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めぐる

作者: ソラ1

きえたい。誰も知らない世界で生きたい。早く消えてくれないだろうか、この思いが。

私の中に積もっていくこの願いはきっと、もう満タンになって心臓に貼りついて吸収しているのだろう。

そして血液の中に混ざって、身体中に運ばれていっているに違いない。今この瞬間にも。

それくらいに消えないのだ。もう何十年とこの思いと向き合っているが、一向に消えてはくれない。

もう生活の一部となっているから、不思議なものである。

私の知っている世界なんてちっぽけなものだ。

この前、ある画家の展示会に行った。

何階かは覚えていないが、会場が展望台の近くだったので景色がとてもきれいだった。

きれいだったのだ、とにかく。もちろん展示会も素晴らしかったが、景色が驚くほどきれいだった。

あぁ、私は何も知らないんだな。と心から思った。ありきたりだが、自分のちっぽけさにショックを受けた。そして無性に泣きたくなった。世界がこんなに広いこと、私は狭いところでしか物事を見ていないこと、そこで生きていく方法しか今は知らないこと、すべてのことが混ざり合って泣けてきたのだ。

学芸員の方に心配され、作品に感動されたのですねと見当違いなことを言われたが曖昧に笑うしかできなかった。

広い世界があることを知った今でも、血は流れ続けている。きっと様々な思いを乗せて。

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