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第十二話「マヨネーズの価値」

遅くなり申し訳ありません。

6800PV、1500ユニーク達成しました!!

ありがとうございます!!

これからも「巻き込まれ転移少女は妖精少女と旅をする〜異世界移動店舗で稼ぎます〜」をよろしくお願いします!

「ギルマスを呼んでほしいの」

「ギルマスですか?何か緊急のご用でも?」

「緊急も緊急なの。革命が起きる予感なの!」

「か、革命?」

「ちょ、ティア。そんな言い方したらお姉さん困惑するでしょ。すみません、物の査定をしてほしくて来たんです」

「あぁ、そういう事でしたら。まずは私が査定させていただきますね。物はございますか?」

「はい、これです」


 ギルドに着くなりギルマスを呼び出そうとするティアを制止し、お姉さんに説明する。


「これは?」

「調味料です。マヨネーズって言うんですけど…」

「リオが作ったの。リオは天才なのよ」

「だから大袈裟だって」

「では失礼して…あぁ、香りはそんなに強くないですね。それでは一口失礼します」


 ティアと話している内にお姉さんはさっさと査定を始める。


「…こっ、これは…!」


 マヨネーズを口に入れたお姉さんがカッと目を見開いた。


「少々お待ちください!すぐにギルマスをお呼びいたします!」

「えっ」


 お姉さんはそう言うとカウンターを出て、階段を駆け上がっていく。一分足らずでお姉さんは戻り、私達に一緒に来るよう指示した。


「わざわざ部屋にお越しくださりありがとうございます。して、貴女が大変な物をお持ちになったというお客様ですか?」

「そうなの。リオが持ち込んだの」

「そうでしたか。私、当ギルドのギルドマスターを務めておりますコルクスと申します」

「リオです」

「それではリオ様、早速例の調味料とやらを見せていただいても?」

「あ、はい。これなんですけど…」


 ギルマスのコルクスさんにマヨネーズの瓶を渡す。


「ふむふむ、これは…ほう…それでは一口…。っこ、これは…!!!」


 マヨネーズを口に入れたギルマス、さっきのお姉さんと全く同じ反応をしました。


「…一体こんな物をどこで?それと名称などはありますか?」

「私が作ったんです。開発者とかではないですけど…。あとこれはマヨネーズという調味料です」

「なっ、何ですって?発祥元がリオ様?…どんな高級食材を使ったというのだ…」

「材料は全部市場で買ったのでそんなに高くないと思うんですけどー…三十瓶全部作るのに大体金貨一枚と銀貨二枚くらいで…」

「い、市場で全部揃えた!?しかもそんな安価に!?」


 うおっ、急に叫ばないでください。


「…これを売るとしたら…料理に革命が起こることでしょう。慎重に値段を決めなければなりません」

「ほら、だから言ったのよ」


 ティアが腕を組んでドヤ顔を決めている。


「原価は三十で割って…銅貨四枚ですか…」

「だけど私はこのレシピの価値はとても高いと思うの。発案費で中金貨二枚は上乗せしないといけないの」

「確かにそれ程の価値はあります。ですがそれだと貴族向けになってしまうでしょう。いくら素晴らしい発明と言っても、原価が原価ですので…貴族相手にも難しいかもしれません」

「…言われてみればそうなの。じゃあ生産ギルドのレシピ契約の方に上乗せするの」

「それは良い考えです。…勝手に話を進めてしまいましたが、そう言えばこの商品はどの層向けに販売する予定でしたか?」

「露店で一般向けに売ろうと思ってます」

「一般向け…なら、銀貨三枚が限界でしょうね…」


 いやたっっか!高いよ!誰がこんな瓶一つ分のマヨネーズに銀貨三枚も出すの!?


「あの、せめて銀貨一枚じゃないと…売れなければ商売にならないので…」

「…リオ様、このマヨネーズが大量に作れるのでしたらその値段でもよろしいと思います。確実に売れますから、これ。手頃な値段にしたいのなら需要と供給を合わせるべきなのです」

「なるほど」


 大量に…うーん、魔力大丈夫かな。


「それと、レシピ登録はまだしない方がよろしいでしょう。マヨネーズの市場価値が安定してきた頃に金貨三枚程で出すのが妥当かと」

「ふむふむ、金貨三枚…」


 メモメモ、っと。


「じゃあ、しばらくは大量生産して銀貨一枚で販売…って事で」


 帰ったら頑張らなきゃなぁ。


「…ところでリオ様、私にも一つ…二つ…いや、三つ程売っていただけませんか?」

「え?三つもですか?」

「それとより美味しい食べ方を知っていたら教えていただきたいのですが…」

「あの、これ日持ちしないので…冷暗所で三日が限界なんですけど、それでも大丈夫ですか?」

「なっ、何と!?三日!?くっ…!…リオ様!!!」

「はっ、はい!」

「是非私に定期購入の権利をご検討いただけませんか!」

「て、定期購入ですか」


 ギルマスの勢いに気圧されて思わず仰け反る。


「はい!実を言うと私、先程からもう一口食べたくて仕方なかったのです…!!私、職業柄様々な食材を口にしてきましたがこんなに美味しい調味料は生まれて初めてです…!!」


 うわっ!ち、近いです…。


「わ、分かりました!分かりましたから!ギルマスにはお世話になりましたし定期購入のお約束をしますから!ちょっと離れてください!」

「本当ですか!!っと、失礼致しました。女性相手に近すぎましたね…ご無礼をお許しください」

「大丈夫ですけど…少し落ち着いてください。あとマヨネーズは基本何にでも合うと思いますよ。パンは勿論、野菜や肉や魚…キノコは物によるかな?」

「何にでも合うですと?では早速購入して、試してみてもよろしいですかな?」

「その使いかけので良ければタダで大丈夫ですよ。お試しって事で」

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて…」


 そう言うとギルマスはパンを数切れ持ってきた。


「モグ…、っう…!?ぐっ…!」

「だ、大丈夫ですか!」

「美味い!!!いやぁ、リオ様の仰る通りとてつもなく美味ですなぁ!!手が止まりません!!」


 ま、紛らわしい!喉にでも詰まったのかと思ったじゃん!


「私も食べたいの…」


 その様子をじっと見詰めるのは先程から大人しくしていたティア。


「…食べる?」

「!いーの!?ありがとリオ!大好き!」

「あはは、お食べ〜」


 美少女が素直に喜ぶ姿は可愛いな〜。女の私でもキュンッてしちゃう。


「そうだ。私の故郷では茹でたジャガイモと合わせて食べることも多かったんですよね。個人的にかなり美味しいと思うから今度食べてみてください」

「リオ様が仰るなら間違い無いのでしょう。是非そうさせていただきます。…あぁ、そうでした。定期購入の件ですが、三日に一度、三瓶購入したいと考えております。どうでしょう?」

「それくらいなら大丈夫です」

「ありがとうございます!それでは、三日に一度ギルドまで来ていただけると助かります」

「了解しました。…あ、でも食べすぎないでくださいね。卵入ってるし、コレステロールの摂りすぎは体に良くないですから」

「これすて…?それは何ですか?」


 コレステロールで通じないんだ。認知されてないのかな?


「うーん…何ていうか、同じ物の摂りすぎは体に良くないって事です。食事はバランス良くって言うでしょう?出来れば一人一日一瓶までを目安に食べてください」

「なるほど…確かにそれはそうですね。最近家内に健康を心掛けろと怒られてしまいましたから…肝に銘じます」


 ギルマスは困り顔で笑う。ギルマスはそれなりに恰幅のよろしい人だ。奥さんが言うように、是非とも健康を心掛けてほしい。


「それじゃ、お約束のマヨネーズ三瓶です」

「これはこれは。銀貨三枚丁度です」

「ありがとうございます。…じゃあ、私達もう行きますね。ありがとうございました」

「いえ、此方こそありがとうございました。これからもどうぞお願いします」


 お互い挨拶を交わし、部屋を出て階段を下りる。


「あー、あと露店やるなら多分申請とかしないとだよね」

「なら、ついでにしちゃうの」

「そうするー。すみません、どこかで露店を開きたいんですけど…」

「出店申請ですね。場所は決めてありますか?」

「西の二番大通りなの」

「え」

「分かりました。ギルドカードの提示をお願いします」

「あ、はい…」

「ありがとうございます。…はい、大丈夫です。有効期間は一ヶ月ですので継続の際には更新手続きの方よろしくお願いします」

「はい」


 手続きを終え、カウンターから離れる。


「ティア、勝手に…」

「だって決めてなかったでしょ?西の二番大通りはそれなりに人通りがあって、飲食店が立ち並んでるの。何事も最初が肝心なの」

「…なるほど。確かに決めてなかったし…ありがとう」


 ティアにお礼を言って商業ギルドを出る。日は頂点を超えて若干西に傾いていた。


「はー、やる事済んだら急にお腹空いたぁ」

「同じく」

「かといって外食ばかりしてると食費が…。あーあ、家があれば自炊出来るのに」

「リオ、料理出来るの?」

「人並み程度だけどね」

「私は出来ないから尊敬するの。あと、旅をしながら料理したいなら魔道具を買うといいの。値段は張るけど」

「そんなのあるんだ?」

「うん。ご飯食べたら見に行く?」

「行きたい!」

「了解なの」


 やったー、楽しみ。今はまだ買えないけど、いつか稼ぎが安定したら買うんだ。モチベーションアップのために見るくらい良いよね!

 軽く食事を済ませ、そのままティアの案内に従い小さな店が立ち並ぶ通りにやってきた。


「ここら辺の店はみんな生活用品の他に魔道具を扱ってるの。色々なお店を回って欲しい物を見つけるの」

「なるほど」


 これこそ楽しむための買い物って感じだよね。ワクワクしちゃう。

 しばらくティアと様々な店を回り、そして見付けた。見付けてしまった。


「ねぇ、これって…!」

「それは魔力コンロって魔道具なの」


 コンロ!魔道具だから動力源はファンタジーな物なんだろうけど、見た目は元の世界でも見たコンロとほぼ変わらないんだね。


「いくらするのかな…」

「魔力コンロですからねぇ、最低でも金貨二十枚ってところですね」


 いつの間にやら近くに居た店主がそう言う。


「金貨二十枚…」


 うーん、やっぱり高いなぁ。


「魔力コンロはここらじゃ珍しい品ですから悪しからず…」

「あぁ、いえ。珍しい物なんですか?」

「えぇ。魔力コンロは魔道具職人が多く集まる国、クリフ王国くらいでしか生産されてませんからね」

「へー…」


 クリフ王国かぁ。ちょっと行ってみたいな。魔道具職人が沢山…って事は珍しい物が沢山あるって事でしょ?超ワクワクする。


「欲しいけど今そんなに余裕無いしなー…けど珍しいって事は今後クリフ王国に行くまで手に入らない可能性も…?」


 ブツブツと呟きながら悩む。と、ティアが突拍子も無いことを言い出した。


「買おうか?」

「え?」

「プレゼント」

「えっ!?いや駄目だよこんな高価な物!」


 あ、何かデジャブ…ってそんな事言ってる場合じゃなくて。


「…じゃあ交換条件。リオの作ったご飯、食べたい。あと、リオが駄目って言っても魔力コンロは買うからね」

「えー…そんなので良いの?」

「十分。マヨネーズがアレだけ美味しかったんだから料理だって…じゅるり」


 相変わらず食いしん坊ですねティアさん…。


「じゃあ、あの宿に滞在する間はずっとお昼作るよ。あそこ朝夜の二食だけだし」

「ほんとっ?やった!リオ大好き!」

「値段考えたら当然だよ。…むしろ足りないかも…」


 ぎゅーっ、と抱き着いてくるティアを他所にそんな事を考える。

 まぁ、その時は…儲けで資本金よりも手持ちが増えたら返すか…。


「店主、この魔力コンロ買うの!はい、金貨二十枚なの」

「ありがとうございます。…運べます?」


 店主は私達を見て若干心配そうな顔をする。ティアはまだしも、私までそんな目で見るとは。非力だと思われているのだろうか。


「収納持ちだから大丈夫なの。コンロ入れたらもう何も入らないけど」

「おぉ、収納持ちでしたか。それなら良かった。では、またお願いしますね」


 ティアと共に店を後にし、次いで市場に向かう。明日の昼食の材料を買うためである。


「何か食べたいものある?」

「強いて言うならマヨネーズを使った料理が食べたいの。リオが言ってたジャガイモと食べると美味しいってやつ、やってみたいの」

「オッケー、マヨネーズね。そうだ、マヨネーズの材料も買わないと…魔力足りるかな…」


 明日から始めるとしたら、つまり今から大量生産…。え、無理じゃない?


「マヨネーズって作るのに魔力いるの?足りないならポーション買ってあげようか?」


 私の呟きに反応したティアがそう提案する。


「ポーション!…異世界っぽい!」

「旅人の必需品なの。低級ポーションでも良いから数本持ち歩くといいの」

「ありがと、そうするね。市場で売ってるかなぁ」

「数店舗くらいなら日用品屋が入ってると思うからそこで買ったらいいの」

「そっかそっか、ありがと〜」


 そうして話している内に目的地である市場に到着する。


「えーと、まずは野菜を買って…それからお肉を見にいきます。最後にポーションを見ながら宿に帰ります。おけ?」

「了解なの」


 ティアにざっくりと予定を共有し、その通りに店を回っていく。


「…オーク肉…」


 肉屋まで回ったところで、順調だった買い物が止まる。目の前の肉に付いている値札には「一切れ銅貨二枚」の文字。それは別に良い。問題はその横に書かれた「オーク肉」という単語だ。

 想像されるのは二足歩行の豚。醜い容姿にダラしない巨体。こうして肉塊になっていればいけると思ったが、どうしても肉塊になる前の姿を連想してしまって食欲が湧かない。


「…」


 オーク肉から目を逸らし、その横のビックカウ肉に手を伸ばす。値段は一切れ銅貨三枚。オーク肉より若干高いが致し方ない。少しずつ慣れていこう。


「…オーク肉嫌いなの?」

「え?…うーん、嫌いっていうか…生きてる時の姿を想像しちゃって食欲が…」

「あぁ、慣れてないから仕方ないね。けど値段の割に美味しいからその内是非食べてほしいの」

「あ、はは…頑張るね…」


 この世界で生きるにはこんな我儘言ってられないって分かってるんだけどね。一文無しってわけじゃないから、つい。

 …一切れくらい買ってみる?


「お兄さん、オーク肉一切れとビックカウ肉二切れお願いします」

「あいよ、銅貨八枚だ」


 お兄さんに代金を支払い、大きめの葉に包まれた肉塊を受け取る。


「…あ!そうだ、なんか骨って残ってますか?鳥系の…」

「骨ぇ??んなもん何に使うんだ?」

「ちょっと色々と必要で」

「まぁ、鳥系の魔物の骨なんて捨てるだけだから良いけどよ」

「やった!ありがとうございます!」


 お兄さんに訝しげな目を向けられながらも無事骨をゲットした。良い感じに肉の残った骨だ。ニコニコしながら麻袋に仕舞った。


「───これがポーション?」

「そう。こっちの緑が回復ポーション、青いのがマナポーション」

「へー、綺麗だね。マナポーションは魔力回復?」

「うん」

「回復ポーションは分かるけど、マナポーションは何でマナっていうの?」

「…リオはどうしてトマトはトマトって呼ばれてるのか分かる?それと同じ」

「…なるほど、ごめん」


 そんな会話を交わしながら帰り際にポーションを買い、そのまま宿に戻り、私達は夕飯の時間になったらまた集まる事を約束してお互いの部屋に戻った。


「さて、まずは何しようかな」


 明日の昼食の準備?マヨネーズの生産?…いや、まずは一番時間掛かるアレからかな。

 ストレージから魔力コンロ、骨、ネギ、そして実は買っておいた小ぶりの鍋を取り出す。

 骨はしっかりと血合いを取り除きながら水で洗って…ナイフも使いながら適当な大きさに切ったり折ったりする。そうしたら鍋に水と骨、ネギの青い部分だけを一緒に入れる。後は一気に強火に掛ける。

 この魔力コンロ、見た目や使い方は普通のコンロとほぼ変わらないから有難い。違うとしたら側面に付いた宝石くらい。


「フンフンフーン…と、出てきた出てきた」


 灰汁が出たらしっかり全部掬う。残念ながらおたまやカス揚げ的な物は無いのでスプーンで頑張って掬う。


「よしオッケー。後は弱火でコトコト一時間」


 楽しみだなー。上手く出来るかな?


「んじゃ、マヨネーズ作り頑張りますか〜」


 材料よし!受け皿よし!マナポーションよし!瓶…は後で煮沸消毒するとして、とにかく準備は整った。いざ!

次回くらいにはやっと営業開始出来そうです。

さてはて、マヨネーズの売れ行きは如何に!

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