表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/24

夏の終わり。未来の始まり

 夏休みが終わると、当たり前だけど学校が始まる。


 僕は寝ぼけた目をこすりながら、布団から起き上がった。

 昨日は、夏休み最後の一日だからって、花火やらバーベキューやらをして夜まで遊んで過ごしたから、今朝はどうにも寝不足だ。


 誰かが来る前に、僕は制服に着替える。

 以前見られたときは、不審者でも見たのかってくらい叫ばれたから、最近は出来るだけ朝早くに、しかも素早く着替えるようにしている。


「おはよ~……」

「おはよ」

「うぇ……もう制服着てるの? 家出るまでまだ一時間くらいあるけど」

「誰のために早く着替えてると思ってるんだ?」


 鈴夏が起きてきて、それからお父さんとお母さんが起きてくる。


 三人が身支度を済ませているその間に、僕は朝食を作る。

 これが、朝からこの家にいるときの日課だ。


 朝食は簡単にトーストとベーコンエッグ。お好みで牛乳もついてくる。

 ちなみに、通常一つずつのところ、鈴夏の皿にはベーコンとエッグが二個ずつ乗っている。おいしそうに食べてくれるから、いつもついつい乗っけてしまうのだ。


 そして、「いただきます」で始まった朝食は十五分ほどすると、「ごちそうさま」で終わり、みんな忙しく家の中を駆け回る。


「鈴夏、そろそろ行かないと。新学期早々遅刻はまずいよ?」

「んー……わかってるよぉ……はぁ、じゃあ、行こっか」


 玄関で靴を履きながら、リビングでうじうじとしていた鈴夏に声をかける。

 すると、憂鬱そうにしながら、玄関に来た。

 靴を履くと、ようやく登校の準備が整った。


「二人とも、忘れ物はない?」

「大丈夫だよ、お母さん。一昨日ちゃんと準備したから」

「はい。僕も大丈夫です」

「そう? それじゃあ気を付けてね」


 玄関のドアを開ける。鈴夏が先に出たら、僕も出た。


「じゃあ、行ってきます」


 そして、ドアを閉めたら、通学路を歩きだす。


「……ん?」

「どしたの?」


 何気なくポケットに手を入れたら、なにかが入っているのに気がついた。

 取り出してみると、四つ折りの紙が三枚入っていた。


「あれ? それ持ってきたの?」

「置いてくるの、忘れてたみたい」

「じゃあ、今日帰ったらちゃんと入れておきなよ?」

「忘れちゃうかも」

「そしたら、わたしが勝手に取って入れておくよ。いつものところでいいんでしょ?」

「おぉ。ありがたい」


 なら、今日は学校に持っていくか。三枚くらいなら、落とすこともないだろう。

 十五枚全部あったら、わからないけど。



***



 夏が終わって、秋が来て、冬が過ぎて、春が始まる。


 そうして、それが二度繰り返された日、僕たちは高校を卒業した。


 あの夏が終わってからというもの、鈴夏は学校でもずっと僕と一緒に過ごした。

 学校側が異例の配慮で、鈴夏と僕を同じクラスにしてくれたおかげで、本当にずっと一緒だった。


 それが嬉しくもあったけど、ちょっと恥ずかしくもあった。

 鈴夏もそれがわかっているから、僕にくっついてきたんだと思う。


 そういえば、彼女は光一やかなめとも仲良くなった。二人と話すときは、本当に楽しそうに喋っていた。

 特にかなめとはやけに意気投合して、卒業のときには二人してわんわん泣いていた。

 お互い泣き虫だなと、僕と光一はにやけてた。


 卒業式のときに、鈴夏が描いた絵は全部で四枚。僕たち四人、それぞれが一枚ずつもらった。

 もうコンクールとかのためには描かないのに、僕たちに向けて描くときには楽しそうに描くのだから、やっぱり絵を描くのが好きなんだと思う。


 その絵は、今も僕たちの家に飾ってある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ