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第九話  学園の教師って……

遅れてすいません。


検定の勉強に追われてました。




やっと終わったけど次は漢検……。






ちなみに今回は魔法などの説明のようなものがメインです。



 『人間の本質は個人差はあるものの、主に安心した時に発現するものである』


















 まるでハミングを口ずさみたくなるほどに心地好い春の陽気を全身に浴びつつ、俺は今日という日に似合わないほど暗い、というかちょっとした鬱な気分で、校門へと続く緩やかな坂道をのぼっている。














 「……ハァ」



 そっと溜息を零す。




 すると左腕の袖が引っ張られるのを感じた。





 「どうした?……リリア」





 俺は緩慢な動きで左手の少女の方へと振り向く。



 この気分の原因である彼女は少しばかり頬を膨らまし、上目遣いで睨んでくる。












 ……ずっとこの調子だ。














 部屋を出ると同時に、扉の前で待ち構えていた彼女に捕獲されたのだ。




















 彼女を見つめつづけると、何故だか彼女は頬を赤くし目を逸らす。















 ……うん、可愛い。


 って、違う。そうじゃなくてだな、確かに傍にいるとは言ったが、これはないんじゃないだろうか?





 ……ほら、今もすれ違った奴がこっち凝視してるし。






 ……うん、うざい。



 この感覚には正直いっこうに慣れないな。



































 ――あの夜からもう一週間たった。


 そしてその間はずっとこんな状態が続いている、というかむしろ悪化の一途を辿っている。






 まあ、リリアに会ってからは話し掛けてくる奴が一気に減少したので、それに対してはよかったと思っているが。


 ただ、初めてこの状態で登校した時はかなり苦しかった。


 通学中は勿論のこと、教室に入ったとたん突き刺さる目、目、目。



 四、五人の生徒がまるではかったかのように一斉に物を落としたのには笑えたが。










 「キョウや〜……ん?あ、あみょ、あ……お、おおうふ」



 ……一番キタのはあの変態ラウの意味のわからないこの反応だ。



 まあ、すぐいつも通りに戻った(意味がわからないのは相変わらず)が。

















 坂をのぼり終え校門をくぐる。



 すると、後方から元気な声が聞こえてきた。






 「やあやあおふたりさん、今日もアツアツだねぇ。……うんうん、仲よきことは、よきかなよきかな」






 肩にかかる程度の茶髪を揺らしながら、そいつは朝から妙に高いテンションで俺達の肩を叩く。






 ……彼女の名前は、ユウリ・ストラウスⅢ世(PN)



 ラウ並の変人であるこいつは、笑いながらこの名前が偽名であると大声でバラすほどの変人で、常々この名前がPNペンネームであると言い張っている。



 何故PNなのかは不明で、今では『新、学園七不思議』のひとつに数えられているほどだ。






 ……ちなみにラウが連れてきたチームメンバーである。





 「さぁ今日も学校、キバっていこぉ〜!」




 朝に弱い俺にとって、朝からこのテンションははっきり言ってキツイぞ。






 ユウリはそのテンションのまま、何故か回転しながら駆けていった。












 「……ねぇ」



 「なんだ?」



 「……テンション、高いね」



 「……ああ、そうだな」






 残された俺達二人は、ゆっくりとしたペースで教室へと向かった。










 ……人には人のペースがあるものだ。



 この時、はっきりとそう思った。


































………………………………

























 「よし……森へ行こう」














 朝のHR終了後、いきなり赤毛のヤンキー教師が言った。






 「「聞いてませぇ〜ん」」


 生徒が言う。






 「今言った」






 「「もっと早く言ってくださぁ〜い」」






 「うっせぇんだよ、クソガキ共がぁ!」






 ……だからこいつ言うことなすこと教師じゃねぇって。




 俺は奴の煙草の火種を目で追いながら、そっと溜息をついた。




 こいつの言ったことは基本変えられない。



 そんなこととっくにわかっている。













 ……こいつだけなんだよな、わけわかんない教師は。


 他の教師は基本的にまともだ。


 優秀な学校なだけはある、優秀な教師ばかりだ。





















………………………………………………………………

























 この学校初めての魔法・魔術の授業は、入学式の翌日だった。












 「――ですから、魔法と魔術は同一視されることが多いのですが、元々魔法は才能であり、魔術は魔法の才能のない、もしくは乏しい者が魔法に対抗するために編み出した技術なのです。それが近年、複合術や錬金術など、様々なものが生まれ、同一視が進んだのです。そして――」







 ……勿論、あの馬鹿教師カインじゃないぞ。


 副担の先生(名前忘れた)だ。






 魔法や魔術の性質や属性、そしてランク、果ては歴史までを無理なく頭に詰め込める。













 ……うん、副担。


 あんたは偉大だ。






























 ……さて、彼が説明したことをちょっと(?)おさらいしてみよう。






 まず属性についてだが、火や水をはじめとする基本。

 これは主に“火”“水”“雷”“土”“風”などといった自然のものであり、ここから派生して展開する属性もある。


 また、これらを総じて『地』と言う。







 そして上級に“光”や“闇”からはじまり、世界を表す“空間”属性や時を司る“時間”など。





 これらはほとんどの人間が使うことが出来ず、出来ても、比較的ランクの低い光や闇などで、残りを使えるのは全くと言っていいほどいない。



 極稀にいたとしてもとても弱いものばかりで、かなり有名な術師でも、空間で電子レンジもどきを造ったり、短い距離をワープしたり、時間で体感速度を変えたりするくらいしかできない。






 ただ、過去にひとりだけ時を駆けるのに成功した人物がいる。






 伝説の魔導士 アイザックは、魔法使いの名家に生まれながら基本属性が全く使えず、落ちこぼれとして肩身の狭い少年時代を過ごしていた。


 そんな彼が魔術を学び続けたのは至極当然と言える。






 だが、ある日突然、彼は自らの内に眠る光と時間の力に目醒めたのだ。



 そしてその力と魔術を組み合わせることにより、合計十三回の時間跳躍に成功した。












 ……とはいえそれは人には過ぎた力である。




 アイザックは十四回目の時に、力の制御に失敗、結果的に彼は住んでいた家もろとも消滅した。




















 このように、上級(特に光や闇以外のもの)は人には強すぎる力だ。




 やがて人はこれらの力を『天』呼ぶようになった。










 『天』『地』ときたら忘れてはいけないのが『人』だ。


 『人』は、先程説明したものに属さないもの、たとえれるなら肉体強化や物質の巨大化や縮小化などが挙げられる。






 『天』『地』『人』



 これらが俗に言う三大属性だ。




















 ……さて、最後にもうふたつ、“無”と“創造”について、だ。






 かつてただひとりだけいた両属性の使い手は、約五百年前にあった魔族と人の百年にもおよぶ戦争、『聖灰せいかい戦争』において人類の救世主と書物に記される英雄であり、たったひとりで魔王を城ごと打ち倒し大戦を終結させ、その後、魔王城跡に国を創造し、彼方へと去っていったひとりの道化。






 全てを知り、全てを得ながらも、道化に身をやつした彼を人は呼ぶ。




 “愚者”《ザ・フール》と。

























 まあ、主にこれらが属性というものだ。



 ちなみに無と創造は天地人のいずれにも属さない。


 属させることができない。




 天にでも属させればいいという意見もあるが、このふたつの力は破格の存在であり、使える者がいないというのが大前提の属性だからだ。
















 さて、属性についてはもういいだろう。



 次は術のランクについてだ。





 まず、基本的なものが初級。


 これは火属性だったら火を出すなど、最も簡単にして全ての基本だ。




 そして中級はその発展版であり、高い威力や効果を持ち、一人前の使い手として認められるにはこれをひとつは確実に使えなければならない。



 その上にある上級は、中級を遥かに越える力を持ち、この力を得るということは、優秀な使い手として認められるということであり、社会的地位もかなり強くなる。






 そして最上級。



 これは使える者はほとんどいなく、その中でも使いこなせる者は一握りで、その者は偉大な術士として二つ名を得るのだ。














 主なのはこの四つで、他に古代の術士が作り出した古代、精霊をはじめとする特別な力を持つ存在が使える聖霊、魔法と魔術を組み合わせた複合、そして全ての頂点にあるものが唯一“愚者”のみが使えたという究極の秘術、最強にして至高、神の域まで到達するという『神域』。









 ……あと、最後にひとつだけ、“真理魔導”について。




 真理魔導とは、全ての術士がひとりひとつは使える奥の手で、その人その人違う力を持ち、詠唱の内容も長さも人それぞれであるそれは、自身の存在の全てと言っても過言ではない。





 ただ、ひとりひとり持つ力故の欠点もあるのだが……



































………………………………………………………………






























 ……さて、今俺は学園にある森の、百八個ある入り口のひとつにいる。




 近くにいるのは、紫の少女リリアに、超ハイテンションガールユウリ、そして金髪の馬鹿ラウ。






 「あれ?なんでだろ。……暑くもないのに目から汗が出てくるよ」




 なんか聞こえてきたけど無視する。






 「……グズッ……もういいや」






 俺は悪くない。


 本当のことを思っただけだ。






 ――ガクッ






 ……なんか変態がひとり膝をついて崩れ落ちたが、狂ったのだろうか?なんて無意味なことは考えない。



 いつも通りだ、こいつがおかしいのは。






 ――ドサッ






 ……なんか変態のいた所に変態の死体が転がっているが気にしない。






 うん、正直そろそろ少しだけ可哀相に思えてきたので、俺は弄るの、というかこいつのことを考えることをやめる。




 そして、俺達は森へと向かっていく。






 「……て、ちょっと待ってよ、キョウやんっ!」



 突然死体が叫びだす。







 ………………………………………おっと、そういやいたんだな、こいつ。



 考えるのをやめると同時に忘れてた。








 「……なんだ、いたのか」





 「ラウちゃんショォッッッック!!」







 何故だか皆目見当がつかないが、ラウがいきなり悶えだす(笑)











 「……ねぇ、キョウ」



 リリアが服の袖を引っ張ってくる。






 「どうした?」






 「早く……いこ?」




 とりあえずリリアさん。



 性格変わり過ぎです。







 「そんなぁ〜リリアちゃ〜ん。オイラも「邪魔、耳障り、逝ね害虫」……スンマセン」






 あれ?リリアさん?



 ……まぁ害虫ラウだしいいか。











 俺達は初の外部実習として森へと赴く。







 勿論、馬鹿ラウを除いて。


























 「俺もいるよぉ!ねぇ!……ちょっとぉぉぉ!!」

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