番外編 ちょっぴり悪虐王子サマ
超短編です。
今日はもう一話投稿できそうです。
速報です。旦那様の新たな面を発見いたしました。
場所は礼拝堂で、お義父様と二人で話しているところを見てしまいました。
雰囲気はなんだかやばいです。ひょっとして、この親子、超仲悪い!?
「——我道から背くやり方を好むお前に興味、ましてや、情などない。私の前から失せろ、ヴァレンス」
ええーっ!?なんだかすごい殺気を感じるんですが?殿下に至っては剣を抜きそうな勢いです。
「私には私のやり方がある。私は父上の残虐なやり方に従う気は微塵もない」
殿下、クーデターでも起こしかねないくらい鋭く冷たい目をしています。
でも、話を聞いている限り、悪虐なのはお義父様のように聞こえます。
それに、あの強盗商人の裁判の時に、命の大切さをお伝えしたら、ちゃんとわかってくれましたし。
「今の政治は軍事力で楯突く者を抑え込み、いわば反独裁的に行われている。何なら、暗殺だってためらわずに実行する。そんな父上の道徳に背く行いは、国を疲弊させるだけでなく、制御の利かない状態まで追いやってしまう」
殿下の目は真っ直ぐ、お義父様の暗い瞳を見つめています。
お義父様は髪を靡かせると、出口の方を向きます。
幸い、私が聞き耳を立てている方ではない出口に向かってくれているので、盗聴を続けます。
「世の中はそんなに甘くできていない」
「いや、必ず。平和な世界を作り出して見せる」
お義父様は何も言わずに立ち去りました。
あれ、あの噂って「悪虐王子サマ」の噂ですよね?「悪虐な国王」の噂ではなかったはずですよね?
混乱してきました。
「ローザ、君も礼拝に来たのかい?」
今の殿下は、さっきまでの鋭い目とは正反対の、満面の笑みを浮かべて話しかけてきました。
殿下って実は犬系ですよね...
殿下を見ていると、無性に犬が飼いたくなります。
「はい、そうです」
——今はまだ、さっきの会話は聞かなかったことにしておきましょう。
レイザスラルクの国王の設定も考えなきゃ...
tx!:)
ありがとうございます(╹◡╹)