第3幕 積極的バレンタイン排斥運動と義勇軍の創立
小学生時代、孤独にバレンタインと戦い続けた山田一郎も中学生になると、自身の仏陀とスジャータの説話に基づく行為が世間の同意を得られないことを悟り、一見大人しい生徒の仮面を被りつつ、同じ志を持つ仲間を見つける。
寺の長男として生まれ、坊主頭のため周囲から「坊主」と言われていた竹中氏、二次元の絵画に対し性的カタルシス※1を覚える通称「メガネ」こと井上氏である。
彼らは中学時代を常にともにし、周囲からは「三馬鹿トリオ」などと侮蔑されながらもそれに耐え忍ぶ日々を送った。
そして、同時に彼らはバレンタインの排斥へと動いていく。
最初に彼らは、秋葉原を中心に行われていた「バレンタイン中止デモ運動」への参加を画策する。
お正月にもらったお年玉でゲームを買うのを堪え、秋葉原まで行きデモ運動に参加したのだ。
しかし、彼らが見たのは絶望であった。そこはまさに大型掲示板住民たちのオフ会の場であり、有名動画投稿サイトの名のある実況者が中継する場であり、その信者の集まる場所であった。
山田一郎とその仲間たちの求めたキリスト教化の阻止、そして仏教の復興という夢はそこには無かったのである。
失意の中、帰路の高速バスに乗り込んだ山田一郎はここで重大なことに気付く。
「彼らのおこなっているデモ活動も、裏にある組織がガス抜きのため企画しているのではないか」というものである。
この時点では、山田一郎にとってもあくまで推論の一つに過ぎないと感じたことであるが、一緒に行動した仲間たちも同じ思いを感じたことから確信を強めることとなる。
この日から山田一郎は同志を集めることとなる。
SNSを通じての募集、街頭での呼びかけ、学校内でのビラ配り。
ありとあらゆる手段を通じてバレンタイン排斥を目的とする組織立ち上げを目指した山田一郎たちの行動により、彼が高校3年生になる頃には百人を超す大所帯を築き上げる。
※1 性的カタルシス 性的欲求への精神の浄化のために二次元の絵を利用する。どのように利用するかは不明。




