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第二話  アホ毛と紫煙と赤髪と……

元旦駅伝、朝早くからはかなりキツイ(*_*)


第二話です。


……全然進まん(−_−#)



 『偉人の言葉と一般人の言葉の重みには天と地ほどの差が存在する』








 「―…で、あるからして…」



 長ったらしい話を延々と吐きつづける男の、中身の無い話が耳を右から左へと抜けていく。






 ……眠い。




 あまりの眠気に少し押されつつも、俺と睡眠欲との闘いは佳境へと入っていった。






 今は、入学式の真っ最中。


 俺は校長の子守唄(長い話し)をBGMにして、敵(眠気)と激しい闘いを続けている。



 く、なかなかやる。



 この世界に来てからここまで苦戦したことがあっただろうか。


 朝の校長は侮れない。


 かなり重い瞼を閉じないように必死に耐える俺は、校長という人の実力をはっきりと理解した。





 ……まぁ、冗談はここまでにして、(かなり眠いのは本当)俺は入学式を受けている最中だ。




 あえて言おう、つまらない。



 延々と続く校長の話を聞きながらそう思う。







 後アレだ。視線がうざい。



 いくら黒髪が珍しいとはいえ、ここまで来ると視姦の域だ。



 ジロジロと見てくる奴らに憤りを感じる、けれど表情は崩さない。




 否、崩せない。




 ……昔から感情を表すことが苦手だった。


 独りで過ごすことも多かった。


 だからいつも俺は無表情。



 笑うということが苦手だった。










 ……長かった校長の話もやがて終わりを迎え、そのまま入学式はお開きとなった。





 新入生はこれからそれぞれのクラスの教室へと向かうことになる。










 ……あ。クラス分け見るの忘れた。




 俺は鬱陶しい視線を十分に浴びながら生徒玄関へと向かう。


 勿論、クラス分けを見に。










 クラス分けの結果は一年A組だった。



 この学園のクラスは、優秀な者(単純な成績や魔法の使える使えないではなく、主にどれだけ素質があるかで判断される)からA、B、C、Dといった具合にAからGまであり、それが三学年分ある。



 また、三年になると通称Sクラスというものができる。



 このクラスは最も優秀な成績を残した生徒が選出されるクラスで、名実共に最高のクラスであると言えるだろう。










 (……広いな)



 教室の扉を開くと、やけに広い空間が広がっていた。


 一クラス五十人全員が寝転がっても、余りあるほどの広さ。





 ……流石だ。

 と、いうか想像以上。




 この広さは必要なのだろうか?







 まぁ、疑問には思うがそれはいい。



 今一番重要なのは―








 ―うわ、うざっ。




 …こちらを見てくる幾つもの視線。



 こちらを見る目、目、目。


 それは、いきなり遅れてくる生徒は珍しいかもしれないが、しかもその生徒が珍しい黒髪なのは、それはそれは物珍しいだろうが、正直言って見られる側はかなりうざい。



 俺は突き付けられる幾つもの視線を鬱陶しく思いながらも、教卓の前にいる担任らしき男の所へと歩みを進める。



 ……ヒソヒソと囁く声がこれまた幾つも聞こえるが、特に気にしない。


 気にしてもしかたがないし、な。








 「……A組、キョウ・カンヅキ」




 そう、これが今の俺の名前










 ……男は担任ではなく、副担任だった。



 担任がいつまで経っても来ないから、代わりに作業していたらしい。





 まあ、副担から席を聞いた俺は、窓際の最後尾というベストポジションに腰をおろした。










 副担によるHRを終え、終了の礼をし、皆がこれから三年間世話になる寮へと向かおうと鞄に手を掛けた時、奴は現れた。










 「……わりぃ、少し遅れた。」



 赤髪の男が煙草を片手に教室へと入って来る。




 ……おい、まだ火が着いたままだぞ。










 「俺がこのクラスの担任、カイン・ロアノークだ。……よろしく、な」



 赤髪の男、カイン・ロアノークは紫煙を揺らしながら、ふてぶてしく笑った。










 ……その後、奴が言ったことといえば、軽く明日の時間割についてくらいだった。(もう既に副担が言っていた)






 変わってる。そう思う。



 少なくとも『普通』の先生とは違う。




 それが良いことか悪いことかはまだわからない。



 けど、こういうのも悪くない。






 奴の頭で揺れるアホ毛を見ながら、密かにそう思った。










 奴の遅れた理由がただの寝坊だと知って、先の思いを取り消すのは、また別の話。

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