4.二毛芦(にげあし)の名の通り
《クラスメートのスマホ》ブブブッ
モブ男子生徒A(吉本):ん?
《クラスメートのスマホ》ブッ
《クラスメートのスマホ》ブブッ
《クラスメートのスマホ》ブブッ
モブ男子生徒B:なんだー?
モブ女子生徒C:きゃっ
モブ女子生徒D:えっ、これ……
もうすぐ、午後の授業が始まると思った時、隣の名前を忘れたモブ男子生徒Aのスマホがブルルッと震える。
かと思うと、次々にクラス全員のスマホが震えだした。
俺のスマホも鞄の中で震えている。
急いでスマホを取り出して画面を確認する。
速馬:(えっと、何々……?)
アプリ:テロリストと思わしき5人組が校内に侵入
アプリ:学校アプリの指示に従って静かに速やかに避難する事
アプリ:生徒は教師の指示を待たずに避難する事
アプリ:付近に教師がいる場合には教師の指示に従う事
アプリ:……
……。
これは『緊急避難指示』だ。
おっと、これはかなりマズそうだ。
この指示を目にした俺は、全てを読み終える前には腰を上げて、教室から移動を始めていた。
動揺しているクラスメートを置いて……。
実は俺、【二毛芦】の名前の通り『逃げ足』だけは速い。
アプリの避難経路の指示を確認しながら、決して急がず、音を立てないようにゆっくりと、普段通りの足取りで危険地帯を後にした。