1.王国祭
西洋風ファンタジーのつもりです!
処女作なので、
読みにくいところや
変なところがあるかもしれませんが、
ぜひ読んでください!
誹謗中傷は書かないでください。
感想や意見はいっぱい書いてください。
もっとこうしたほうが良い、
とか誤字脱字の指摘もぜひしてください!
頑張って書こうと思っているので、
応援よろしくお願いします!!
ここはレーン王国。
今、日も落ち
城内も街も賑やかになってきた。
レーンの者たちはお祭りや宴を好む賑やかな人々なのだ。
そして、年に一度3日に渡って国の繁栄と栄華を祝う、
レーン王国祭という催しが開かれていた。
この催しは、
貴族や平民という境なく、
国中で行われるもので、
今日がその1日目だった。
国王の城には続々と貴族たちがやってきて、
挨拶を交わしていた。
そしてそこに、
立派な紳士と、
その娘であろう金髪で深緑の瞳の、綺麗な少女がやってきた。
その紳士は王座にまっすぐ進んで行き、王に挨拶をした。
「陛下、お久しぶりでこざいます。」
すると王は紳士に向かって笑顔で言った。
「おぉ!来ていたか、ランコート公爵。後ろに連れているのは誰だ?紹介してくれ。」
ランバートは少女を前に促し言った。
「娘のオーディアナでございます陛下。
さぁオーディアナ。」
父に促され、
オーディアナは王に微笑み挨拶した。
「こんばんは王陛下。オーディアナと申します。」
「ランバートの娘か!幼いころに一度会ったな。こんなにも綺麗になったとは!王都に住んでいるのに、ちっともパーティーに来ないなんて。」
と王は笑った。
ランバートは少し焦った様子で王に言った。
「娘は大変内気なもので…」
王への挨拶を終えた二人は
城の広間の隅にいた。
「だからあたしは帰りたいの!嫌だっていったでしょ!」
「オーディアナ!いつまでもそんなこと言っていられないだろう!お前はランコートを継ぐために早く婚約しなくてはいけないのだから。」
「父様が勝手に決めたことでしょう!わたしは政略結婚はしないわ!無理矢理こんなとこに連れてくるなんて!」
そう言うと、
オーディアナは父に背を向け、そこを立ち去ろうとした。
すると後ろから父が叫んだ。
「オーディアナ!城内からでてはならんぞ!部屋にも戻るな。広間にいるのだぞ。」
しかしオーディアナは振り返ることも返事をすることもせずに、
人混みに消えていった。
―結婚結婚って、
あたしのことは何にも考えてくれないのね。
父様にとっては一族の繁栄が一番か。
兄様だったらそんなこと絶対いわないのに…
ごめんね、お兄ちゃん―
歩いているとどこからか自分の名前が聞こえてきた。
「オーディアナじゃない!
珍しいわね。」
声がしたほうを見ると、
そこには友人のフィークスがいた。
「フィークス!会えて嬉しいわ。」
オーディアナは笑顔でフィークスの方へ行く。
するとフィークスは4~5人の女性たちと話しているところだった。
それをみて、
オーディアナの笑顔はすぐに硬直した。
そんなオーディアナにフィークスは
「そんな固くならないでよ。
みんながあなたのこと知りたがってるわ。」
と言って、
そばの女性たちにオーディアナを紹介した。
「皆様、ランコート公爵家のオーディアナ嬢ですわ。」
すると口々に
「まぁ、あなたが!」
「素敵なお嬢様ですわね」
とか言い出した。
オーディアナはそれを無視して満遍の笑みを作り、
挨拶した。
「皆様初めまして、オーディアナと申します。」
そのあとはオーディアナにとって散々だった。
公爵令嬢と言うだけで、
周りはオーディアナに好かれようと、
彼女を必死に褒めちぎった。
つまらない噂話やどこの誰が素敵だという、
どーでもいい話をこれ以上聞いていたら倒れてしまうと
本気で思い出していたオーディアナは、
不意に後ろから声をかけられ、思い切り振り返った。
すると見知らぬ男性が微笑みかけてくる。
誰だ?
と思っていると
女性陣たちが答を教えてくれた。
「まぁ!コルアート様ではないですか。」
するとコルアートは女性陣たちに微笑み言った。
「皆様相変わらず素敵ですね。」
ご執心の女性たちを横目に、
オーディアナはフィークスに尋ねた。
「フィー、彼誰?」
フィークスはびっくりしてオーディアナに
「あなた!彼を知らないの!?あの方は、レイラント公爵家次男のコルアート様よ」
と目を輝かせて言った。
―ブロンドに綺麗なブルーの瞳、令嬢たちが見とれるのも何となく分かる気もするケド…―
と思っていると、
いきなりコルアートに
「オーディアナ嬢、一曲踊っていただけますか?」
と言われた。
急にそんなことを言われたオーディアナは、
気づくべきことにこの時は気がつかなかった。
「あ、えっと、私…」
としどろもどろしているオーディアナには気にもせず、
さぁ
と言って手を取られ、
広間の真ん中のダンススペースに連れて行かれてしまった。
なんとか一曲踊り切ったオーディアナは、
コルアートにお辞儀をし、
「少し疲れましたので。」
と言い、
ダンススペースを後にした。
その後も男性からのダンスのお誘いは後を絶えず、
とぅとぅ嫌になって、
言い訳をして彼女を囲む男性から逃げ、
誰にも見つからないように、
中庭に面した
廊下に出た。
「ふぅ―」
っと一息つき、
庭を眺めた。
―街に行きたいな―
そう思ったオーディアナは
周りを見渡し、
人がいないことを確認して、
手摺りに足をかけた。
そして…
一気に手摺りを乗り越えて、
中庭に飛び出した。
一階と言っても、
地面まではそれなりの高さがある。
しかしそんなことお構いなしに華麗に着地を決めた。
―うまくいった―
と満足し
しゃがんだ状態から立ち上がろうとした瞬間、
ドレスの裾を自分で踏んでいたらしく、
バランスを崩した。
―やばい!―
思い切り後ろに倒れかけたそのとき、
ふわりと何かがオーディアナを抱き留めた。
―えっ?―
不思議に思い、
ゆっくりと目を開けると、
目の前には星空ではなく、
精悍な男の顔があった。
オーディアナが何も言えないでいると、
その人が口を開いた。
「大丈夫ですか?」
オーディアナは、はっとして
急いで立ち上がり、
俯いた。
―見つかった。
この人騎士団員だ。
多分城内警備してるんだ。
父様に怒られる。―
するとその人は優しく言った。
「大丈夫そうですね。
まさか頭上から女性が降ってくるとは思いませんでしたよ。」
少し可笑しそうに言う男に、
オーディアナは俯いたまま言った。
「助けて下さってありがとうございました。
…あの、城に報告なさいます…よね?」
男は黙ったままなにも言わない。
オーディアナは怒られる覚悟を決めた。
すると頭上から少し笑いながら言われた。
「いや、それを報告すると俺がさぼっていたのがバレてしまうな。
それに貴女は誰かに投げ飛ばされたと言うわけでもなさそうだし…
報告するようなことは何もない!
そうだよね?」
と念を押された。
オーディアナは思わず笑ってしまった。
男は不思議な顔でオーディアナを見つめた。
「何か可笑しいかい?」
オーディアナはお腹を抑えて言った。
「ごめんなさい。
ただ、なんかおかしくて。
だって…ふふっ」
男もオーディアナにつられて笑い出していた。
一通り笑い終わると、
二人はそばにあったベンチに腰をかけて話始めた。
「しかし、オーディアナ嬢。
あんなとこから飛び降りたらケガするとか思わなかったのですか?」
「グリーディオ様!
オーディアナ嬢なんて…
オーディアナと呼んで下さい。」
男は少し悩み、
「わかりました。
では俺のことも様などつけずに普通に呼んで下さい。」
と言った。
オーディアナは少し戸惑ったが、にっこり笑い言った。
「はい。
…私は、よく屋敷から抜け出すので、このくらいは。
父が抜け出せないようにって、私の部屋を2階にしたんですケド…
おかげで抜け出すのがもっと上手になりました!」
グリーディオは笑って返した。
「お父上はさぞかし困惑しておられるだろうに!」
「いいえ。父は気づいておりませんから!
私を周りに紹介するとき、
『娘は大変内気なもので』
って言うのよ。
私が馬鹿なことをしないように圧をかけてるの。」
「ずいぶん賢い親子のようだな。」
「父は私を抑えるのに必死で、私は父から逃げるのに必死なんです。」
と笑った。
グリーディオもつられて笑い、
気になっていたことを聞いた。
「でも、なんであんなことをしたんですか?」
「あんなこと?
あぁっ!それは…」
オーディアナは少し考えた。
―この人は悪い人じゃないし、貴族の私に媚びるわけでも、遠慮するわけでもない。
この人になら言ってもいいかな…―
オーディアナは急に真剣にグリーディオを見つめて言った。
「私は…レーン王国祭が嫌いです。」
グリーディオは何も言わずにオーディアナを見つめた。
「王国祭だけじゃない、パーティーとかそういうものは嫌い。レーン王国祭は貴族も平民も境なく行われるものなのに、
なぜ城には貴族しか入れないの?
みんな、無意識に自分の権力や地位を見せびらかしてるの。
私は街に行きたいのに城から出れない。あたしは外へ行きたいの!」
オーディアナは一気に吐き出した。
グリーディオは少し間をあけ答えた。
「君は、貴族がきらいなのか?」
オーディアナはこくりと頷いた。
「貴族の御令嬢が貴族ぎらいね。」
と言い、グリーディオは少し笑い、
「屋敷に閉じ込められて、嫌いなパーティーにいかされて、自由がない、か…
でも、もし自分の思い通りにしたいなら努力しなくちゃね。
手摺りを乗り越えるのはあまり感心しないけど。」
と言って、オーディアナに笑いかけた。
オーディアナは空を見上げて
何かを考えていると、いきなり
「わかった!努力するわ!」
と叫んだ。
そして
「街へいく。抜け出す!」
と言った。
今のオーディアナにとって、
最大の不自由は城に閉じ込められていることらしく、
グリーディオの言った通り
城から脱走する努力をしようという結論に達したらしい。
グリーディオはオーディアナのこの突飛な発想に驚いて
急いで言った。
「なっ!?城から抜け出すなんて、城内は常に見回りがいるんだ!危険だ!」
オーディアナはもう決めたらしく、
全く動じず
「平気、こんくらいなら余裕よ。ねぇあなたは、3日間ずっと警備しているの?」
と言った。
グリーディオは呆れてしまい、頭をかきながら答えた。
「はぁ―全く。
いや。一人一日づつ割り当てられてる。」
「じゃあ、あなたは明日城にくる?」
オーディアナは首を傾げながら聞いた。
「まさか!城になんか行かないし、行けないさ。
行くとしても街だが、
行くかはわからないな。」
するとオーディアナはぱっと顔を上げ、
まるで天才的名案が思いついたとばかりにグリーディオに言った。
「連れていって!」
グリーディオは驚いて、
オーディアナを見た。
オーディアナは構わず続ける。
「あなたがいれば安心だもん!一人でうろつくよりずっと楽しいし。だめ?」
グリーディオは困ってしまった。
そして、
「じゃぁ、父上から許可をもらってきたらいいだろう。」
と言った。
もちろん無理とわかっての条件だ。
オーディアナは少し渋い顔をしていたが、
急に
「わかった!許可ね!」
と言った。
オーディアナはグリーディオを見つめて
「城門の外で待ってて。
王国祭は5時半から始まるから、6時に行く。
そのくらいならもぅみんな広間に行っちゃってるはずだから、見つからずに行けるわ。」
と言い、小指を出した。
二人はしっかりと指切りをし、別れた。