れませんね。どれを選べばいいのか、どれが正しいのかが判断出来ません」

「これって思えるキーワードがあれば、それに該当する情報だけに的を絞って、本当なのか違うのか調べられるもんなぁ」

「黒蛇、良い神様、以外に何か、要りますよね」

「でも、だとしたら何がいるかなぁ・・・、お堂って入れても仕方ないだろうし・・・」

「とりあえず、俺を仲間に入れてほしい感じなんだけど・・・」

「それ、入れて何かの足しになんの?」

「井雲さん! 芦さんは僕達の大事な仲間ですよ! 足しになるかどうかなんて、そんな薄情な計算、必要ありますかっ?」

「・・・うーさんの優しさが、変なところが尖っていて痛い」

「えっ? 何がですか?」


 あと少しで少し前の再現に近い状況、つまり救いの手を差し伸べる宇江樹とそれにしがみつく芦という光景が現れる一歩手前の状態だったのだが、幸か不幸か、切りがないとしか思えない光景が再び現れることはなかった。

 理由は、宇江樹の力の限り振り回された優しさが激しく芦にぶつけられてしまったからだ。

 何がなくとも貴方が必要です、という気持ちは美しいのかもしれないが、貴方は全く役には立ちません、と断言されているのに近いニュアンスでその美しい精神を示されるのは、激しい優しさ、とでも言うべき矛盾そのものだったりするのだろう。その矛盾を突きつけられた人間が、痛みを感じるほどの矛盾。

 しっかり痛みを感じて、深いダメージを示している芦の様子に、その意味が分からない宇江樹は当然、驚きの声を上げるのだが、芦も井雲も宇江樹にその矛盾を説明は出来ない。主に、精神的な理由で。

 その為、心配そうな色と不思議そうな色を混ぜ合わせて小首を傾げる宇江樹を、やんわりとした半笑いの表情を浮かべて誤魔化しつつ、井雲は仕切り直すように話を再開させる。調べることすら行き詰まっている現状をどうにかするべく、考えながら。


「みーさんと同じ種類の神様だって、分かるような何かが他にないとってことだよな・・・」

「そうですね、でも、それってどんな情報があれば分かるのか・・・」

「ってか、そもそもみーさんがどんな種類の神様かって聞かれたら、黒い蛇の神様、しか答えられないんだから、他の情報で探せないんじゃない?」


 ・・・時が、数秒止まった。

 しかしそれは、いつもに落ちてしまう沈黙ではなく、また、再開したくない会話、その再開の重責を負いたくないが故の押し付け合いのような沈黙でもなく、衝撃による不慮の事故、もしくは事態による沈黙で、しかも三人の内、その衝撃を受けているのは井雲と宇江樹の二人だけだった。

 何故他の二人の時が止まってしまったのか理解が出来ない芦は、訳が分からず二人の顔を交互に伺っている。

 そう、先ほど会話に戦力として参加させてもらえなかった芦は、とにかく今度は会話に他の二人と同じレベルでしっかり混ざりたいが故に、遅れを取るまいという感情だけで思いつくままの台詞を発しただけだったのだ。

 だから、特に深く考えることもなく発したそれは、自分で発した言葉でありながら、あまり深く吟味されておらず、その意味を発した本人が理解していなかった。

 ただ、その言葉は深く考えずとも口に出来てしまうような単純なものでありながら、その単純さ故に見過ごされていた道筋を示すものでもあったのだ。


「・・・みーさんの仲間になってくれる神様を探すんだから、みーさんが何の神様かって情報が最初に必要だったんだな、そういえば」

「ですよね・・・、僕達、よく考えたらみーさんのことも良く分かっていなんですし・・・、一番最初に確認取るべきなのは、その点でしたね」

「あっ! そういうことっ?」


 肩の力が抜けたように、半ば独り言めいた口調で呟く芦に宇江樹、その二人の呟きを聞いて、ようやく先ほどの自分の発言の意味に気づき、理解と衝撃を受ける芦。

 一拍の間を置いて、三人はそれこそ示し合わせたようにみーさんを見つめた。全身、黒い鱗柄がうっすら浮かぶ肌を持つ、可愛らしい子供の神様。三人が持て余すご利益をもたらし、東狐達に狙われている神様。あの、所有者が誰なのかも分からない土地のお堂に住んでいるらしい、神様。

 そして持って来たお堂に一度も入ってくれない神様。

 唐揚げが好きで、甘い物も好きで、何故かワイドショーも大好き。特に芸能ニュースを好きになってしまった、ちょっと教育上どうなんだろうと心配な神様。純粋で、人間が喜ぶと嬉しそうにし、芦達を大好きでいてくれているらしい神様。


 ・・・でも、具体的な由来や正体が一切分からないままの神様。


 みーさんの蛇の姿を実際に目にしたのは芦だけではあるけれど、今、鱗はある状態ではあるが、それでも人の子供の姿を取っているみーさんがの正体が、黒い小さな蛇であるということは、その鱗と芦の証言だけで他の二人も疑う気は全く無いほど信じている。

 信じてはいるのだが、しかしそれは逆を言えば、みーさんの正体が分かってしまっている、という印象を三人が持ってしまっていた、ということでもあった。

 実際には、正体は分かってもその他の具体的な諸々は何一つ分かっていない状態だというのに。

 何故あの場所にお堂があったのかとか、どういう由来の、どういう力のある神様なのか等、何一つ分かっていないのに分かった気になっていて、だから仲間の神様探しにも支障が出ているのだということにようやく思い至った三人は、ようやく思い至ったという事実に直面して、まず、自分達の自覚のなさ、考えのなさに脱力した。

 今の今まで、どうしてその点を疑問に思い、行動に移さなかったのか・・・、気づいてしまえばあまりにも情けなく、暫し声を失うほどで。

 尤も、この三人組が声を無くすことは、息を吸って吐くのと同じくらい、日常的なことではあったのだが。


「まず・・・、みーさんのこと、もう少し確認しましょう。そこからですよね」

「だな。ただ・・・、その間に、あの女とかが何かしでかさなきゃいいけど」

「・・・早く、確認しましょう。いえっ、そうじゃないですよね。確認しましょう、だなんて、まるで僕が芦さんや井雲さんと同じ立場かのように・・・」

「え? 同じ立場じゃね?」

「全然違いますっ、元はと言えば、父と・・・、」

「おしっ、具体的に何からしようかっ?」


 なくした言葉が復活した途端、宇江樹はその人生が始まって以来、一体何度目なのか神様でも数え切れないだろう回数に上る謝罪を再び始めようとしたのだが、それを察した井雲が『過ちには二度と繰り返さない』とでも言いたげな断固たる声と口調、それに表情で続く哀れな謝罪を切断した。

 力強いその姿に、密かに感動したのは勿論、芦で、洩れそうになる嗚咽と涙を力の限り、押さえ込む。

 ・・・別に、そこまで大袈裟にするべきことでもないのだが。

 しかしそうして色々な遠回りをしながらも開いた道は、目的地である問題解決までが直線ではなく、更なる遠回りになると示される形にはなってしまったのだが、それでも道を決められただけで進歩だったのかもしれない。

 ただ、その道は遠回りになるだけではなく、具体的な道筋を判断するのが多少、難しいみちではあった。具体的に何からどう手をつけたらいいのか、すぐには判断がつかなかったからだ。

 何を調べるべきか、調べる対象が見つかったとして、どうやって調べればいいのか。

 それぞれが自分なりの考えを思い浮かべてみるのだが、たとえ黙って自分なりに考えたとしても、所詮、同じ程度の能力しかない、大分類的には同じタイプの人間が考えることなんて、話し合わなくても同じような場所にしか行き着かないようになっていたらしい。

 つまり、調べる対象として一番最初に上げるべき場所。一番簡単に、調べられそうなこと。


 あの土地の由来だった。


「あそこ、結局誰の土地なのか確認してないもんな」

「たぶん国とか市とか、そういう公的機関の所有になってるんじゃないかって予想で話が終わってましたもんね」

「そうそう、見るからに個人の土地じゃないっぽかったからさ。だって、あんな木とか草とかぼうぼうに生えてて、使っている感じしなかったし」

「まーな。でもさ、俺もよく知らないけど、小さくてもお堂まで建っているのに、最初っから国とかの土地ってこと、あんのかな? 公共の機関が、お堂、建てるか?」

「行政がそういうものを建てることって、少なくとも現代はないと思うんですけど・・・、もしかしてあすこ、元々個人の所有だったのか、何かの事情・・・、たとえば寄付とかで行政のものになったとかなんじゃ・・・」

「寄付って、要らない土地だからとかってこと?」

「確かに、あの場所にあんな木とか草だらけの土地持っていても、使いようがないだろ」

「でも、お堂があるのに寄付するか?」

「別に土地の持ち主本人が建てたかどうか分からないだろ。誰か、それより前の持ち主が建てて、壊すのはちょっと嫌だし、でも使えない土地だし、じゃあこのまま寄付しちゃえ、みたいな判断だったのかもしれないし」

「なるほどなぁ・・・」

「まぁ、全部予測ではあるけど・・・、ってか、そういう土地の由来みたいなの、どっかで調べられるのかなぁ・・・?」

「近所に聞いて回るとか?」

「いえ、法務局に行けば、土地の所有者は調べられるはずですよ」

「・・・え?」

「ほーむきょく?」

「えぇ、法務局です」


 辿り着いた同じ結論をもって交わされた会話は、最終的に芦と井雲には全く聞き慣れない単語の元へ三人を導いた。

 土地の由来の調べ方なんて、今までの人生で考えたことがない芦と井雲には、もうご近所を聞き回るという原始的な方法しか思いつかなかったし、他の術がある可能性なんて考えていなかったのだが、しかし二人がその単語が指し示す存在を意識したことがないそれは、宇江樹曰く、土地の情報を収集出来る機関らしい。

「現在の土地の持ち主は、法務局に行けば分かるのは確かです。それ以前の持ち主・・・、履歴みたいなものも、たぶん、分かると思うんですけど・・・」と、過去の持ち主の確認は多少自信がなさそうではあったが、現在の土地の所有者を確認することに関しては、間違いないと力強く断言してくれたのだ。

 他の二人にはその姿が、何かのゲームに出てくるとても善良な賢者のように見えていた。何か、特別なアイテムを持って現れるタイプの。


「うーさん・・・、凄いな、よく知っているな、そういうこと」

「土地の持ち主どこで調べるかなんて、俺ら、人生の中で一度も必要としたことないから、そんな方法あるなんて思いもしなかったんだけど・・・」

「実はうちの会社、最初はもっと小さな、それこそ販売メインの会社で、他のビルに小さなテナントとして入っていたんですけど、事業を拡大する中で、商品を自分達で作ることになって、そうなるともっと広い場所が必要になるからって、今の土地を買って、それで事務所とかも建てたんです。その時に、丁度良さそうな土地をピックアップして、その土地を売って貰えるかの交渉をしないととかって話で、それで今の土地が候補に入って、その土地の持ち主を探すってことになったんですけど・・・、確か、その持ち主を探すのに、法務局で探せるんだってその、うちの事務の方が言っていたと思うんですよね」

「へぇ・・・、そう、なんだ・・・」

「流石うーさん、俺らの中で唯一の社会人」

「そうだよなぁ・・・、コンビニバイトじゃ、法務局なんて、単語自体出てこねーもん」

「だよな」


 宇江樹の説明に、そんなことが可能だなんて思ってもみなかった芦と井雲は、自分達と宇江樹の違いを見比べて、ただひたすらに感心する。これが社会人、これが会社で責任ある仕事に就いている人間と、バイトで気楽に生きている人間の違いなのか、と。

 勿論、芦も井雲も、自分達がバイトの身分とはいえ、与えられている仕事に大してきちんと向かい合ってその仕事をこなしいるというある程度の自負はあるのだが、それでもやはりバイトと正社員という違いは、こうして事あるごとに巨大な差違として実感してしまうのだ。

 多少の、情けなさと共に。・・・が、だからといって、正社員になって自分も責任ある仕事をしてみたい、という前向きな決意が生まれるわけではないのだが。

 宇江樹に対する尊敬に近い感心と、自身に対する情けなさ、しかしそれ以上の前向きな何かを抱くことはなく、芦と井雲の二人揃って、ひたすら何度も頷いて、宇江樹を讃えていると、流石に恥ずかしくなったのか宇江樹は両手を二人に大して突き出して、その称賛を留めた。

 ただそんなに簡単に止まることもないそれをどうにか止める為に、また話を先に進める為に、宇江樹は話の続きを強引に進め始める。


「あのっ、そういうわけですから、土地の持ち主は調べられるんです! だから・・・、僕、うちの事務の方にやり方聞いて、調べてみますよ!」

「えっ? いいの?」

「大丈夫です。それに、調べたことがある方に聞いて調べた方が、簡単でしょ? 僕がやり方聞いて調べるのが一番簡単ですよ」

「そりゃ、そうかもしれないけど・・・、でもうーさん、仕事もあるし、大変じゃねーの?」

「そうだよ! 俺達はバイトだけど、うーさんは正社員なんだし・・・」

「仕事にバイトも正社員もありませんよ。仕事があるのは皆、それぞれなんですから、一番適してる人間が担当するのが当然でしょ。それにお二人は、バイトがない時間はみーさんを見て下さっていて、僕はあまりそういうのは手伝えていないんだから、土地の持ち主ぐらい、僕が調べます!」

「うーさん・・・」

「別に、そんな気、使わなくていいんだぞ? 俺だって、芦の隣に越して、前よりは楽になったんだし・・・、第一、うーさんはみーさんを見る代わりに、親父さん達を見張るっていう重要任務に着いてくれているんだから、俺達よりよっぽど大変なのに、頑張ってくれてるって」

「そっ、そーだよ! うーさんは頑張っている! 俺達二人より、全然頑張っているよ!」

「そんなことありませんよ! 親父達を見張るのは当然のことで・・・、そもそも、うちの親父達が全ての原因なんですから、息子の僕が・・・」

「だから親がやらかしたことの責任は、子供にはないから!」

「その通りだよ! うーさん、いっくんが言った通りだから、気にしちゃ駄目だ!」

「芦さん・・・、井雲さん・・・、ぼっ、くは・・・、僕、は・・・、」


 ・・・宇江樹が半ば強引に進めた話の先は、何故か三人共が涙ぐむ結末が待っていた。善良すぎるほど善良な宇江樹が、不幸な宿命を背負うその様は、宇江樹ほどではなくとも基本的には人畜無害な性格をしている芦や井雲の涙を誘わずにはいられないし、自分のことを思ってくれる相手を前に、宇江樹もまた、涙を堪えずにはいられないのだ。

 たぶん、そこにあったのは純粋な、とても綺麗な友情だったのだのだろう。何の打算もないそれは、とても、とても純粋で美しく、本当に掛け替えのない価値のあるモノではあったのだが・・・、しかし世の中、純粋で綺麗なモノだけで世界が回るわけでもなかった。

 世界を回す為には、どれほど辛く汚れた道でも歩く力が必要で、そしてこの三人に欠けている最大のものが、そういった力だったりするわけで・・・。


 結局、半ば見えていたはずの今後の対応を最終的に決定するまで、更に一時間近く堂々巡りのようなやり取りが必要になってしまった。




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