表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の軌跡  作者: Ej@world claim
1日目
5/10

1日目 放課後

放課後になり、部活に入っている人は夏の全国大会に向けて部活に勤しむ。

所詮帰宅部な俺は、早く家に帰るべくかばんを持っていく。

今日は早めに帰り、いそいそと惰眠を貪りたい。

「こらっ!待ちなさい!!」

香織が立ちふさがる。いつもなら、ばらばらに帰るはずなのだが。

「ん?どうしたんだ?」

「今日はパーティよ!!」

そう叫ぶ香織。

「パーティ??・・・あっ!そうか・・・」

そう、多分―――いや絶対的に一美の歓迎会なんかをしようとしているのだろう。

「そうよ。だから、あんたも帰りに『ソラノホシ』に行くのよ。一美には少し遅めに時間を教えておいたから・・・・」

「その間に、準備か・・・」

「そう、だから作戦を聞きなさい!」

とことん騒がしい奴だった。まあ仕方ないが。


『ソラノホシ』


っていうのは、喫茶店の名前だ。そして結花里さんの家だったりもする。


三島結花里。

1つ年上の仲間の中でもお姉さん的ポジションである。


あそこは案外・・・いや・・・以外・・・まあ繁盛している。


よく、なにかあるとソラノホシに集まり勉強会などもした。

昔からの溜まり場みたいなものだ。最近はちゃんと代金を払っているが、昔はただで飲み物を貰ったりしていた。出世払いということになっている。

ちなみに、結花里さんの母親が経営しているが、昔からのツケをちゃんと計算しているという。

俺は、15万というリアルな数字になっているらしい・・・・。

踏み倒してこそだ!!と大人になっても払う気はない。


一美は職員室で少し話があるらしい。それは香織に聞いためだ。

作戦内容は『ソラノホシ』に準備完了するまで連れ回し、一美を連れていく。と言うことのことだ。

俺が役にたたずさらには、暇だからというわけらしい。

まあ主に料理は三咲と結花理さんがするだろう。

香織は……ありえないだろう。あいつの料理はマズイのだがそのマズさは…例えられない。

破壊力ならかなりものだろう。

あれはまだ寒い日だった…

「あれ?弘ちゃんなにしてるの?」

「わっ!?・・・一美か。た・・・助かった・・・。」

もうすぐで嫌な過去を思い出す所だった。あいつの料理の厄介なところは思い出しただけでも、味がこみあげてくる長期にわたり苦しめる。

呪いだから。

一美はよくわからずに首をかしげている。

「まぁ、気にするな。それより帰るぞ」

「え?それで待ってたの?」

「まぁ・・・なんて言うか・・・取り合えず付き合え!」

時間さえ稼げればいいのだから。時間が来れば携帯に連絡がある。

学校の校門を抜ける。

軽い並木道になっている。夏らしく緑の木々に囲まれている。

日差しは暑く夏に入り始めたのを実感させる。

「そういやさー?」

「ん?」

咥えたタバコに火をつけようとしていた時だった。

もちろん能力で。

「公園の木あるよね?大きな」

「それがどうしたんだ?」

「あの標の―――名前の彫った木の下に花束あったよね。いったい誰なのかなー?って」

「あぁ・・・」

軽くタバコの煙を吸い込み一息つく。

公園にある木。


一番大きな木には―――


『ひろき、みさき、かおり、かずみ、ゆかねえ、』


そして最後に―――


『こうや』

と彫ってある。あの日に彫ったのだ。

記憶にとどめておくために。

記録したのだ。

そしてあの木下に1週間ごとに花を置く。

そんな習慣をもってるのは―――

「結花里さんだ」

もう一度タバコを吸い込む。

「え・・・!?」

「あの人は、あれから一週間置きくらいにいつも花を置いている。なんでかはわからないがみんなには言っていない。まぁ美咲も香織も気付いているだろうがな」

「そうなんだ・・・」

「まぁそれなりに皆光矢を想っている。それは記憶が風化していくからかもな」

俺もあの日から人の群れに入ることを止めた。

また大切な人が消えてしまうと嫌だから。

それをわかってても香織もなにも言ってこないし、普通に接してくれる。

なんだか、悲しいことだ。


―――美咲も。


「言っておく事がある」

「なに?」

短くなったタバコを地面に落とし踏みつける。

「香織はあんな風だが、美咲は変わった。俺でさえ距離を置くようになった」

「・・・。変わったって事かな・・・」

「まあそれだけだ。あとはみんなお前の帰りを祝っているからな」

「ねえ・・・弘ちゃん。公園に行かない?」

「え?」

突然一美が言い出した。そして早足で公園へと向かう。

それを少し追いながら俺は一美のあとを追った。

まあまだ、歓迎会の準備が出来てないから大丈夫だろう。

携帯にはなんの反応も無い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ