19.輜重
~輜重~
ナイフを渾身の力で突き刺し、えぐる。
間髪をいれず、めを抉りだす。
無慈悲にも生皮を、剝ぐ。
有無を言わせず、体を分断ち切る。
情け容赦無く、熱湯にに叩き込む。
何の躊躇もない地獄の所業、これらを実行するのは年端も行かぬ子供達。
これはこの世の地獄だ、地獄以外の何物でもないだろう。
ジャガイモにとっては。
わいわいがやがや、というよりも、ぎゃーぎゃーわーわー言いながら料理は進む。
手に、ナイフ使いが不慣れで細かい切り傷を作ったりしつつも、大きな問題は無く進んだ。
あ?ジャガイモの下ごしらえだYO!
まぁ、なによりも、楽しそう。
それが一番だと、心から思う。
そうだ、楽しむそして美味しく味わう。
大事だぞ、本当に。
本日は、ジャガイモの塩スープ(細かく刻んだもの)
他は野菜関係とパンだった。
お~し、色々と手を入れるとこはあるが、オレこそあせるな、と思って本日は就寝。
んで翌日、いやその後数日はスケジュールが代り映えしないので割愛。
オレはとゆうと、倒木削ってもっこ作成。
これがあーた、全然上手くいかん。
(まぁ、当たり前だが)
一番は車輪。
丸く且つ、穴か上手くあけれん。
出来そうな人に頼む、当然それはアリなんだが
でもそれは、基本ナシの方向で。
オレが、ではなく最終は子供達が自身が作れるようにしなきゃならない。
だからヘッポコのオレのを見て、学んで欲しい。
失敗からこそ、学ぶこともある。
言い訳じゃない、ないったらない。
とにもかくにも結局二日がかりで、もっこ1号(子供用サイズ)は完成した。
子供達が、かたこんべ、と名前をつけてた。
もはやこのネーミングセンスは、この国の分化だと思うことにする。
こうして1週間かかって、ようやくもっこ3台が完成。
順番に、かたこんべ、右フック、すなぎも、と命名された・・・。
まぁ完成したのでもっこ部隊を編成、1台に2名、計6名をとした。
まずは最初の作戦、ってことで、畑に隣接する森から落ち葉(浅く付近の土ごと)を拾ってこいと指令を与える。
最初の、かつ一番大切なミッションのためだ。
あ~、実は書いてなかった。
色々な事情があったんでね・・・
一番最初にしなきゃならないこと、
し尿処理・・・・だ。
でもあぁ、避けて通れない。
それはな、し尿処理。
さすがにさー、どんなアニメや小説でも書いてない訳よ。
つうか、まさかオレがー、と思ったのは事実なんだけど
しゃあないやん。
臭気と蠅、なによりも不衛生では生命やばいし。
げぇ、なんてゆうな!
ぽまいらのとーちゃんかーちゃんが子供のころは、し尿なんて専門業者が回収してくれててんぞ!!
感謝しろ、感謝を!
下水道なんて文明の利器なんだぞ!!おーばーてくのろじーなんだぞ!!
え~えへん、現状の処理方法は
穴を掘って、その中に埋めてるらしい。
数年経てば土にかえる、そらまぁ当然だが
もっとはやく、土に返したいと思う。
できれば堆肥にもしたいしね、そうゆうこった。
イヤとかゆうな、肥料なんて他に重いつかねーんだYO!
あ、まぁ、アテはある。
なので、落ち葉。
まぁ、腐葉土だな。
穴を掘り、し尿次に落ち葉と、交互に重ねて埋めていく。
落ち葉や土のバクテリアのおかげで自然分解、普通に埋めるよりも早くに、だな。
あ~、補足しとくと、この世界紙は高級品。
なので、用足し後の処理は葉っぱ(なんの葉っぱかはしらん)、それで代用してる。
だからやってみようかと、思ったんだけどねー。
分解早いはず、多分。
ぶっちゃけ、分解はできるとは思う。
問題は、虫がでたり、あと臭気だな~
アンモニアは水かけりゃいいけど、メタンはそうもいかんし
水かけたらバクテリア台無しになるからな~。
バイオハザードにならんことを祈りたい、いやホント。
その作業、穴掘りはオレの担当だ、しゃあない。
さすがに腐葉土までは手がまわらんので
もっこ部隊のうち2つは、倒木枯れ枝の採取である。
いあー、2名でペアなのと、子供用もっこの採用は正解かな。
遊びの延長として、喜々としてやってる。
正解だな、うん。
予定の穴を掘り終わり、し尿処理の一回目が済んだのはさらに三日後。
おにぎりのガラスの腰は、もはや砕ける寸前。
子供達もよく頑張った。
腐葉土の採取地点を見に行くと、木(大きなもの)以外は下は土と、刈り取った下草の山となっていた。
下草刈る指示はしてなかったけど、焚き付けに使うってことを理解してくれてるんだな~。
感動したオレは、ちょっと現世料理を作ることにした。
丁度、カシミールへ最初の出荷があるんだわ。
ついでに材料、仕入れてこよう。
・・・出来るのかは、やってみんとわからんけど。
翌日、午前の授業を済ませ、お昼前に一回目の出荷となるジャガイモを担ぐ。
本日は一人、お供を連れていく。
初めての子供の紹介、ここでしとこう!!
女の子、名前はリリー。
一番の年長で、今度15歳。
長い栗色の髪(腰くらい)を一つ寝束ねて、大人しい感じの子である。
大人しい=しっかりしており、子供達のお姉さん役なんだな。
(つうか、最年長である)
本人が慣れてくれれば、彼女に対外交渉を任せるかなーと、今は思ってる。
まぁ何事も経験、やってみるのみ。
最初なんで、オレがジャガイモを担ぐ、重い。
まぁ、初めだしなー。
カシミールに到着し、ジャガイモを見せる。
(その間、本日の日替わりカレーを食す。
リリーの目がまん丸になって、大層可愛らしかった。
本日はチキンカレーだった)
本日分は約2K、三日程空けてまた様子をみる段取りである。
初回なので、カシミールの言い値で承諾する。
まぁ中身を見なきゃ、との言い分は理解出来るので当然だ。
それでも、市場に普通に卸すよりかは気持ち高い。
そこは好意もあるけど、気合かなっと思う。
勿論その上で、バーターは引き出したがな。
・・・カレー教については、シラネ。
バーターについては
結論としては、オレの欲しい現世料理の材料を寄越せ。
勿論、異世界の生まれはナイショ。
なので正確には、今日は寄越せだが今後はまとめて仕入れしろ!である。
当然安くすむので、カシミールには文句はない。
ま、今日は量は少ないので、分捕ってきたがな。(ちゃんと原価分は支払ったぞ)
まぁ、今日のところは十分、今日は現世の料理を作らねば!!
早速教会へ戻り、作成にかかる。
アシスタントはリリーのまま、途中でマリアさんも見に来る。
カレーの影響か、二人ともお目めキラキラである。
では、一体なんなのか、まずは材料である。
・油(菜種油)
・卵
・酢
まぁ、みんな知ってるとは思うけどね、恐らくこの世界では初めてかもね。
ジャガイモもふかしておく。
ジャガイモをふかして、つぶしてマッシュにすれば試合開始である。