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Live the Legend  作者: 姫鶴ミコト
6/6

5 族長達


昨日はいろいろな理由で眠ることができなかった。

あの生肉のせいで夜中に3度もトイレに走ったし、革袋を置いた場所が地面(・・)だったので常に背中に痛みが残っていた。

ほんとうに速く自分の全身が(・・・)入る家が欲しい………


背中を伸ばすように大きく伸びをしていると、ベノアが大きな葉でくるまれた何かを持ってきた。

なんと俺が寝ている間にほとんど全ての族長が集まっていたらしく、少しでも速く話し合いを始まる為にわざわざ木の実を持ってきたらしい。

開け方がわからなかったので仕方なく葉を破った所、中から出てきたのはドングリ(・・・・)のような木の実だった。

元の世界のドングリとほぼ同じ見た目に、同じような大きさ。

それがさも当然のように葉の上に置かれている。

確認の為に1つ手に取ってみる。皮の固さもドングリとほとんど同じだ。

皮を割って1個食べてみる。

食感はピーナッツみたいな感じで、何故か味がない。

ただただ空腹を満たす為の物のようだ。


20粒程摘まんだ後、もう一度ベノアを呼び、全ての族長を集落の近くにある開けた場所に集めるように指示した。

昨日みたいな顔も判別できないような暗い場所で話し合いなどできないからだ。

さて、どうやって話せば信じてくれるだろうか………









ーーーーーー

ーーーー

ーー











「皆さんはじめまして、サウスと申します」


改めて自己紹介から入る。

ほんとうは急な呼び掛けに答えてくれる族長はそんなにいないと思っていたのだが、意外にもこの森全ての族長が集まったらしい。

ゴブリンの族長 7名

オークの族長 5名

エルフの族長 1名

そして人馬(ケンタウルス)の族長 1名


オークは元の世界でのファンタジーに出てくる姿とは少し違い、プロレスラーのような引き締まった体に、短い牙を持った厳つい顔を持った人間に近い顔をしていた。


ケンタウルスの族長は鍛え上げられた人間の上半身に、競走馬のようにしなやかな馬の下半身。

今は座っているため身長はわからないが、2m50cm以上はある巨体だろう。


でもってこの中で1番魅力的なオーラを醸し出しているのがエルフの族長だ。

銀色に輝く美しい髪に、見たもの全員を魅了する顔つき。

元の世界のファンタジーの設定とほとんど同じだ。


その全員が俺を観察し、同種の族長と話したりしている。している。

まあ、当然だろう。

今は亡き長老様が召喚した、何処から来たかもわからない人間が、全ての族長を呼び出したのだから。

まあでも俺にはこいつらが何を考えてここにいるかはわからない。隙さえあれば殺してやろうと考えている奴もいるだろうし、興味本位で来た奴もいるかもしれない。

それでもここにいる全員が俺の出した召集に対し、何かしらの事を考えてここに来ていることは間違いないのだ。



「いきなり現れた僕の召集に応じてくださり感謝いたします。皆さんを呼び集めた理由はただ1つ、この森の近くで100人程の人間が目撃されたという報告があったからです」


ざわめきが起こる。


「森に入ってきたという報告はまだありませんが、長老様にこの森を守れという使命を仰せつかった為、あなた方族長に報告させていただきます」


「そうか……まだこの森を狙っているのか……」


ケンタウルスの族長が怒気を込めて静かに呟いた。


「1つお聞きしたいのですがよろしいですか?もしも人間共がこの森に侵入して来たとき、サウス様はどうなさるおつもりですか?」


うわっ、やっぱりスッゴい美人……流石エルフ族………動きの1つ1つがとても美しい……

駄目だ、話が逸れた、質問に答えねば。


「相手の出方がもよります」


「例えば?」


「いきなり襲ってくれば無力化し、対話ができそうなら話を聞いてみるつもりです」


「……………そうですか」


え?なにそのリアクション。駄目なの?

せめて何かしら言ってよ……


結局何に納得したのかはわからないが、エルフ族の族長はそれ以上俺に追及してくることはなかった。









ーーーーーー

ーーーー

ーー












とりあえず俺からの報告が終わった。

後はこの人達がどう動くかで変わってくる。

と、ここで急に俺の横からベノアが現れた。


「失礼、この度、長老様にこの森の支配者として召喚されたサウス様ですが、急に支配者が現れたことから認めることができないと思っておられる方もいらっしゃるでしょう。

が、人間がまたこの森を狙っているという事態に対し、長老様は対策としてこの方に全てを任せました。

はっきりお聞かせください、この方が支配者を名乗ることに反対される方はいらっしゃいますかな?」


おいおい、いきなり現れてヤバいこと言い出したぞ、このおっさん。

まあでも、俺もその事が聞きたいとは思ってたしちょうどいいか。

この質問に対し、族長達はいろいろなことを話し合っていたが、エルフとケンタウルスの族長は一度も口を開くこと無く、席から立ち上がり、帰っていった。


結果、ゴブリンとオークの族長達は席に残り、俺を支配者として認める考えを表した。

だがぶっちゃけて言ってしまえば賢いのは向こうだ。

急に現れた訳もわからない奴に全てを託すという行為は

ハイリスク,ローリターンになる場合が多い。

いつ起こるかわからない失敗を考えてびくびくするよりも、いままで通りに過ごす方がデメリットは少ない。


今の時点では(・・・・・・)、だけど


俺の何を信じてここに残ったのかはわからないが、俺はやれることを全力でやればいいということに変わりはない。


とにかく今からする事は何も変わっていない。

後は俺がどういう指示を出すか、だな。


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