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プロローグ

 広大な砂漠が地平線の果てまで続いていた。  焼けつく太陽、乾いた風、きらめく蜃気楼。

 そこに、一人と一羽の影があった。

「暑い……。神獣様、私、やっぱり砂漠って苦手かもしれません……」

「アツイ……!」

 セリアがフードをかぶりながらうなだれ、グリは羽を少し開いて地面にへたり込んでいた。

 ここはバルハッド。広大な砂漠の中に築かれた大国であり、かつての大陸戦争でも中立を保ちつつ圧倒的な軍事力を誇った地域。

 しかし今、この国にも魔王軍の影が差し込んでいた。

 魔王軍幹部《烈砂のサーベル》。

 その存在はバルハッドの辺境都市を次々と焼き尽くしており、王都バルハッドも今や風前の灯火といわれている。

 そんな国へ、あろうことか「神獣とその使い」が足を踏み入れようとしていた。

 もちろん、本人たちにそんな重たい自覚は——

「ねぇ神獣様、ちょっとだけ休憩しても……」

「ナニ? ナニ?」

「だから、もうちょっと歩けって!? えええ、マジで……」

 旅は続く。  魔王軍との戦いも、終わりはまだ見えない。

 けれど、それでも。

 今日も、見習い召喚士と神獣(?)の、ちょっとおかしな冒険が始まろうとしていた。

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