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第十三話「マヨネーズ生産と初販売」

大変遅くなりました…!!(土下座謝罪)

1万PV、2700ユニーク突破ありがとうございます!!


それと、誤字脱字報告大変助かっています!ありがとうございます!

(本当は無ければ一番なのですが…。)

「つっ…かれたぁぁ…」


 目の前には大量のマヨネーズが乗った大皿が二枚。一度ずつ大皿に移し替えていたらこうなった。片方はレモン汁入りで、もう片方はノーマルマヨネーズを作ってみた。


「ヤバいわ…そうだ、マナポーション…」


 マナポーションの瓶を掴み、コルクの蓋を摘み捻る。するとキュポンッという音と共に蓋が開いた。


「いただきまーす」


 ゴクッ


「ブッ!?ゲホッゲホッ!!…げっ、ゲロ不味い…!!」


 こんなに綺麗な見た目をしているのに、マナポーションは思わず吹き出してしまう程に不味かった。苦くて酸っぱくて飲めたものではない。


「ぐっ…みんなこんなの飲んでるの…?正気…?」


 と、いうか飲めるような味に改良する努力はどうしたの!!


「何入ってんのこれ…『解析』」


 フォンッ


【低級マナポーション】

「使用材料」

 ・マジック草

 ・水

 ・イグの実


「イグの実?」


 実物がないと鑑定出来ないし…どっちが不味いのか分からず終いじゃない。…まさかどっちも?


「はぁ…せめてもう少し味が薄ければ…」


 思い出すのはバラエティ番組で使用されていた罰ゲームのジュース。そんな吹く程じゃ無いでしょ〜、なんてその時は思っていたが今なら分かる。多分あの罰ゲームジュースはこれくらい不味かったんだ。


「でも飲まないとマヨネーズ作れないし…!うぅっ、気合いだ私ーっ!」


 自分に喝を入れ、鼻をつまんでマナポーションをラッパ飲みする。


 ゴクッゴクッゴクンッ


「うぐっ…」


 吐きそうになるのを堪え、つい咄嗟にマヨネーズを口に含む。

 はぁ〜、確信した。売れる、売れるよコレ。だって美味しいもん。ポーションで変な味になった口の中がまろやかな酸味で癒される…けど今一番欲しいのは。


「『ウォータークリエイト』!」


 両手を器の形にして、その中に水を作る。それを一気に口の中に流し込んだ。


「…プハッ!あー、生き返る…」


 二度と飲む事が無いように魔力鍛えなきゃ…。…あれ?そう言えばステータスってどうなってるんだろ。


「すっかり忘れてたなぁ…『ステータスオープン』」


 フォンッ



【基礎ステータス】

『名前』リオ・アマガヤ

『年齢』19

『職業』異世界人、開発者、商人

『レベル』5

『体力』140

『防御力』80

『攻撃力』95

『魔力保有量』200

『魔法攻撃力』150

『固有スキル』鑑定、解析、錬成、亜空間倉庫、知識欲

『学習スキル』ウォータークリエイト、ウィンドクリエイト

【追加ステータス】

『特質』探究心、不可視

『器用』400

『勘』250

『思考力』500

『料理』150

『加護』天の精霊の加護



「おー、上がってる」


 それに職業欄に色々加わってる。変わりそうな欄で変わっていないところと言えば…学習スキル?


「そう言えばティアが精霊の加護くれたのに全然使ってないわ。忘れてた」


 てか、天の精霊の加護って具体的にはどんななの?ザックリとは教えて貰ったけど。よし、『鑑定』。


 フォンッ



【天の精霊の加護】

 ・天の精霊、イルーティアの加護。「水」「風」「氷」「光」「闇」属性の魔法が強化(中)され、また以上の属性の耐性が付く。また、天に属する精霊との意思疎通が可能となる。大地の精霊、アルアンドゥの加護と対となる加護。



「なるほど」


 天の精霊イルーティア…他の精霊の名前って何なんだろう?シルフは知ってるけど。

 …というか他の魔法も使えるんだったよね。ティアが使ってたのは確か氷だったから…。


「…『アイスクリエイト』?」


 パキンッ


「冷たっ!?」


 再び両手を器に形にして半信半疑で唱えると、その中に二センチ角くらいの氷が複数出現した。


「出来ちゃった…!私、もしかして天才かも〜?」


 …独り言で冗談言うのって虚しいな。やめよ。

 そんな事より、氷が作れるならもっと色々作れるんじゃない?他の材料さえ揃えばだけど…。あ、そうだ。


「マナポーションをコップに移し替えてから氷を入れて…うん、これなら少しはマシなんじゃない?」


 ゲロ不味い一因に温いっていうのもあると思うんだよね。冷やしたら多少は良い感じになると思う。…なってほしい。


「ゴク…。うえぇ、不味い…けどさっきよりは…」


 もう無理。一応一本半は飲んだし、少しは魔力回復してるでしょ。そう言えばさっきより疲れてないし。残りは仕舞っておこう…。


「…よし、これ瓶詰めしたらもう少し頑張ろう」


 洗った瓶を水張った鍋に入れて〜、沸かして〜、ハイ完成。

 瓶詰め作業をしていると、不意に部屋の扉がノックされた。


「リオ、私」

「どーぞー。…あ、ごめんちょっと座って待ってて」

「マヨネーズ!…随分作ったね?」

「いやぁ、張り切っちゃった。さっき頑張ってマナポーションも飲んだし、ご飯食べたらまた頑張るよ」

「手伝う?」

「あ、本当?じゃあお願い〜。違う風味だから二つのお皿のマヨネーズ混ぜないでね」

「…違う風味」


 ティアがじっ…とマヨネーズの大皿を見詰める。


「…味見する?」

「する」

「あはは…じゃあこれどーぞ」

「ありがとう。…はぁぁ…滑らかなの…まろやかなの…」

「それが本来のマヨネーズなんだよ」

「マヨネーズ…やっぱりスプーンが止まらなくなるの…」

「ふふ、夕飯前だけどちょっと食べちゃう?ジャガイモ茹でてマヨネーズ乗っけるだけだけど」

「いいの!?」

「いいよ〜。ちょっと待っててね」


 ティアのためにジャガイモを茹で、四等分に切り込みを入れてお皿に乗せる。


「はいこれ、熱いから気を付けて。マヨネーズは自分で掛けてね」

「ありがとう」


 ジャガイモにマヨネーズを少し乗っけて、ティアが小さな口で頬張る。


「はふっはふっ…、!!」

「どう?」

「んっ…美味しいの!!もう今日の夜ご飯はこれでいいの!」


 ティアは風魔法でマヨ乗せジャガを適度に冷ますと、無我夢中で食べ出した。


「おかわり」

「ええー、本当に夕飯これでいいの?」

「いいの!」

「だったらもう少しちゃんと作ろっか」


 えーと、ニンジンを角切りにして追加で茹でて…その間にジャガイモをフォークで潰してマヨネーズと混ぜる。出来上がった物にニンジンを投入して氷水で冷ましたら…完成!シンプルポテトサラダ!


「本当はキュウリがあればなぁ…」


 市場を見て回ったがキュウリが見付からなかった。時期かもしれない。四季があるのだとすれば、あと二ヶ月もすれば市場に並び出すだろうか。


「はい、味見」


 スプーンに一掬い、ポテサラを乗せてティアに渡すと無言でパクリとスプーンを咥えた。


「!!…お、美味しい…」

「そ?良かった。ポテサラなんて久々に作るからさ〜」

「…これ、ポテサラって言うの?」

「正式名称はポテトサラダだよ。略してポテサラ」

「ポテトサラダ…レシピ登録を…いや、マヨネーズが世に出回っていない以上それは…」


 …ティアさーん?何やらブツブツ呟いててちょっと怖いよ?


「…リオ!私もマヨネーズ作るの手伝うから早く普及させよう!」

「え?手伝ってくれるのはありがたいけど、私のスキルが無いと時間掛かるし難しいと思う…」

「リオのスキル?マヨネーズを作るスキルなの?」

「そうじゃないんだけど…。……誰にも言わない?」

「勿論なの。信用して欲しいの」

「うーん…それなら…」


 私はお皿の上に材料を準備する。


「『錬成』」


 唱えた途端に出来上がるマヨネーズ。


「…と、こんな感じで想像した物が想像した通りに出来上がるスキルで…私しか持ってないスキルだから…。あ、勿論スキル使わなくても出来るよ?けどそれにはちょっと道具が足りないというか…」

「他の誰にも言ってない、よね…?」

「まさか」

「そっか…こんな凄い秘密言わせちゃってごめんなさい…」


 頭を垂れてしおらしくなるティア。


「えっ、いや気にしないで」

「…私、絶対誰にも漏らさないからね。商人の信用にかけて!」


 近い近い。近いよティアさん。勢いに任せて近付きすぎだよ。美少女フェイスが目と鼻の先だよ。


「大丈夫だよ、信用してるから。それよりポテサラサンドにして食べない?あ、お肉焼こうか?」

「ありがとう。あと、お肉も食べるの」

「オッケー」


 どうにか落ち着いたティアを引き離して、パンに切込みを入れてポテサラを挟む。

 本当はオーブントースターとかあれば良いんだけど、無いからそのままで。


「はい、先にこれ」


 ティアにポテサラサンドを渡し、今度はビックカウ肉を薄切りにする。それを油を引いたフライパンで焼き、適度に塩を振る。他の調味料といえばマヨネーズくらいしか無いので今回は塩のみで。


「千切りキャベツを添えたら完成!」

「わぁ!豪華なの!」

「豪華かな…?割と適当に作っちゃったんだけど」

「付け合わせのパン以外で二品以上出るのは豪華なの。大体パンと後一品なの」


 そうなんだ。そう言えばどこもそうだったかも?


「モグモグモグ…美味しいの!」

「お粗末様です」


 そんな風にティアと夕飯を済ませた後、私達はマヨネーズ生産を再開した。私が作り、ティアが瓶詰めする。その瓶に例のブランドマークをスタンプするのもティアの仕事だ。


「ふー…これくらい作ればとりあえず明日は大丈夫かな」


 ザッと数えたところ、全部で百はあると思う。


「後はプレイスと注意事項を書いて…っと、よしオッケー」

「確か冷暗所じゃないと質が悪くなるんだよね。ボウルに氷水を張って、その中に入れるのが良いかもしれないの。氷は出せる?出せなかったら私が代わりに出すの」

「大丈夫、ティアのおかげで出せるようになったんだ。…あ、ちなみに氷の精霊って何て名前なの?」

「それなら良かったの。氷の精霊は…フラウなの」

「へー、フラウかぁ。呼んだら出てきてくれるかな?」

「一人くらいだったら居るんじゃないかな。今は暖かいからそんなにいっぱいは居ないと思うの」

「気温とか関係あるんだ?」

「精霊は自然で、自然は精霊なの。水場にはウンディーネが沢山いるし、鍛冶場にはイフリートが沢山。街を出ればノームが増えるし、森にはドリヤードが多い。気になるなら呼んでみれば良いの」

「ほうほう…沢山の種類がいるんだね」


 でも特に用も無いのに呼び出されるのはアレだと思うから、何かお菓子でも用意してから読んでみよう。


「それにしても疲れたねー…手伝ってくれてありがとう、ティア」

「お安い御用なの」

「じゃあ明日に備えて今日はもう寝よっか」

「そうするの」

「また明日ね。おやすみ」

「おやすみなさい」


 ティアが私の部屋を出る。私はマヨネーズとその他道具等をストレージに片付け、軽く体を拭いてから眠りについた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 翌日、私とティアは朝食を取ってから西の二番大通に向かった。その道中、露店用の敷物と追加のボウル、それから大量の楊枝より少し太いくらいの木の棒を購入。

 その後商業ギルドの銀行で両替を行いお釣り分の硬貨をゲット。

 到着してからは敷物の上に、朝のうちに作っておいた氷とその場で出した水をボウルに入れてマヨネーズを展示したりなど開店準備に取り掛かった。


「よし、完了!」

「良い感じなの」


 マヨネーズよし、お釣りよし、コンディションよし!


「ところでこの棒は何に使うの?」

「試食用かな。本当は使い捨てスプーンみたいな物があれば良かったんだけど…」

「試食…なるほど、確かに効果的なの」


 得体の知れない、保存の効かないような物を銀貨一枚も出して買うのは好奇心旺盛でお金に余裕のある人くらいだと思う。それを打開するための試食だ。

 と、言っても棒の先にマヨネーズを一掬いするだけなんだけど。

 試食分の費用が補えるほどの収入が見込めるならジャガマヨ一口分くらい用意するんだけど…如何せん初商売なもんでどうなるか分からないから今日はこれでいかせてもらいます。


「…じゃ、初めますか!」

「開店なの!」


 西の二番大通りはティアの言う通り人通りが多い。それにこの時間から既に美味しそうな匂いがそこかしこから漂っている。


「世にも美味しい調味料マヨネーズ!これがあればどんな料理も途端に美食になるの!長年生きてる妖精族が認める頂点級の美味しさなの!」


 開店宣言をしてから、ティアはその小さな体をターンさせたり人目を引くような動作をしながら道行く人々に呼び掛ける。


「その魔法のような調味料が今なら一瓶なんと銀貨一枚!銀貨一枚なのー!あの商業ギルドマスターも定期購入を懇願したとんでもない魔の調味料!」

「試食やってまーす」

「マヨネーズはなんと二種類ご用意してるの!お好きな方を選んで買うもよし!少し贅沢してどちらも買うもよし!」

「あ、どうぞこれ試食ですー」

「日々のご飯に幸せを運ぶの!多少の扱いにくさはあれど損はしないの!」

「えぇ、はい。こっちはレモン汁入りで…」


 ティアの宣伝のおかげで集まった沢山の人。その接客を担当する私。


「なっ、なんじゃこりゃ!うめぇ!」

「こんなに美味しい物がたった銀貨一枚!?」

「あるだけくれ!!金ならある!!」

「すみません。有難いことに大盛況でしておひとり様三個までの販売になってるんです」

「なっ…何…だと…」


 そうこうバタバタしている内にマヨネーズはすっかり売れてしまった。販売の際にしっかり注意事項も告げた事だし、大丈夫だと思う。…多分。

 本当は取扱説明書的なものを同封すれば良いんだろうけど、如何せん識字率が低いらしいから困りものだ。


「はー、働いたの。大儲けなの」

「ティアのおかげだよ。すごく良い宣伝だった。…けど、あんな風に大々的に妖精族って事を前面に出して大丈夫なの?」

「使える肩書きは全部使うの。物珍しさで近付く人も沢山いるから、そのまま販売に持ち込むの」

「ティアが大丈夫なら良いんだけど…」

「さーて、宿に戻って今日の分の締め作業するの〜」

「ああー、そうだ忘れてた…。ねぇ、この世界って計算機とかあるの?」

「あるけど使える?こんなやつなんだけど」


 ティアがストレージから取り出したのはそろばんのような沢山の玉が付いた物。けれど、私がよく知ってる日本式そろばんとは少し違った。


「上から白金貨、大金貨って小さくなっていって、一番下が鉄貨を表してるの。鉄貨の玉から順に、下の玉が十個左にいったら上の玉を一つ左に動かして、下の玉は全部右に戻す。その繰り返し。国家で使う物はもう少し玉が多いらしいけど、庶民は白金貨なんてほとんど使わないからこの計算機が主流なの」


 なるほど、使い方は簡単だね。途中で手が滑って玉が右に移動したりしなければ計算ミスもしなさそうだし…。


「それってどこで売ってるの?」

「雑貨屋ならどこでも売ってると思うの。何なら商業ギルドでも売ってるの」

「じゃあ明日買いに行こうかな。今日はそんなに数が無かったのもあるし、手作業でいいや」


 というか銀貨一枚の物が百個売れただけだから計算楽だしね。銀貨十枚で金貨一枚だから、金貨十枚分。両替したら中金貨一枚分。

 文面で見ると何だか少ない気がしてくるけど、実際はそれなりの額だ。


「…あ。帳簿とか持ってないや」


 仕方ない、とりあえずメモっとこう。


「え?もう計算したの?リオは算術が得意なのね」

「得意ってほどでもないけど…三桁までの足し引き程度ならそれなりに暗算できるよ。計算ミスもするから絶対とは言えないけどね」

「尊敬するの。私はすぐごっちゃになるから計算機が必須なの」


 ティアは計算が苦手らしい。という事は文系なのかな。いや、そんな単純じゃないか。


「えーっと、税金が五パーセントだから…あれ?どうやって計算するんだ…」


 明確な数字があればいいけど無理じゃない?え、キツい…。


「税金計算は専門家にお願いするのよ。普通の計算機じゃ出来ないから」

「専門家?」

「そう。何でも貨幣一枚を十倍ずつで区切って計算するんだって。確か専門用語で単位はルペだったと思うの」

「それ本当?ちなみに鉄貨って何ルペ換算なの?」

「十なの」


 うわー!良い事聞いた!てことは私の予想当たってたって事だよね?鉄貨が十円、銅貨が百円、その他十倍ずつ…。やった!自分で計算出来る!


「えーと、中金貨が十万で…百で割って五を掛けて…って、良く考えたら筆算するまでもないじゃん。五千円か〜…それなりに高いなぁ」


 税金はどの世界でも懐に響くね…。


「リオ、それ何?魔術式?」

「これは私の故郷で使われてた筆算だよ。…あ、こっちの文字で書くと…こんな感じ。原理さえ分かれば誰でも出来るから、ティアにも今度教えるね」

「…リオ、頭いいのね…。私には出来そうもないの…」

「そ、そんな事ないよ!やれば出来るって!一度分かっちゃえばこっちのものだよ!」


 どんよりオーラを放つティアに精一杯のフォローを入れる。


「…それより、この技術も論文にまとめて売ったら算術の世界にも革命を起こす事になるの!……けど…専門家の仕事を奪っちゃうかもしれないからやっぱり止めといた方が良いかもなの…」

「あー…」


 元々あった職業が文明発達によって奪われていくのは歴史の中でも多々あった事だ。…けど、私がそのきっかけになるのはメンタルがもたない。


「…そうだね、私達だけに留めておこうか」

「それがいいの」

「うん。…それにしてもお腹空かない?何か作るよ。ティアのおかげもあって完売したし!」


 少し重くなった空気を振り払うように昼食の提案をする。


「そうだね、お腹空いたの。リオの料理はとっても美味しいからいっぱい食べたいの」

「オッケー、じゃあまずは買い出し行かなきゃね。何食べたい?」

「今日はとっても働いたからガッツリした物が食べたいの。お肉とか」

「了解!」


 お肉か〜。何にしようかな?焼いた肉は昨日も食べたし、かと言って煮込みは今からじゃ無理。調味料もほとんど無いしなぁ…。


「…大豆…いや枝豆で良いから欲しい」

「あるよ?」

「あるの!?」


 私の呟きに即答するティア。驚きの余り思いっ切り首をティアの方に向けてしまった。痛い。


「う、うん。緑の豆でしょ?大豆は知らないけど枝豆ならあるよ」

「その苗木ってどこで売ってる!?」

「の、農家から買い入れれば良いと思うの…」

「後で案内してほしいんだけど良い!?」

「り、リオ落ち着いて…」


 ティアに諭されて我に返り、深呼吸をする。


「ごめん、つい。市場じゃ枝豆なんて見たかったから…」

「豆を扱うのはそっちじゃないよ。商店街の方。食べ物と言うよりは薬として使われるから」

「へー、薬かぁ」


 確かに豆は栄養あるもんね。うんうん。…てことは他の種類も見付かる可能性が…?


「ふふふ…楽しみ…。あぁ、けど砂糖がないと…うーん…」

「何か怖いよリオ…。というか、そんなに砂糖が欲しいなら買えば良いと思うの」

「え、買えるの?」

「値は張るけど買えるよ。王国御用達の食材店はそういう物を扱ってるの。貴族の使用人が買いに来たりもするのよ」

「へー、ちなみにいくら?」

「百グラム金貨一枚」

「高っ!!」

「安くなった方なの」


 これで安くなった方…??異世界の物価、恐るべし…。


「もう少しお金に余裕出来たら行ってみるね…あはは…」


 余りの衝撃に苦笑いを返し、私はティアとも買い物を続行した。

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