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第7話 『フラワーマスターの手作りパン』

蒼き星です。


更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。


今後は、気をつけるようにします。

4時間目の授業、それは誰もが空腹に耐えている時である。その終了を告げるチャイムが鳴った。



「やっと終わったねぇ」



クラスメイトが立ち上がったり、弁当を取り出したりしているなか清水吹雪は背伸びをする。



「今日は、お弁当持ってきてないし、購買に行こうっと」



やることを決めた吹雪は知り合いを誘うべく振り返った。そこには、仲睦まじくしている黒髪の男子と桃色の長髪を持つ女子がいた。



「悠也君、由莉ちゃん、一緒に購買行かない?」


「俺は別に構わないぞ。由莉さんはどうだ?」


「うん♪ 私もいいよ」



由莉はそう言って独り占めするように悠也の腕に抱きつく。悠也も顔を赤くするが、嬉しそうにする。



「あいかわらず仲が良いねぇ、お二人さん」


甘い空気を出す2人を笑顔で見つめながら吹雪は一緒に歩いていく。割と近かったこともあり、すぐに着いた。


「うわあ、焼きたてのパンがあるよ」


「購買にしてはずいぶんと豪勢だな。何かあったのか?」


「私、今日はこれにしようっと」



怪訝に感じる悠也を置いて女子2名はメニューを選んでいた。吹雪はピクルスサンドを取ると、レジに持っていった。



「これをください」


「250円です」



レジで応対したのは本来ならここにいないはずの人物……[四季のフラワーマスター]という2つ名を持つ風見幽香であった。



「幽香さん、なぜここにいるんですか?」


「今年度からパンを卸すことになったの。レジはちょっと代わりにやっているだけよ」


「吹雪さんの知り合い?」



どら焼を手に近寄ってきた由莉が尋ねてくる。



「そうだよ。ちょっときついところもあるけど、良い人だよ。はい、250円」


「趣味はお花を育てることよ。気軽にゆうかりんって呼んでね」



幽香はレジをいじりながらニコッとしながら自己紹介する。



「へぇ、そうなんですか」



ようやく焼きそばパンを選んだ悠也が相づちを打つ。というか、他2人の順応が早い。商品を受け取った幽香はてきぱきとレジを操作していく。



「ありがとうございました」


「どこで食べる?」


「中庭に行こうよ。春だから桜も咲いているし」


「花見か……。なかなか良いな」



昼食を買った3人は中庭へと向かった。




★★★★★




「今年も綺麗な桜が咲いていますね」


「去年も思ったが、良い花見ポイントが多いな、鈴音学園は」


「わざわざ遠くに行かなくて済むね」



3人は桜の木に囲まれるようにあるベンチに座り、食事を始める。



「美味いな、この焼きそばパン。そこら辺のコンビニで売っているものとは、ガンダムとザク位の差がある」


「どら焼きも甘くて美味しいです♪」


「どら焼きはともかくパンに関しては幽香さんのお手製ですから」


頬が蕩けそうな感じで由莉に吹雪が笑みを浮かべながらピクルスサンドを食べていく。



「んっ?」



ふと吹雪の半精霊としての感覚が違和感を感じる。大気の流れが人工的に操作されているのだ。



「どうしたの、吹雪さん?」


「いや、なんでもないよ」



吹雪が最後の一欠片を口に入れようとした瞬間に強風が吹いた。



「きゃあああああッ!!!」



由莉のスカートが大きく捲れあがり、オレンジ色の下着が露になる。その場に居合わせた男子生徒たちの行動は軍隊にも引けをとらない迅速さを持ち、統率されていた。サイレンサー付きのカメラやらなんやらで今の瞬間をバッチリ撮影している。



「もうお嫁にいけないよぉ〜」


「由莉さん、しっかり!!」


「すみません!! 手元が狂ってしまいました!!」



スカートをおさえながら大泣きしている由莉を悠也がなんとか気持ちを落ち着けようとしている。その正面では、魔法を練習していた男子生徒が頭を90度以上下げて謝っている。だが、




「別にいいよ、大したことは起きてないし」



そう言う吹雪本人は丸裸に近い状態となっていた。緑色のブラジャーとパンツがかろうじて無事だが、制服はどこかに飛ばされてしまった。



「うっひょーーーーー!!!」


「実に眼福だ」


「現役グラドルの下着姿を生で見れるなんてラッキーだぜ!!」


「俺、これから毎日学校に来るよ!!」



男子生徒は某特攻兵器の如くトランザム状態になり、完全に手がつけられない状態だ。



「? 何をそんなに喜んでいるんだろう?」


吹雪は特に気にせずピクルスサンドを食べ続けている。



「吹雪さん!! まず服!! 服を着てください!!」



悠也は真っ赤になりながらも自分の上着で吹雪の体を隠す。当然、他の男子生徒からは大ブーイングの嵐だ。



「ん〜、そうだね。油断してると風邪を引いちゃうし」



そう言うと、吹雪は魔術で制服を召喚し、一瞬で着替えて最後の一欠片を口の中に放り込む。それを咀嚼し、飲み込んだ後、立ち上がって背伸びをする。



「2人共、腹ごなしに少し散歩しようよ」


「ま、待ってください、吹雪さん!!」


「やれやれ」



由莉は慌てて立ち上がり、吹雪の後を追い、悠也もついていき、桜並木道の中に入っていった。


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