エピローグ
翌朝——バルハッド王都、ザラーム。
セリアとグリは、王宮の謁見の間にて、再びサイファーン王と対面していた。
王は彼女たちの帰還を見て、ほんの少しだけ目を見開いた。
「まさか、あやつとの遭遇を生き延びるとは……」
セリアは笑って答える。
「ぜんぜん勝ったわけじゃないですけど……でも、負けませんでした」
「マケナカッタ!」
グリが胸を張るように羽をバタつかせ、玉座の間に失笑が起きた。
王は小さく頷き、語る。
「今回の戦いにより、バルハッドの民は再び神獣とその導き手に希望を抱くようになった。 その存在は、国を超えて広がり始めている」
「……えっ、ということは……」
「次の地——魔王の気配が濃い“東の荒野”からも使者が届いている」
セリアはグリと顔を見合わせた。
「……次、ですか」
「ツギ!」
王は立ち上がり、静かに手を差し出した。
「砂漠の国バルハッドより、そなたたちの旅路に加護あらんことを。」
それは、称賛でも、命令でもない。 ただ“信頼”を込めた言葉だった。
セリアは背筋を伸ばし、深く頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「アリガトウ!」
こうして、セリアとグリは再び旅立つ。
砂漠の国を後にし、魔王の気配が色濃く残る次なる地へ——。
その行き先がどれほど危険であろうと、彼らは進み続ける。なぜなら、旅の終わりはまだ、遠い。
——異世界に転生したのは俺じゃなくてオウムでした。彼らの戦いは、まだ、これからだ!