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第18話 それはくだらない日常の為に

こんばんは、TRです。

私の番に回ったので、参上いたしました。


ちょっとだけ注意です。

軽いアンチやらダークが含まれています。

それらが嫌いな方は、お読みになられないことをお勧めします。

以上、暴走に定評のあるTRでした。

「くだらない」


誰もいない屋上で、僕は下の方を見下ろしながら呟く。

ここに来て早数日。

ここに楽しさなど微塵もなかった。

下の方で歩いている、死刑囚だとかなんとか言われている人物なんてまったく興味もない。


(いや、それはダメだろ)


思わず自分にツッコんでしまった。

そもそも死刑囚がなぜこのような場所にいるのであろうか?

何らかの安全対策をされているとは思うが、ここの学園は一体どうなってるんだ?


(まあ、それを言うと僕もそれに当たるんだがな)


自分の考えに、思わず苦笑いを浮かべた。

僕、高月浩介はつまらない授業をサボタージュして屋上に来ていた。

その理由はあまりにもくだらなすぎたからだ。

この学園は、何もかもがめちゃくちゃ過ぎるのだ。


「魔族の姫やら吸血鬼やら、危険人物がほとんどを占めている」


僕は空中にいくつかの人物のデータを表示させる。

そして表示させては閉じる。


「これだけの危険人物がいれば、連盟の方も調査しろというわけだ」


僕達がここに来たのは、母国での警察の様な組織、『魔法連盟』からの指示が出たからだ。

何でも『A~Sクラスの危険人物が集まる学園がある。そこを調査し、我々にとって危険だと判断したら排除せよ』とのことだ。

排除……それは殺せということであり、言うなれば簡単な抹殺任務だ。

そう思っていたのだが、あっという間にその学園に通うという流れになり気づけば今のような状態だ。


(数日見ていても、いるのはねじがゆるんで平和ボケしている奴や、人生をなめた連中ばっか。危険と称されたやつもそんなに危なくない連中だ)


それが分かった僕は、拍子抜けしてしまい、気が抜けてしまった。

それから話し相手を得ようにも、ひねくれ者の性格をしているため、そんな事もかなわない。


「………部活にでも入ればいいんだろうけど」


僕が入部すれば確実にその部は被害を被る。

何せ、僕を狙う命知らずは多いのだから。

だから僕は入部できない。

そして退屈な日々を過ごしていく。


「何だか、むなしくなってきた」


そう呟いて、僕はそれらの事を考えるのをやめると、空を仰ぎ見る。

空は、僕のどんよりとした心情を無視したように、清々しい青空だった。











夜、僕は鈴音学園の校門の陰に隠れていた。

その理由は……


「クソッ! そっちにはいたか!」

「いや、こっちにもいなかったぜ!」


黒服で黒いサングラスの男達が辺りをうろついているからだ。

その手には銃が握られている。

別に僕が追われているのではない。

どこぞの誰かを追っていた者が、ここに来てしまったのだろう。

それが裏社会で今かなり有名な”暗殺者”だということも、すぐに分かった。


(関係ないとはいえ、ここをうろつかれたら迷惑だ。殺るか)


僕は両手に蒸発剣を握る。

勝負は一瞬。

判断を誤ればこっちの身が危険にさらされる。

この緊張感だけは、何万という人を殺してきても無くなることはない。

そして覚悟を決めて、僕は陰から男達の目の前へと躍り出る。


「こんばんは」

「何だテメェはッ!」

「坊やはとっととおねんねしとけよ?」

「見られちまったからには、死んでもらう」


相手は3人。

それぞれの手には銃が握られている。

どうやら背後に隠し持っている剣には、気づいていないようだ。


「ふふふふ……」

「何がおかしい?」


突然笑い始めた僕を見て、警戒した様子で問いただす。


「いえ、おかしなことを言うのでつい。死ぬのは……」


そして一気に動く。

常人には目にもとまらぬ速さで、男達の体を斬りつけて行く。

時間にして約3秒のことだった。


「貴様らだ」


剣をしまった頃には、男達の姿はどこにもなかった。


「寝るか」


そして僕は自らの寝る場所へと歩いていく。

これでここに来て殺した人の数は50を超えた。

僕も立派な殺人鬼だ。

でも僕は、これからも危険人物を排除し続ける。


――全てはこのくだらない日常を続けるために


Side out






3人称Side


学園の屋上。

そこには、浩介が去って行く背中を見送る一人の人物がいた。


「あいつは一体何者だ?」


その呟きは、夜風と共に消えて行く。

そしてまた、新たな朝が訪れるのであった。


Side out

お次は龍賀様です。

宜しくお願いします。

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