見守る俺
場面は再び、現代。
俺は暗い部屋でモニターを見つめていた。 飲みかけの缶コーヒーがデスクの端に置かれ、カーテンは閉め切られたまま。
モニターの中では、セリアとグリが敵を退けた直後だった。
「……すげぇ……マジで、やりおった……」
俺は、思わず小さく呟く。
数週間前まで、オーク一匹にも逃げ回っていた少女。 飼い鳥だったグリ。
その二人が、今じゃ立派に連携して、魔王軍の幹部の部下まで倒している。
「ちょっと前まではさ……なんかもう、見てるこっちがハラハラしてたのに……」
俺は椅子にもたれ、ため息をついた。
「けど、やっぱ……本物が来るんだよな。烈砂のサーベル……。なんつー名前だよ。絶対強いじゃん……」
指先が、カタカタとデスクを叩く。
「グリは……セリアは……勝てるのか? いや、勝てる勝てないっていうか、無事でいてくれよ。マジでさ……」
ふと、モニターの中のグリが羽をばたつかせる。
「フアン……ナイ?」
まるでその言葉に応えるように——俺は、うっすらと笑った。
「おう。お前なら、大丈夫だ。俺が見てる。」
心の中で、そう強く願いながら、俺は再び画面に集中する。