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自作小説倶楽部 第3冊/2011年下半期(第13-18集)  作者: 自作小説倶楽部
第16集(2011年10月)/テーマ「ハロウィン」&「喫茶店」
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NO.6 BENクー著 『緑のハロウィン』

田舎のおじいちゃんが送ってくる宅配便には収穫した野菜と果物が入っている。

もう20年になろうとするが、今でもおじいちゃんは1度たりとも欠かしたことはない。

年によって送られてくる便の量はマチマチだが、僕が小学校6年になった時に送られてきた宅配便はスイカ箱に5ケースもあり、中には大きなカボチャが大量に入っていた。


その中に、おじいちゃんがハロウィン用に彫ったカボチャが1つだけ入っていた。

もちろんオレンジじゃなく緑のカボチャに彫ったもので、皮の部分だけ削いであったので妙に不恰好なハロウィン・カボチャになっていた。

カボチャには手紙が添えてあり…

『タケシへ…夏休みに遊びに来た時、「ハロウィンってカボチャに変な顔を彫るんだよ」と言ってたのを思い出し、1個だけ彫って送ります。穴を空けたので早く腐るでしょうからこれだけ早めに食べるようにして下さい』と、書いてあった。


しかし、僕も家族もそのカボチャを食べようとは思わなかった…


不恰好な緑のハロウィン・カボチャは、皿に乗せられたまま1週間のあいだテレビの上に置かれていた。それを見るたび、僕も家族も何だかとても微笑ましい気持ちになった。


1週間後、腐りかけた緑のカボチャに虫が集るようになり、仕方なく捨てることになったが、とても普通の生ゴミで出す気になれなかった。そこで近くの公園に埋めることにしたのだが、さすがに日中に穴を掘るのは人目があるので、夜になってから公園に埋めに行った。


公園の片隅で小さく盛り上がった土に向かい、僕は静かに手を合わせた。なぜだか手を合わさねばならないものだと思った。


今でも僕はその不恰好な緑のハロウィンが一番好きでならない…


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