2.白インと黒イン
黒岩:茉莉夏っち、チーっす
昼の休み時間に、白百合を訪ねてきたのは、隣のクラスの女、黒岩由依南。
俺の見立てでは学年1位で学内2位の超絶的美少女だ。
口調がヤンキー口調だが、なんでもお母さんが昔ヤンキーだったらしい。
彼女たちの見た目は昔風に例えると、白百合が真面目風白ギャル、黒岩がヤンキー風黒ギャルだ。
白百合は金髪寄りの茶髪で透き通るような白い肌。
黒岩は濃い目の茶髪でこんがりと日に焼けた肌。
……黒岩は日サロにでも通っているのだろうか。
うちの校風は生徒の見た目にあまり煩くないので、彼女のこのスタイルはOKだ。
こう見えて、彼女は学年3位の学力を誇り、生徒会の書記を務める等、同じ生徒たちからの信頼も厚い。
黒岩:茉莉夏っち、今日の生徒会にクラス代表として顔出してねん☆
白百合:由依南、了解
白百合はクラス委員長様でもあられる。
ちなみに、白百合の母親が東欧系ハーフ美女で、彼女はクォーター美少女という噂だ。
またこれも噂だが、クラス内にとどまらず、学内中、いや他校にも数多くのファンがいるらしい。
かなりの人気者であり、その彼女の期待を裏切った俺は学校内の居場所をなくしてしまったという訳だ……。
この学校の美少女レベルが周りの学校より高いと言われる原因はこの二人にあると断言しても過言ではないだろう。
この二人が連れ立って街を歩けばモデルやアイドルのスカウトの声がよくかかるという――全て断っているらしいが。
俺は心の中で、彼女ら二人を白+ヒロイン、黒+ヒロインの意味を込めて『白イン』『黒イン』とあだ名で呼んでいる。