11.✕△◯□$
《新たな複数の足音》ダッダッダッ
《ドアが開く音》ガタンッ
テロリストリーダー:何をやっている。こっちは6人は捕まえたぞ!
とうとう他の仲間まで呼び寄せてしまった。
二人か。
元からいた一人を合わせて三人。
テロリストは全員で5人だったから、残りは二人……。
テロリストA:《荒い呼吸音》はっ……ふぅっ……リーダー、すみません、……ぶはっ……こいつが、異常にすばしっこくて
リーダー:しかたない。殺せ
テロリストB:了解です、リーダー!
テロリストA:だ、だめです、リーダー!!
《テロリストBが銃を構える音》ジャキッ
《空気が漏れるような音》シューーーーー……
リーダー:ま、まて、何の音だ? それに、この匂いは……?
テロリストA:このガキがガスの元栓を開けやがったんです。おかげでスタン警棒も使えないッ
リーダーの男がほんのわずか何かを考える様子を見せる。
リーダー:……もういいだろう、こんなやつほっとけ
俺を放っておく方針に変更したようだ。
しかしその時……
《スマホの通知音》ピロン♪
《スマホの通知音》ピロン♪
《スマホの通知音》ピロン♪
俺にメッセージが飛んできた。
誰だ、こんな時に……。
ん? 3通?
白イン:『警官隊到着、アンタを先に助けに行くようにお願いした』
黒イン:『カメラの映像で化学室見てるよ! 逃げ足くん、お前カッコいいよ♡』
メガイン:『頼む、何とか粘るか何かして、こっちに残っているテロリスト2名の注意を引いてくれ! その隙に、捕らわれた生徒たちを救いだす!』
――黒インは目が腐ったのか?
それからメガイン――我らが生徒会長様はかなりの無茶を言うな。
無理無理。却下却下。
そうか。警官隊が来たのか。
警官隊がここに駆けつけるまで、時間を稼げるか?
俺は気力を振り絞り、もう少しテロリスト達を挑発してみる事にした。
速馬:や、やったっ!
速馬:テロリストなんて、大した事無いな
速馬:逃げきってやったぞ。わーい、わーい!
……我ながら、なんて下手くそな挑発だ。
これではさすがにテロリスト達も乗ってこないな。
――と思いきや。
テロリストB:おいこらガキ、調子に乗りやがって
テロリストA:お前もう許さん、絶対許さん
なんと、リーダー格以外の二人が向かってくる。
この俺のヘボい挑発が有効だなんて!?
テロリストA:《さらに激しく走り回る音と荒い呼吸音》ふはっ、ふはぁあっ、……
テロリストB:《さらに激しく走り回る音と荒い呼吸音》ぶふぁっ、はぶはぁっ、……
速馬:《さらに激しく走り回る音と息遣い》ふぅっ……ふぅっ……はぁっ……はぁっ
俺は必死に逃げた。
逃げたおした。
最初の一人でも大変だったのが、二人……。
時間を忘れて、教室内を机の上を、机の下を逃げ回る。
自分でも神業かというような避けっぷりを数回繰り出した後、
とうとう、追い掛けていたテロリスト二人が俺を追う事を止めた。
テロリストB:《かなり荒い呼吸音》はぁっ……はぁっ……おい、このガキすげーな……はぁ、はぁっ
テロリストA:《かなり荒い呼吸音》はぁっ……ひぃっ……だ、だろ? 大した物だよ。はぁ、ぶはぁっ
……何かテロリストに褒められちゃったよ。
犯罪者に褒められたにも関わらず、俺は少し嬉しかった。
《新たな複数の足音》ダッダッダッ
《複数の銃を構る音》ジャキンッッッ
警官隊隊員A:お前ら、動くなッ!!
警官隊が化学室まで駆けつけたようだ。
リーダー:お、おい、銃はやめろ……っ
焦るテロリスト達。
だが、俺は見た。
銃を構える警官達の中に一人、血走った目と震える指の持ち主がいることを……。
速馬:(コイツ撃つな……)
そう確信した俺は、咄嗟にそしてさり気なく、化学室の出口に1、2歩近づく。
しかし……
テロリストA:お、おま、撃つな! ガスが✕△◯□$――
警官隊に注意しようと、思わず動いてしまうテロリスト。
それを目にした警官の指が、銃の引き金を引いていく……。
警官隊隊員B:うううっ、動くなーっ!
俺があと数歩で化学室を出ようという時、
《拳銃の音》バンッ
化学室内に小さな銃声が鳴り、
《爆発音》バッシー---ンッッ
直後、激しい爆発音と閃光が轟いて――――
俺は、光と爆風に、吹き飛ばされた――――――――




