閑話1-1 姫絽《ひいろ》の、家族。
- 姫絽が、亡くなって数日が、経った頃 -
十和家では、晩ご飯中、こんな話が出ていた。
「ゆう~。あのね。今日のお昼頃、学校から連絡があって、日曜日で、構わないので、ご主人と一緒に、来て貰えないですか? って言われたの。」
「? え!? 姫絽、居ないぞ? 何でだ?」
「私も、分からなくて、友哉君の家に、電話掛けてみたのよ? そしたら、友哉君の家にも、学校から、同じような電話が、あったみたいで、困ってたわ。」
「分かった。ん。そうだな。丁度、日曜日、仕事休みだから、友哉君の家の方と、一緒に行こうか。今日は、もうかなり、時間が遅いから、明日の朝でも、聞いといてくれるか?」
「分かりました。」
そんな会話を交わしつつ、晩ご飯を食べていると、突然テーブルの上が光出し、その光が収まったら、テーブルの料理の上に、フヨフヨと浮かんでいる、手紙を、発見した。お互いが、問題ない事を、確認しつつ、裕樹が、手紙を取る。 そこには、亡くなった筈の、姫絽の字で、パパ・ママへ。と、書いてあり、裏の名前の所には、最高神だかなんだか、判らんが、テルデウスさん? の名前と、パパとママ子供の、姫絽より。と、書かれていて、真ん中には、なんか分からんが、変なマークが、付いていた。
「ひめ。姫絽からの、手紙が来た。この最高神? テルデウスさんの手紙も、一緒に入ってるみたいだ。読むか?」
混乱から落ち着いた、裕樹が、そう妻の姫華に、答う。
「・・・!?」
だが、妻の姫華は、まだ、混乱状態。
そこで、裕樹は、手を叩いて、姫華を、覚醒させる。そして、もう一度、答う。
「ひめ。姫絽からの、手紙が来た。この最高神? テルデウスさんの手紙も、一緒に入ってるみたいだ。読むか? それとも聞くか?」
「…聞きます。」
かろうじて、そう返事をした。姫華。
「じゃあ、読むぞ。ん? あれ? 姫絽の手紙がない。ああ、成る程…、まずは、最高神テルデウスさんの手紙を、読んでくれって事か。『姫絽君のご両親様へ、初めまして、儂は、君達の世界で言う処の神、最高神である。君達の世界の最高神という訳ではなく、いろんな世界を取り纏める神の間の最高神である。この度、この手紙を綴らせて、頂いたのには、訳がある。まず、姫絽君と、友哉君の死じゃが、儂のせいじゃ。儂が、書類を、ちゃんと読まず、死亡許可印を押してしまったが為に、2人は、亡くなってしまった。すまんと思っておる。この死亡許可がなければ、2人は、まだ、そちらの世界で生きていけた。そう、寿命では無かったのじゃ。それで、なのじゃが、寿命ではない2人は、まだ、輪廻の輪に乗ることが、出来ぬのじゃ。輪廻の輪に、乗れなければ、2人の魂が消えてしまう。そこで、神の間の議会が、こう決めた。2人には、異世界に転生して貰って、前世の分まで、楽しんで貰おうと、そして、今のご両親である、お2方に、最後の挨拶を、交わして貰える事になった。そして、姫絽君と、友哉君が、この度、巻き込まれたように、次回も同じ事が起きぬように、同じく議会で、儂の補佐を、今までの0人から、2人に、増やす事、各書類を扱ってる部署では、寿命の見えない者の書類作成や、関わる事の禁止。但し、運搬はそれに含まず。と言う法や、各書類を扱う、TOPの天使の不正が、あるかもなので、その補佐として、2名の天使の増員が、決定した。2人のお陰でこうも、法が変わってくれたので、2人には、儂の権限で、異世界で、困らぬようにと、色々と、加護など、付けさせて貰った。急で悪いのじゃが、明日、午後2時に、テレビを、ビデオモードと言うのかの? それにして、待っていれば、2人と、話す事が、出来るようにする。これが、最後のチャンスじゃ。勿論、記録して良いぞー。では、また、その時に、詳しく話そうぞ。』だそうだ。」
「ふ・ふざけないで~。なんで、娘を亡くして、こんな事、言われなきゃ、いけないの?」
その言葉を聞いて、裕樹が、慰めつつ、こう言う。
「次の、姫絽の手紙、聞かないつもりか? 少し落ち着け! な?」
「はい。すいません。姫絽の手紙、読んでください。」
「じゃあ、読むぞ。『パパ・ママ 今まで、ありがとうね。親不孝な娘で、ごめんね? 私と、友哉君は、そっちの世界に、戻ることが出来ないらしいの、さっき、お爺ちゃんに聞いたの。あ、お爺ちゃんと言うのは、最高神様なんだけどね、私と、友哉君は、寿命が来てないのに、間違って亡くなったから、地獄で、天国に行くか、地獄に行くか、振り分ける事が、出来ない魂に、なってしまったみたいで、そのままだと、魂が、崩壊? してしまうらしくって。だから、通常の、輪廻の輪に、戻るには、この魂のまま、転生するらしいの、それでね、お爺ちゃんが、私達の転生体《0才》の体を、作ってくれるらしくって~、友哉と、色々、お願いしたの。そしたら、神の間からも、最大限の事を、って言われて、私達の転生体は、向こうの世界でも、ないぐらいらしいの。お爺ちゃん、体を、作るの儂じゃから~、姫絽と、友哉の、じぃちゃんじゃ~よ~。って喜んでるの。パパと、ママに、最後に、お話出来るの、楽しみにしてるね。 姫絽。』だとよ。」
「!? え。嘘でしょ? 嘘だよね?」
「ま。良いんでね? 地獄に行くか、天国に行くか、振り分けられないから、転生させる。良いんでないかと、思うよ? それに、振り分けられてたら、地獄だったんじゃないかな? 親より、先に逝ったって事で、そうならずに、俺は、ホッとしてる。」
「あ。そうか。よく考えれば、そうかも、そう考えると、ホッとするね。」
そんな会話をしていると、いきなり、電話が鳴り出した。
- プルルプルルプルル -
「ホレなってるぞ? 学校のことで、友哉君とこの、友音さんが、聞きたい事、あるんでないか?」
「…わかった。出る。怖いから袖、握らせて。」
「あ。はいはい。」
そんな会話の後、姫華が、受話器を、取り、会話し出す。
「もしもし。」
『もしもし~。ひめかちゃん? 今、良い?』
「ん。大丈夫? 学校の事?」
『ん~ん。違う。晩ご飯食べてたら、いきなりテーブルが光って、テーブルの上に、友哉と、最高神様? の手紙が、浮いてて、それを読んで、奏さんと、家族会議して、もしかしたら、そっちもかな? と思って、電話掛けた。ごめんね?』
「良いよ? あの手紙、そっちにも来たんだ?」
『あ。やっぱり来てたの? 最高神様? の手紙読んだ後の、友哉の手紙で、笑ってしまった。』
「なんて、書いてあったの?」
『ん~と。「父さん・母さん 今まで、ありがとう。親不孝な息子で、ごめん! 俺と、姫絽は、そっちの世界に、戻ることが出来ないらしい、さっき、爺ちゃんに聞いた。あ、爺ちゃんと言うのは、最高神様なんだけど、俺と、姫絽は、寿命が来てないのに、間違って亡くなったから、地獄で、天国に行くか、地獄に行くか、振り分ける事が、出来ない魂に、なってしまったみたいで、そのままだと、魂が崩壊? してしまうらしくって。だから、通常の、輪廻の輪に、戻るには、この魂のまま、転生するらしい、それで、爺ちゃんが、俺達の転生体《0才》の体を、作ってくれるらしくって~、姫絽と、色々、お願いした。そしたら、神の間からも、最大限の事を、って言われて、俺達の転生体は、向こうの世界でも、ないぐらいらしい。爺ちゃん、体を、作るの儂じゃから~、友哉と、姫絽の、じぃちゃんじゃ~よ~。って、喜んでるぞ。父さんと、母さんに、最後に、話が出来るの楽しみにしてる。 友哉。」って、書いてあったわ。』
「あら、こっちと同じような、手紙だ。それで?」
『実はね、明日から、奏さん、出張だったんだけど、私の体調が、良くないので~、って1日、ずらして、貰ったみたいなの。それでね、一緒に、こっちで、観ないかなって?』
「ん~。分かった。聞いてみる。」
受話器を一旦置いて、姫華が、裕樹に、聞く。
「友音ちゃんと、奏さんが、明日、午後2時の奴、ウチで、一緒に、見ませんか? だって。」
「了解しといて~」
「ん。」
置いてた、受話器を取り、また会話を、姫華が、しだす。
「裕樹さんが、了解~。午後2時までに、そちらに伺います~。って、言ってた。」
『分かったわ。奏さんに、そう伝えておくわね。じゃ、明日ね~。』
「ん~。明日~。」
会話が、終わって、受話器を、戻す。姫華で、あった。
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《十和家》
十和 姫華 女
十和姫絽の母
姫華という名前の由来は、お姫様みたいな、可愛く可憐な女性に育って欲しい。という願いから、姫華の両親によって着けられたらしい。
姫華は、この名前をかなり気に入っている。
十和 裕樹 男
十和姫絽の父
裕樹という名前の由来は、勇気のある行動が出来、時には、木のようにどっしり構えて待っていられるような、そういう男性に育って欲しい。という願いから、裕樹の両親によって着けられたらしい。
《十城家》
十城 友音 女
十城友哉の母
友音という名前の由来は、友の心の声があなたに聞こえ、声に出さないで、心で助けを呼んでいるあなたの友達を助けるような、そんな女性に育ってね。という願いから、友音の両親によって着けられたらしい。
十城 奏 男
十城友哉の父
奏という名前の由来は、心からきれいな音を演奏する事が、この子に出来ますように。という願いから、奏の両親によって着けられたらしい。
次回、閑話、友哉の家族。
お楽しみに~!
誤字を編集しました。(2024/12/30)