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君と語る物語  作者: 浅井 岸
第一章 迷いながら少しずつ
7/12

少しの自信と反省

遅くなって申し訳ありません。

よろしくお願いします。


 タスト語の勉強が始まった次の日、ジャックさんと朝ご飯を食べて少しゆっくりした後に勉強を再開した。


 昨日と同じようにノートとにらめっこが始まる。


 ジャックさんが書いてくれた単語を見よう見まねで十回書き写し、最後に日本語で意味を書きそれが終わると新しい単語をジャックさんが書いてくれる。


 これを五回続けたら昨日書いた単語と合わせてテストが始まる。


 どんどん単語が増えていくために復習がすごく大事になってくる、昨日の夜も勉強が終わった後の見直しと眠るぎりぎりまで復習をした甲斐があって何とか書けるようになった。


 それからも書き写しとテストを繰り返す、体をそんなに動かしていないのに額には汗が浮かび手の甲で拭き取る。


 しばらくして――


 「あっ……」


 私のお腹が小さく鳴った。


 静かな空間の中だ絶対にジャックさんにも聞こえてる、恥ずかしさで手が止まり顔をさらに深く落とした。


 「もうお昼だったね、休憩にしようか」


 ……恥ずかしい。


 「すいません」


 「いいよ」


 小さく笑うジャックさんを見て、さらに顔が熱くなるのを感じる。ジャックさんの後ろについて行ってリビングへと向かった。


 お昼ご飯を食べ終わったら午後からは机から離れて会話が中心となる。ジャックさんが言った後に私が続いて声に出し、間違っていたらちゃんと言えるまで繰り返し午前中静かだったこの部屋には私とジャックさんの声でいっぱいになっていた。


 時々休憩を挟みながら三時間くらい過ぎた頃にジャックさんが頬を掻きながら申し訳なさそうに口を開いた。


 「実はこのあと仕事でね、昨日予定していた内容が出来ないんだ。僕も完全に忘れていたよ」


 「気にしないで下さい迷惑掛けているのは私の方なんですから、私はジャックさんがお仕事に行っている間は今日教えてくれた所を復習しておきますね」


 ジャックさんは私がこっちに来てからずっと気に掛けてくれていた。きっとそのせいで忘れていたんだと思う。この後は復習を繰り返して早く覚えられるようにしよう。

 

 「出来ることなら連れて行きたいけど店に行っても忙しくて詩織にストレスを与えるだけかもしれない、だけど一人にさせるのも心配だ」


 「心配してくれてありがとうございます。私のことは気にせずお仕事に行ってください、ジャックさんみたいに上手くないですけどご飯でも作って帰って来るのを待ってますよ」


 「……わかったよ、ごめんね気を遣わせてしまって、なるべく早く帰れるように頑張ってくるね。晩ご飯楽しみにしてる」


 それから軽い身支度を済ませたジャックさんは仕事場へと向かった。


 「よし!頑張ろう!」


 私は部屋に戻り、昨日教わった所と今日習った所の見直しと復習を始めた。


 かなり集中していたのか気づけば陽が沈みかけて、窓からは頼りない光りが零れている。


 電気をつけてふと思い浮かんだ事がある。今まで勉強の方に意識が集中していて気がつかなかったけど少しだけなら読めるんじゃないだろうか?


 そう思うと体は反射的にお母さんが使っていた今は私が使わせてもらっている部屋へと向かい机の上に置いてあるそれを手に取った。


 「今の私なら少しだけ……」


 心臓が高鳴る。


 ドクンドクンと全身へと伝わる確かな振動。


 手にしている一冊の本から伝わってくる何か。


 「アドアラーの日記」


 ジャックさん達と、この国の始まりに携わった一人で裏切り者と呼ばれている人、何となくここに何か大切なことが書かれているような気がしてそれを開いた。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■





 う~ん何というか凄く癖のある字で一ページ理解しようとするのにかなり時間が掛かりそう。だけど時間を掛ければ読める、それが分かっただけでも意味がある。


 私がやっていることの成果が少しずつではあるけど確かに出ている。これを読めるようになるためにはもっとこの世界の外に触れなければならない。


 たくさん見ていっぱい触れそして経験しなくちゃいけない。そのために必要で今の私に出来ることは基礎をしっかり覚えることだ。


 「今の時点でわかったことはお母さんが皆に日記を書くようにしたことだけか」


 それとおそらくこれを書いている時期はもう出会って大分打ち解けていることがわかった。


 うーんと背筋を伸ばしている時に窓が真っ暗なのが目に飛び込んできて――


 あっ!ご飯の準備しなきゃ!





 ■ ■ ■ ■ ■ ■





 「ただいま」


 「あっお帰りなさいジャックさん」


 晩ご飯の用意をしているとジャックさんが帰ってきた。


 「後はもう並べるだけです」


 「詩織の作ってくれたご飯とても美味しそうだね」


 「あまり自信はないですけど一生懸命作りました」


 「ありがとう、じゃあ僕は軽く着替えてくるから」


 「はい」


 ジャックさんが着替えている間にテーブルに料理を並べていつでも食べられるように準備をして待つ。


 「いただきます」


 「ど、どうぞ」


 今回作ったのは一つはシンプルな野菜炒め、味付けは少し薄めで素材の良さをなるべく生かし強火で手早く炒めて程よい噛み応えを出し、それと定番の味噌汁で使ったのは豆腐とわかめと細かく切ったネギを入れて作った。最後にご飯で完成。本日の晩ご飯。


 私が作った野菜炒めがゆっくりとジャックさんの口へと運ばれる。


 「どうですか?」


 まだ飲み込んでないのにフライング気味に訪ねてしまった。なぜだか凄く緊張している自分が居る。


 「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。詩織が作ってくれたご飯は凄く美味しいよ」


 焦らずゆっくりと食べ終えたジャックさんが笑顔で言ってくれた。


 「よかったです」


 「誰でもはじめて自分の料理を食べてもらう時は緊張する、僕もそうだった」


 「ジャックさんもですか?」


 「もちろん、最初から自信のある人なんかいないむしろ不安だらけだよ、でもね自分が作った料理を美味しいと言って食べてもらった時嬉しかったしそれが自信へと繋がる。詩織も自信を持っていいんだよ、だってこんなに美味しいからね」


 「ありがとうございます、おかげで緊張がなくなりました」


 「どういたしまして、僕も詩織に負けていられないね」


 笑いながら励ますように言葉をくれるジャックさん、私はまだまだだけどそう言ってもらえて少しだけ自信がついた。


 だけど本当はもっとこう何か手の込んだ物を作りたかったけど時間がなくて……いや時間がなくなったのは自分のせいだ反省しよう。


 


 






 


 


 

読んでいただきありがとうございます!

ご意見を頂き話を変えました。

次回もまた更新遅くなるかもしれませんがよろしくおねがいします!

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