027_最も険しき道
「――――――リーベル校長っ!! 大変な事態になりやがった! 予告状だ! 白の魔女から予告状が届きやがった!!」
乱暴に扉を蹴飛ばして内階段を飛び降りるように現れた女性は、叫び声のような発言をした後にようやく俺たちの存在に気が付く。
やってしまった、という感じのバツの悪い表情を浮かべる女性。
黒髪に白いメッシュと耳に複数のピアス。目つきの悪い人相からも、若干ガラの悪い印象を受ける妙齢の女性は魔法学校の制服ではなく、パンクっぽい改造が施されている魔女の正装を身に纏っている。
そして、彼女の横に小さな西洋人形が漂うように浮かんでいた。
頭の裏をガシガシと掻く女性は取り繕うような表情を浮かべる。
「あー……。お取込み中だったか。何つーか……その……」
「――チェイリス先生。部屋に入る時は静かに丁寧にといつも言っているでしょう? 貴女はどうして何度言っても同じ過ちを繰り返してしまうのかしらぁ?」
表面上の声調は穏やかだったが、リーベル校長から静かな怒気が漏れ出す。
ずっと優し気で人の好い初老のおばちゃんが初めて見せた不機嫌な様子に、思わず俺の背筋が伸びる。
張りつめた空気が場を支配して、怒りの矛先を向けられた女性――チェイリス先生が緊張の面持ちで校長を見つめ、その周囲を不安そうにオロオロと西洋人形が飛び回る。
そんな中、内階段を下りてくる足音が聞こえてきて視線を向けると、今回の入学試験で試験監督だったレナード先生がチェイリス先生に続いて入室してきた。
やや息を切らした様子のレナード先生はすぐその場の状況を理解し、救いを求めるチェイリス先生の視線にため息をついてリーベル校長の方を向く。
「リーベル校長。お気持ちはわかりますが、今はどうかチェイリス先生の話を聞いてあげてください。――急を要する話なのです。彼女には私からも後ほど注意しておきますから、まずは報告の方を……」
「……はい、はい。わかりました」
別の教師からのフォローにチェイリス先生が目を輝かせ、リーベル校長が呆れたような視線を向ける。
人に物を教えるタイプの魔女には見えないが、この不良っぽい妙齢の女性も教師のようだ。
神秘を操る魔法使いの教育者ともなれば、上品だったり優し気だったりとテンプレな教師ばかりではなく、こういう一見教師として向いていなさそうな型破りな感じの先生もいるらしい。しかも、使い魔なのか知らないが、可愛らしい人形を傍で宙に浮かせていたりと個性的だ。
教師たちのやり取りに気を取られているとリーベル校長が立ち上がる。
「マヤさん。コタロウ君。ごめんなさいねぇ。どうやら急な用件が舞い込んでしまったみたいなの。とりあえず今日はこれでお開きにしてくださいな」
リーベル校長に続いて、俺と魔耶も起立してソファーから離れる。
これから先生方とする話は生徒には聞かせられないから、教員関係者以外は退室しろという事だ。
「何か相談事があったらいつでも相談してもいいからね? 私は忙しい身の上だけど、必要なら時間を作りますから」
「はい。ありがとうございます。――では、私たちはこれで失礼します」
特に引き下がるでもなく、魔耶は内階段を上って校長室から退出してしまう。
せっかく相談する絶好の機会だったが、乱入者によって完全に逃してしまった。
運命の意地悪な導きに口惜しく思いながらも、これ以上は打つ手がないので致し方なく魔耶の後に続いて内階段を上り、校長室の外に出る。
すると、両扉は自動的に閉まってカチリと施錠する音を鳴らす。
耳を澄ませてみるが、中の音は一切拾えない。
既知の単語が出てきていただけに話題が気になるところだが、防音対策はしっかりしているらしい。
チェイリス先生は確かに言っていた。――白の魔女、と。
それはどんな宝も盗む伝説の大怪盗を示す蔑称。
如何なる理由でチェイリス先生がその名称を出したのか興味をそそられる。
他にも予告状とも言っていたし、相当に慌てている様子で一大事といった感じだった。怪盗に予告状。その二つの単語が意味する事は決して難しくない。
そうやって思考に耽りながら階段を下りていると、
「――ん?」
数段先に階段を下りていた魔耶が立ち止まって俺を見上げていた。
採光窓から差し込む月明かりに照らされた魔耶の横顔。
相変わらず整った顔立ちで美人な奴だなと、益体もなくそんな事を思ったが直後に違和感に気が付く。
いつも共に生活しているからこそすぐに発見できる些細な変化。
「あれ? 髪留めが一つなくなっているぞ。落としたのか?」
魔耶が前髪の一部留める為に使っているシンプルな髪留め。
その二つあるうちの一つが前髪に付いていない。
「……意外とすぐ気付くんだ。男はそういうのに鈍感かと思ったけど」
「観察力を舐めるなって。さっきまではあったと思うが校長室で落としたのか?」
「うん。落とした……わざとね」
意味深な事を言う魔耶は残った髪留めを外して右手を翳し、
「『双子の絆。遠く離れていても、見聞は分かち合うが得』」
魔耶の唇から紡がれる神秘の言葉。
奇妙な音階を奏でて響く呪文に、髪留めが薄く燐光を放つ。
しかし、光が消えた後は何かが変化したという様子もなく、魔法が失敗したのかと一瞬疑った直後、若干濁った音質で髪留めから聞き覚えのある声が響く。
『――それで予告状はどういう経緯で見つけたのですか?』
『『朽ちぬ神代の森』の東部エリアの結界を見回り中の際に発見しました。『帰れずの深域』にしか生息しないラプチャーが試験に干渉してきた事実から、結界が破損している可能性を考えて試験後に調査していたのです』
『ふむ、ふむ! それで結界の方は?』
『結論から申し上げますと、『帰れずの深域』を覆う結界が一部機能停止してました。破損ではなく意図的な結界機能の妨害による停止です。こちらの方は問題が起こっていた魔導回路を修正したので今は正常に機能していますが……その手を加えられていた箇所に予告状が張り付けられていました』
『なるほど、なるほど! 入学試験にラプチャーを呼び込んだのは白の魔女の仕業だったという事なのねぇ』
聞こえてくる会話に瞠目して魔耶を見ると、彼女は唇に人差し指を当てて「静かに」と小声で呟く。
この声はリーベル校長とレナード先生の声で、会話の内容は白の魔女と予告状についての事。つまり、髪留めは今現在校長室で行われている会話を再生している。
如何なる原理を使っているのかは知らないが、これは間違いなく盗聴だ。
問い質したい気持ちを抑えて、魔耶から視線を髪留めに落とす。
その間にも髪留めは校長室の会話を詳らかにしていた。
『本当に白の魔女が関与しているの? 悪戯という可能性はないのかしらぁ?』
『その可能性もあります。ですが、結界に加えられていた細工は素人ができるものではありませんでした。学校関係者かあるいは結界の構成に熟知している専門家でもないとできない芸当だと思われます。――犯人が白の魔女ではないという可能性はありますが、少なくとも悪戯の類ではないでしょう』
『参ったわ。真偽はどうであれ、この予告状も無視できないという事ねぇ。――――"次の満月の夜までに聖杯を頂く。"……残り二十日そこらに宝物庫に忍び込む算段が白の魔女にはあるのかしら』
『恐らくは。伝説によると、白の魔女の予告はその全てが現実になったとされていますから。模倣犯を除けばの話ですが』
会話の内容に頭をかち割られたような衝撃が脳天を貫くのを感じた。
足から力が抜けそうになるのを必死にこらえ、認めがたい現実に思わず額に手を遣って頭を振る。
今、確かに聞いた。"聖杯を頂く"、と。
白の魔女が用意した予告状に書いてあった盗みのターゲットは聖杯。
『七色の魔女』の一人にして、伝説の大怪盗こと『白の魔女』。飛行船の中でセイラから聞いた話は記憶に新しく印象に残っている。
世界的な有名人が偶然にも身近に活動しているというのは別にいい。ちょっとした偶然と言う奴だ。そんな彼女が次に狙う獲物がグラズヘイム魔法学校に存在する宝であるとしても、こっちとしては傍迷惑だが百歩譲っていいとしよう。
何で……何でよりによって『聖杯』なんだ……!?
この時期に、俺たちが入学して聖杯を使わせて貰えないか交渉するこのタイミングで……。こんな、最悪の偶然があっていいのか。
自分自身の能力不足とは関係なく、ただただ運が悪いという理由で手に負えないほどの不利益を被る時、人はこんなにも現実を受け入れがたいものなのかと、身をもって実感する。
『まずは魔導委員会に連絡しないといけないわね。後は聖杯をどうするか……。警備が厳重な別の場所に移送するというのはどうかしら? 最悪、盗まれても我が校の責任は低くなると思わない?』
『オレはやめた方がいいと思うぜ? 別の場所に移送する時ってのは、どうしたって普段より隙がデカくなるもんだ。実際よぉ、白の魔女の怪盗事件のいくつかは移送の準備か、移送中に奪われたって事例もあるらしいじゃねぇか。迂闊に警備を緩めるのはおすすめしねぇぜ、リーベル校長。移送中に盗まれれば移送元である俺たち学校側に責任を負わされちまうしな』
『……ふむ、ふむ。なら、チェイリス先生はどうするのが良いと考えているのかしら?』
『んなもん、決まってるだろうがよ。待ち構えてとっ捕まえちまえばいい!!』
先ほどまで黙っていたらしいチェイリス先生が口を挟む。
盗聴越しにもその声からは強気な自信が伝わってくる。
『校長もご存じの通り、宝物庫の守りは万全だ。――ありゃ要塞だぜ。力押しも小細工も通用しない。白の魔女だろうがそう易々と突破できるはずがねぇ! これは逆に奴を捕まえるチャンスだと俺は思うぜ! ハハッ! 白の魔女が怖くてこの学校の教師がやれるかよ! 怪盗? 上等じゃねぇかゴラ! 返り討ちにしてやるよ!』
『そうね、宝物庫の守りは確かに厳重だわ。でも白の魔女はこの世で盗み出せない宝はないと謳われる大怪盗。過信は良くないと思うわよ?』
豪気で前向きなチェイリス先生に対して、慎重な考え方のリーベル校長。
聖杯を保管している宝物庫という施設の警備が難攻不落である事は共通認識らしい。チェイリス先生は白の魔女であっても宝物庫を破るのは難しいと考えているようだ。
『……チェイリス先生の言い分にも一理あるかと。確かに宝物庫の警備を解いて聖杯を移送するよりは、宝物庫の守りを固める方向性で対策を講じた方がまだ危険性は低いと思います。魔導委員会に今回の事態を報告して指示を仰ぎつつ、それまでの間は警備を増強して十分に警戒する――という手が最善ではないでしょうか? 地味ではありますが、基本の対応が一番有効かと』
レナード先生の意見に、反対意見はないのか皆何かを考えているような沈黙が訪れる。
やがて校長の声が静かに発せられる。
『…………とりあえずはその方針になりそうですねぇ。詳細については後日に職員会議で決めましょう。私たちだけで決めていい事ではないのですから』
* * * * *
「……困った事になったな」
校長室のある塔から離れて校舎を出て、寮があるグテールバルド麓町に向けて長い石段を下りながら、俺は周囲に誰もいない事を確認してぼやく。
夜は更け、夕食を済ませた生徒たちは皆とっくに寮へと帰ってしまった。新入生の寮案内に乗り遅れてしまった俺たちは、二人寂しく暗く鬱蒼とした林に囲まれた闇夜の世界を進み寮へと急ぐ。
千本鳥居のような石のアーチ、それらに纏わりつく街灯代わりの魔法の燐光を眺めて、まるで光量が強い蛍の群れのようだと益体もなく思う。
「そうね。これで私たちが聖杯を正式に使わせても貰うという選択肢は完全になくなってしまった」
数段先で階段を下りる魔耶が、俺の言葉に返答する。
「聖杯を呪いを解く為に使わせてほしいと頼んでも、この状況下では許可してくれるどころか、白の魔女としてあらぬ疑いをかけられるでしょうね。かと言って、何もしなければ白の魔女が聖杯を盗んでしまう可能性が高い」
「ああ。タイミングも含めて何もかもが最悪だ……」
怪盗の事を考える度に気持ちが沈み込む。
本当に余計な事をしてくれた。七色の魔女なんて四天王みたいで格好いいなとか、怪盗という立場もヴィラン味あって悪くないなとか、そんな馬鹿げた事を考えていたかつての自分を諫めてやりたい。最悪な犯罪者じゃねぇか。
俺は今日何度目かの嘆息をつく。
「随分ガッカリしてるね虎太郎。そんなにショックだった?」
「そりゃあショックに決まってるだろう。上手くいきそう雰囲気だったのに、白の魔女とやらが邪魔したせいで……。はあ、これで状況は八方塞がりだ。ったく、どうしてこんなピンチに……」
「意外とそうじゃないかもよ? あるいはこれは――チャンスかもしれない」
魔耶が立ち止まってこちらを振り返る。
声にも表情にも諦観の色はなく、逆に揺るぎない覚悟が紫紺の瞳の奥に宿っていた。
「……チャンス?」
「この状況で聖杯が盗まれれば、誰がどう考えたって白の魔女が犯人だと考える。何たって予告状まで出しているのだから、怪盗以外の人物が容疑者に上がるわけがない。――本当は別の人が聖杯を盗み出したとしてもね」
「…………」
魔耶と同じ段まで下りた俺は、至近距離で彼女の本気度を推し量る。
彼女とは長い付き合いだ。ここまで言われれば何を言わんとしているかはすぐわかる。そして、表情や態度、声調から決して冗談ではなく本気でそれを言っている事も理解してしまった。
日本語で話しているので盗み聞きの危険性は低いが、それでも万が一があるので、誰かに聞こえないように魔耶に顔を寄せて小声で囁く。
「言いたい事はわかるよ。――怪盗が聖杯を盗むよりも先に俺たちが聖杯を盗み出す。そうしてその罪は全て怪盗に擦り付ける。魔耶が考えているのはそういう事だろ?」
元からそういう話はあった。学校側が聖杯を貸与してくれない場合、最終手段として非合法な手法も視野に入れると。
だが、状況は事前に考えていたものとはだいぶ違う。
「だけど、魔耶……。わかっているのか? それは万事上手くいった時の話だ。最悪の想定もある。もし盗みが失敗して学校側に現行犯で捕まりでもしたら、俺たちは白の魔女の罪を全て被るかもしれないんだぞ。全世界から憎悪され死を願われている『七色の魔女』の一人として冤罪を被るかもしれない」
白の魔女が聖杯を盗むと予告している状況で、聖杯を盗もうとしたところ捕まれば、誰だってそいつが白の魔女だと思うだろう。
『七色の魔女』は世界から憎まれ恐れられている。その一人として勘違いされて捕まれば極刑は免れない。世界中の恨みを一身に集めた他人の罪で裁かれる可能性がある。自分は『七色の魔女』じゃないと幾ら懇願しようとも決して許してはくれない。最悪の場合は死すらも生温い苦しみを受ける事になるかも。
失敗した時のデメリットが計り知れない。
加えて、相手は白の魔女。世界最高の大怪盗。
どんな警備も潜り抜け、ただ一度の失敗もなく宣言通りにお宝も盗み出してきた。彼女に盗み出せない宝はないと言われるほどの相手。
――その伝説の盗賊相手に、事もあろうに盗み勝負を挑む。
世界最高の大怪盗よりも早く、難攻不落と評価される宝物庫の警備を破って聖杯を盗み出し、自分たちの犯行とバレる事なく怪盗に全ての罪を擦り付ける。その上で、聖杯の生み出す命の水が魔耶の呪いを解いてくれる事に賭ける。
数多の不可能に近い艱難辛苦の先にあるか細い未来。
一体、どれほどの勝機がある。千に一つか? 万に一つか?
「魔耶が本気なら、無謀な事だろうと俺は付き合うよ。ずっと昔から俺たちは一蓮托生だ。……でも、他に方法があるんじゃないのか? 例えば白の魔女を俺たちで捕まえて、問題解決した後に聖杯を貸してもらうとか……」
「これまでどんな組織や国家でも捕まえられなかった白の魔女を捕まえる? それができたら伝説的な偉業になるでしょうね。――少なくとも、何の手掛かりもない今は無理」
「くっ。な、なら、最悪の場合、別に聖杯に頼らなくたって異世界になら何か別の方法が――」
「――虎太郎」
俺の名を呼ぶ魔耶が自らの胸に手を当てる。
正確にはその胸の奥にある魂、そこにある呪いに対して。
「この呪いは私の魂を蝕んでいる。だからこそ理屈じゃなくて本能でわかる。前回の発作で確信した――もう私にはあまり時間は残されていないと」
「――っ!」
「今までずっと、様々な治療法や解呪を試してきた。虎太郎は知らないだろうけど、その道の専門家に相談した事もあったんだから。――でも駄目。私の呪いは他に類を見ない特別なもので、誰であろうとどんな手段だろうと根本的に解決はできなかった」
そう言って顔を伏せる魔耶。
明かされる衝撃の事実に俺は返答もできずに愕然とする。
つまり、魔耶の呪いはもう現状打つ手なしの状況なのか。魔耶が聖杯に対してここまで執着を見せるという事は、次の手段を探している時間もないほどに、彼女自身が体感する呪いの進行度が高い事を意味していた。
魔耶は聖杯がラストチャンスだと考えている。もうこれしかないと。
「高いリスクに薄い勝算。勝負を挑むのが馬鹿らしいほどの賭け。――そんな事はわかっている。でも、私にはもう行動しないという選択肢はない。やらなければどのみち手遅れになるのだから」
「……そんな事って」
「そんなに心配しないで。私は何一つ不安なんてないよ。無謀でも、困難でも、きっと成し遂げられるって信じている」
再び顔を上げた魔耶の瞳に俺の顔が映る。
紫紺の瞳に映る男の表情が何とも情けなくて、これでは魔耶まで不安になってしまうなとふと思う。
魔耶が笑う。強気に、魔女らしい何かを企むような悪い笑みを。
「神々が見捨て、神秘が枯渇しきった潤いなき無機質な世界を、その中でも強かに生き残った現代日本最後の魔女。――それが私。私は自分を安く見積もってなんかいないから。私と、そして私の使い魔である虎太郎が一緒にいてくれれば、どんな現実も乗り切れるから。だから」
魔耶が空の右手を差し出す。
「やってやろうよ虎太郎。勝つのは白の魔女でも魔法学校側でもない。――私たちだ。私たちが他全てを出し抜いて勝利を掴む」
差し出された右手を見下ろしても、その手が震えているなんて事はなく、その声に陰りは僅かもない。分の悪い賭けだと知りながら自らの命運をチップに勝負に出る潔さは、勇猛か、あるいは単なる命知らずなのか。
自信満々に恐怖や不安を感じさせずそう宣言できる魔女を俺は眩しく思う。
東山魔耶。本当にこの少女は凄い奴、凄い魔女だ。
そんな彼女が頼りにしてくれるのだから、俺は無価値で弱い自分のままではいられない。
魔耶の使い魔として恥じない選択をしなくては。
「……。改まって握手なんて小っ恥ずかしいな」
「ふふっ。握手は太古から続く契約の儀式。魔女との握手は心してする事ね」
ニヤニヤと悪い笑みを浮かべる魔女の手を握り、俺は彼女の使い魔として改めて覚悟を決めるのだった。
次回からようやく魔法学校編に突入し、物語の本筋が始まります。
本作をここまで読んでくれた皆様に感謝を。
今後は不定期更新となります。
週に一、二本程度の投稿になるかと。ご容赦ください。
感想、評価、誤字脱字報告。大歓迎です。
今後とも楽しんでいただけたら幸いです。




