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テンプレ転生ヒロインはゲームの世界で恋を患い拗らせる

作者: ハバネロあんこ

命短し恋せよ乙女

やった!やったわ!

憧れの転生ヒロインよ!


池の水面に映った金髪美少女は、ゲームそっくりの己の容姿にウットリみとれる。


大きな瞳は淡いブルーでキラキラと輝く。

「間違いない!乙女ゲー虹パラ(虹恋パラダイス学園)の世界にいるんだわ!」


ああ!神様ありがとう!

前世は冴えないJKだった私がこんな美少女に生まれ変わってやり直せるなんて!

「うん、鈴O真紀なんて名前捨てるわ!ゲームシナリオは忘れないけど!」


男爵令嬢リリアは7色のイケメン達を落とすべく覚えてるシナリオをノートに書く殴った。


「うーん、もう1年の2学期末だからロクにイベントが残ってないわね

でもクリスマスのデートが残ってる!あの美麗スチルを私が演じるの」


うふふふっぐふふふふっ

少々不気味な笑みを零してしまったがため、校庭にいた生徒たちが引いている。

「さあ!フラグ立てに行くわ、待っててイケメン達!」

めざせ逆ハー!全員まとめて結婚してア・ゲ・ル!



***



「ちょっと!私はヒロインよ!ここから出しなさい!」

ガタガタガチャガチャ鉄格子を揺する。


どうなっているの!?王太子に声をかけただけじゃないのよ!

王太子の腕に悪役令嬢ヒルデが纏わりついていたから助けてあげようとしたのに!


声をかけた途端に王子の護衛に押さえつけられ地下牢へ入れられてしまった。

「うぅ・・・王子様どうして?早く助けて」


泣きわめいて疲れ果て、陽が落ちかけた頃だった。

「はーい、こんにちは。少しは落ちついたかい?」

白衣を着た長身の男が現れた。


「あ、あなたは隠しキャラのブルハート様!」

「違う違う、校医のハンクスです。あーこりゃ重症だねえ」

「え?私は病気じゃないわよ」

恋は患っているけどね、テヘッ(ハートX7)


「キミの眼球にハート型の炎症が出ている、いま流行りのゲーム恋愛病だね」

「・・・ゲーム病?」

「うん、流行感冒の一種だね。思考力が低下して恋愛妄想に耽る厄介な熱病さ」

「いいえ!ここは虹恋パラダイスの世界よ、私はヒロインになったの!」


私は必死に転生したこと、ゲームの世界へ来る前の記憶のことを説明した。

なのに・・・


「あーうん、それはこの小説内容そっくりそのままだねぇ」

校医は鮮やかなピンク色の本を取り出した。


わたしは本を受け取り読んで驚愕した、さっき捲し立てた内容そのものだった。

そんなそんな!こんなバカなこと!


「悪戯な魔術薬師の弟子がいてね、人造ウイルスを撒いてしまったのさ。

運悪く君も罹ったようだね、昨日の昼間に猫カフェに行ったかい?そこでクラスター感染が発覚しているんだ」


そうだった、わたしは猫が好きでモフりに行く常連で・・・

変わった毛色の猫がいたから触って、それから・・・


「だいじょうぶ、本来猫を狙った悪戯ウィルスだからね。薬を飲めばすぐ治るよ」

ギイィと鉄格子が開けられた。


仮初の恋心は3日で消えて無くなった。

ほんとうの恋はとうぶん知らなくていいやと少女は思った。


「だって王太子ってすんごいブサ男なのよ!ウィルス怖ええええ!」

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