プロローグ
薄暗い部屋、恐らく地下室なのだろう、そこはとてもじめじめとして昏い雰囲気が漂っていた。
「し、しかしデュアン様、それは禁術中の禁術…!」
その昏い地下室に男の声が響いた。怯えたような色が滲むその声に対して、そのデュアンと呼ばれたもう一人の男が答えた。
「ええい、そんなことは気にしていられるか。今まさに、書物で読んだような群雄割拠、戦国の世。そんな時勢にのし上がるためにはこうするしかなかろうが!!」
自信に満ち溢れたような声だが、どこか焦りが混じったような気配だ。そして、彼ーーデュアンは、男の忠告を無視してそれを始めた。
「これは『使魔召喚儀』……そう、かの伝説のサムライ・カントリーたるジャポネから、ニンジャやらクノイチやらなにやらを我が元に降臨させる儀式!!」
「デュ、デュアン様、ご説明ありがとうございます」
「ふっ、アーリュ。礼には及ばん。ーーそれより、用意させていたアレを頼む」
「は、はっ!」
デュアンは知っていた。儀式には「媒介」と呼ばれるアイテムが必要であり、それが召喚される使い魔の種類や性質を大いに左右することを。
そして彼は大の女好きであった。
そのため、彼が媒介に選んだのが、
「デュアン様……これを」
「……いつ見ても神々しいな」
アーリュがうやうやしく差し出したのは、まさしく女物のパンティであった。
「さあ、これで間違いないだろう!!召喚されるのは、美少女クノイチだ!!」
「おお!!」
「それと、えーっと、巨乳の巫女さんだ!!!」
「おおお!!!」
「あとは超絶美女の天照大御神でも召喚されれば完璧だ!!さあ、ゆくぞアーリュ!!」
「はいっ、デュアン様!!未来は明るいですね!!!」
デュアンが側にあった杖を手に取り、難解な呪文を唱え、その杖を振りかざすと、宙に描かれゆく魔法陣の中心に光が集まってゆく。
「さあ、こいーー我がハーレム・ライフ!!」
目的が変わった。が、とにかく魔法陣の光はデュアンの左手に固く握り締められたパンティに集約し、地下室に光が溢れた。