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君と語る物語  作者: 浅井 岸
序章
1/12

出会い

はじめてなので不格好でわかりにくい所もあるとは思いますがよろしくお願いします。

 何時、開くのか分からない。


 そんな扉がこの日本にはあると言う。


 扉と言ってもただの扉ではない。


 時空を裂き、こことは別の世界に繋がる扉だ。


 私の死んだ母も行った場所らしい。


 その世界に行けるのは選ばれた子供だけ。


 お金持ちの子供とか何か才能を持った子供?


 ――違う


 選ばれるのは身寄りの無い子供。


 不確かな自由を引きずっている子供達が集められている施設、通称『フライ』である。


 表向きでは孤児を育てる施設となっているがそれは違い、現実は酷く金と暇を持て余した大人達の良い玩具にされていた。


 私ももう十六になった。


 次は私が大人達のターゲットになるだろう。


 少しずつ震えて来た身体を温めるように、腕を組み身体を丸めて壁に傾ける。しばらくすると誰かが私の部屋に近づいて来ているのが足音でわかった。

 

 「出ろ」


 感情のこもっていない声が私に刺さる。


 机に置いていた母の形見である一冊の本を手に、呼びに来た大人について行く。


 着ている物は服とは言いがたいもので履くものは無く裸足。


 外へと連れ出された私は


 「上を見ろ」


 言う通りに上を見ると、そこには満天の星空が広がっていた。真夜中であるはずなのに明るいとさえ思ってしまう。


 「もうすぐここに迎えが来る、それまで大人しくしていろ」


 「……迎え?」


 私の問いに大人は答えることなく去ってしまった。


 迎えが来ると言っていたので座って待つことにした。


 「そうだ」


 部屋を出るときに持ってきた母の形見の本を広げてみた。


 「相変わらずなんて書いてあるのかわからないや」


 でも母は最期までこの本を読んでいた。何て書いてあるのかわかるのかな?なんて時々思う。

けれど一ページ毎に丁寧に見ていた母の姿を思い出すとやっぱり読めていたのだろう。


 そう想いながら本の表紙を指でなぞった。


 「――『アドアラーの日記』」


 「えっ――」


 振り返ると世界が変わり、一人の男の人が優しい笑みを私に向けていた。


 




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