第五話 バケモノ達の哀唄
すいません、データが消えてしまい一日遅れました。
漸く、ヒロインの登場です。
意味わかんない内容です。
これぞ、駄文。
これから、少しずつストーリーが進んで行きます(予定)。
……高校生には、ちとキツイです。
『人は、自らと違う存在を畏れ、排斥しようとする生き物である』
『バケモノ』
なんてはことない、ただの言葉。
それは、異形の存在を意味する言葉。
人が自らと違う存在を抽象的に表し、蔑む言葉。
そしてそれは、悪意の言葉。
………………………………
……聖セレスティア学園に入学してから、はや一週間。
クラスの人間にも慣れてきたと少しは思う。
学校には、友人という存在が少なくとも一人はいるべき、というかいるだろう。
前の世界では正直いなかったようなものだったが、今回は俺にも、クラス内に友人と呼べるようなものができた。
……まぁ、向こうが勝手に付き纏ってきたのだが。
「キョウや〜ん」
噂をすればなんとやら、早速大切な友達の登場だ。
「……何かショッキングなこと言われた気がする」
「俺がそんなこと言う訳無いだろ?」
「ん〜、確かにそうさね」
……そうさ、安心しろ。
言いはしないさ、言いは、な。
「なぁ、今日からだぜ」
さっきまでの流れを完全に無視して、奴、ラウ・エビデンスが口を開く。
「ん、何が?」
俺は特に興味も無く聞き返した。
「オイオイ、何がってチーム決めに決まってるでしょぉが」
「……なんだよ、それ。カインの奴そんなの言ってたか?」
「いんや、副担当の眼鏡のオッサン、略して眼鏡さんが言ってた」
……ラウよ、その略しかたは何なんだ?
ていうか副担、あんた偉い!
「うし、ということでチーム決めるぞ」
教室にクラス全員が揃ったところで赤髪の教師が声をだす。
……何がということ何だ?説明くらいしろヤンキー教師。
「「聞いてませぇ〜ん」」
生徒達の声。
当たり前の反応。
「そりゃ、言って無いからな」
不可解な行動。
「「もっと早く言って下さい」」
当然の言動。
「んだとコラァ!このクラスで一番偉いのは誰だ?……俺様だろうがオイ!全部俺様が中心なんだよ、俺様が偉いんだよ、俺様が神なんだよぉ!……フハハハハハァ、人がゴミのようだぁ!」
人として終わってしまっている言動。
ていうか何だよこの教師、どこぞのム〇カだよ。
……教育者どころか人として失格だ。
「……よし、奴はほっといてチーム作るぞ」
唯我独尊の極みまで、一人上り詰めてる赤髪不良教師を無視して、話を進める。
……チームとは、この学園生活では無くてはならないものだ。
通常、このチームで行動することになり、また、成績も個人だけでなくチームでも評価され、問題を起こした時も連帯責任となる。
そんな学校に優しいシステムになっていたりする。
……何が優しいかって?
自分で考えな。
ヒントは精神面について、だ。
まあ、そんなことは置いといて、チームは男女二名づつで構成される。
それがまた憂鬱なのだけれども。
「ねぇ、チーム組まない?」
特に話したことの無い女子に声をかけられる。
これでもう四回目だ。
俺は特に考えることも無く、丁重にお断りした。
「やっぱキョウ大センセはモテるにゃ〜」
まるで気持ち悪くなるような笑みを浮かべ、ラウ、いや訂正、馬鹿が金髪を揺らし近づいて来る。
「……なぁ、何か無性に泣きたくなってきたんだけどさ、何か言った?」
「まさか」
「う、うん。そぉだよなぁ、キョウがそんなこと言う訳無いもんなぁ」
うん、そうだよ、と一人納得するラウ。
……キャラがおかしいぞ、お前。
「とりあえずキョウやん、チーム組むぞ!」
突然元気になるラウ。
「え〜」
「え?いや、組もうよキョウやん」
「………………いいぞ」
「その間は何!?」
五月蝿いな。
「まぁ、気にするな」
「気にするわぁ!」
鬱陶しい。
「ま、まぁそれは置いといて、チームメイトがあとオンにゃの娘二人必要なわけだけど、どうする?キョウやん」
何か凄いな、コイツ。
「……まぁ、今日を含めて三日ある」
「うんうん、それで?」
「だから頑張れ」
「おう、任せとけ!ってあれ、……つかぬ事をお聞きしますがキョウやんは?」
「…………」
「え、何か言おうよ、ねぇ、何か言ってよぉぉぉ!」
「…………」
「キョウやぁぁぁん!!」
´
「さて、ということで二人で一人づつ見つけようぜ」
ついさっきまで泣いていた、というかさっき泣きはじめたのにもう復活している。
「じゃ、あと二日で見つけろよ。オイラも今から捜して来るっぺ」
そう言って女子の集団に特攻を仕掛ける勇者ラウ。
……合掌する間も無く星になった奴を見て、俺は奴を少しばかり憐れに思った。
「さて、と」
……という訳で、俺はチームメイトを捜すことになったのだが……
……視線が痛い。
特に女子の。
だってガン見だぞ。
一部に限っては何かオーラみたいなのが出てるし。
俺を呪い殺すのだろうか?
………………………………
……実を言うと、チーム決めの話を聞いた時、ある人物のことが頭に浮かんだ。
俺はその人の方に目をやる。
……彼女は、何時も独りだった。
もちろん、今も。
何時だって、窓の外を見ている。
そのことを不思議に思い、クラスの人間に聞いたがどうも歯切れが悪い。
仕方が無くラウの奴に聞いたのだが、返ってきた言葉は俺に幾つかの衝撃を与えてきた。
『魔物』
彼女は、純粋な人ではなかった。
父親が魔物と呼ばれる存在らしい。
『バケモノ』
彼女はそう呼ばれ、忌み嫌われてきた。
だからだろうか?
初めてみた瞬間から、彼女のことが気になったのは。
……同情?
いや、違う。
親近感?
かも知れない。
ただ、何というか……
………………………………
俺はゆっくりとした動きで席を離れ、紫の髪と紫の瞳を持つ少女のもとへと歩みを進めた。
彼女は、紫の瞳を窓の外へと向けている。
……後ろで束ねた紫の髪が微かに揺れた。
「なぁ」
とりあえず声をかける。
「……」
無視かよ。
「なぁ、聞こえないのか?」
「…………何?」
ようやく返事をしやがった。
といっても顔は窓へと向けたままだが……
「俺はキョウ・カンヅキ。君の名前は?」
「………」
……返事は無いただの少女のようだ。
「なぁ、きk「……リリア」こえるんじゃないか」
とりあえず耳は正常に稼動しているようだ。
「なぁ、もしよかったら俺とチーム組まないか?」
気づいたら誘っていた。
どうしたんだ、俺の喉。
今日はやけに饒舌じゃあないか。
……俺の言葉に彼女は、一度だけこちらを見た後、すぐに顔を窓に戻した。
「……必要ない。……あたしにこれ以上関わるな」
拒絶の言葉。
「……何故?」
そう返すと彼女は、
「……同情なんていらない。そんな優しさなんて、大嫌い」
そう、答えた。
………………………………
……俺には、嫌いなものが沢山ある。
その内のひとつが、『同情』
……同情なんてするのもされるのも、
『大嫌い』
……その時の俺の顔は、きっと、醜く歪んでいたに違いない。
「……ざけんな」
俺が同情?
笑わせるな。
「同情、だと?」
お前に同情したと言うのか?
ふざけるな。
「へどがでる」
俺はな、同情なんてな、
「……同情なんて……」
「……大嫌い」
……冷たい、そう思った。
「お前が魔物だろうが、人間だろうが、何だろうが、俺には関係ないね。そんなくだらないことで特別視なんてしない。……同情なんて以っての外だ。お前はお前以外の何者でもないし、俺は俺でしか有り得ない。……同情する筋合いも無いし、したくも無い」
……俺が正気に戻ったのは、全てをまくし立てた後だった。
「……悪い。少し頭を冷やしてくる」
ばつが悪くなった俺は、リリアに背を向け、その場を逃げ出そうと歩き出した。
じゃあな、もう誘わないよ。
そう言い残して教室を出ようとする。
「……ねぇ」
不意に、少女の声が背にかかる。
俺は言葉では無く、足を止めるという行動で彼女に答えた。
「……あなたは、怖く無いの?」
少し、控えめな声。
……何だろう、この感じ。
「何が?」
……とても、気になる。
「……あたしは、ニンゲンじゃないの」
今度は、何かに堪えるような、何かに怯えるような、何かに縋るような、そんな感じの、か細い声。
……あぁ、そうか。
「……だから?」
……だから俺は、この娘のことが気になったのか。
「っ……だからって!!」
……この少女も、そうなんだ。
「……言ったろ?……関係ねぇよ」
……解るか?リリア。
「関係無いって……魔物なんだよ?怪物なんだよ?『バケモノ』なんだよっ!?」
感情の高ぶり故か、声を荒げる彼女の泣きそうな声。
……痛々しい顔。
俺は振り向くと、目の前の泣きそうな少女に目を合わせる。
ビクッと震える彼女は、見ていてとても弱々しい。
……俺の左目に彼女が映る。
彼女の瞳が瞳に映る。
その逆もまた然り。
彼女の両目に俺が映る。
俺の瞳が瞳に映る。
´
彼女が息を呑むのが瞳に映る。
呪いの瞳に彼女が映る。
……さぁ問題です、俺は『ナニ』でしょう?
………………………………
あたしは、ヒトに生まれたかった。
俺は、ヒトとして死にたかった。
……何時だって、独りだった。
誰も傍にいてはくれなかった。
誰も自分を見てくれない。
誰も自分をわかってくれない。
何も変わらないのに。
自分は自分なのに。
自分は自分なだけなのに。
何時でも独り、何処でも独り。
誰も優しくしてくれない。
誰も温もりを与えてくれない。
だってヒトとは違うから。
誰とも違う生き物だから。
独りは嫌だ、だけど近づかないで。
独りにして、だけど傍にいて。
温もりが欲しい、優しさが欲しい。
……与えられないということは、わかってる。
だってあたしは……
だって俺は……
『バケモノ』だから。
……だけどもし、願いがひとつだけ叶うのなら……
´
……あなたの『愛』を、あたしにください。
……君の『愛』を、俺にください。