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第11幕 かつての友と、仲間と、未来のために

 こうして再び『愛』を与えられて蘇った山田一郎であるが、彼にはもはや何も残されていなかった。

 そんな山田一郎が頼ったのは、かつての友、中学時代からともにバレンタイン打倒を訴えてきた坊主とメガネの二人であった。


 すでに地元の高校教師となり、住職という肩書から世間に広い顔を持つ坊主こと竹中氏と、現在は就職してテレビ制作会社で働いていたメガネこと井上氏は山田一郎からの連絡に、世間体などから拒否されることも覚悟したが、二人とも喜んで山田一郎に協力してくれたという。

 疎遠になってから相当な時間が経っているにも関わらず、二人は山田一郎を最愛の友として認められていたのだ。

 決して、彼らが裁判で負けたせいで地元での評判が地に落ちており、再び山田一郎を利用しようとしているのではないことは明らかである。


 山田一郎は二人に相談し、ある計画を練っていく。

 それこそが山田一郎が引きこもっている間に計画し、母の愛を受けて完成させた計画なのである。


 坊主とメガネはそれぞれのコネを全力で活用し、とても強力な仲間を二人用意することにに成功する。


 それはなんという運命のいたずらと言おうか、自身の逮捕後、『ブラックタイガー団』を解散し、大手コンビニチェーンの「サークルKKK」※1で幹部として働いていたマルコメくんこと丸米氏と、同性愛者への差別廃止を訴える傍らでお姉系タレントとしてテレビで活躍著しいキング牧氏こと牧氏の二名が山田一郎への協力を名乗り出てくれたのだ。


 こうしてかつての仲間であった坊主とメガネ、そして自身の組織で二大派閥を作り上げたマルコメXとキング牧氏の協力により、ついに山田一郎の夢を乗せた壮大な計画が幕を上げたのであった。


※1 サークルKKK 白パン至上主義サークル『KKK』が経営するコンビニ。「男はブリーフ女は白パン! ただしリボンは可!」が彼らの主張。


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