初日の色は赤
──フィアルーセ・バックレーは現在17歳である。
優しくも厳しい母の願いにより一般の学生と同じ学校に通っている高校2年生だ。否、正確に言うなれば今日から高校2年生になるのだ。
今日から2年になるのか…
誰か友達いないかな?張り出されてるんじゃ見えないから見てもらわないと……
「フィル!」
「アリー…!!」
彼女の名はアポリーヌ・ダルラン、愛称はアリー。1年の時に出来た友人の1人だ。少々いたずらが好きな彼女だが、根は優しい。
「アリー、突然で申し訳ないんだけどさ…」
「ん、フィルはB組だよ!因みに私はC組だから離れちゃったねぇ…って、違かった?」
──そうそう、彼女は察しも良い。
「ううん、違くない!ありがとうねっ!」
「それは良かった!そうそう、B組にはマルゴもいるから教室についたらマルゴに頼むからね?」
「いつもありがとうね、アリー。今回もよろしく頼むよ」
私は1年間この学校に通い続けている。だから校内の各教室の場所は覚えているのだが、難点はスロープがなく階段というところだ。流石に階段はまだ怖い_だからいつもアリーに誘導してもらっていたのだ。
今回もアリーにお願いすることにしよう。
「マルゴー!!」
「お、アリー!!アリーもB組なのぉ?」
「いいや、私はC組だよ。B組なのはフィル!マルゴ、今年はフィルを頼んでもいいかな?」
「んんっ!もちろんいいよぉ♡フィルぅ、今年も宜しくねぇ!!」
彼女はマルゴ・アッティア。特徴的な喋り方をするため一部の人間には嫌われているようだが、悪い奴ではない。と、思う。
アリー同様去年同じクラスだったのだが、正直私は最初の方はマルゴと関わっていなかった。仲良くなったのは1年が終わるころだったので、まだあまり彼女のことを知らない。
「フィアルーセ・バックレー…フィアルーセ・バックレー…あ、あった!フィルはねぇ、ここの席だよぉ!」
くい、と軽く袖口を引っ張られる。それじゃあねぇ!と声が遠ざかっていく方向を見届ければスカートを整え静かに席に腰を下ろす。
はて、このクラスにはマルゴ以外に知っている人間はいるのだろうかと頭を悩ませる。
耳を澄ませば、耳馴染みのある声がいくつか聞こえる。
3,4人…と言ったところだろうか…
期待に胸を膨らませ、暇潰しに右手の人差し指をトン、と机に何度も押し当てながらリズムをとり、教師が来るのを待つ。
お読みいただきありがとうございます。
初めまして、松嶋です。
この話の舞台はフランスです。しかしフランス知識やフランス学校の知識は全く以てございません…
なので、学校の校則や習慣の設定は日本と同じ、ということにしておいてください。申し訳ないです
さて、この話に登場致しました人物を簡単に説明しておこうと思います。尚、フィアルーセ・バックレーに関しては省略致します。
アポリーヌ・ダルラン 女性
いたずらが好き。根は優しい。毎日磨かれているような綺麗な爪が特徴的。本人はケアなどはしていないと言うのだが真相は謎。フィルと仲良く、1年の時にフィルに出来た初めての友達。非常にフレンドリーで友人が多い。
マルゴ・アッティア 女性
特徴的な喋り方(語尾が伸びる)をする。その喋り方のせいで一部の人間には嫌われている。フィル視点悪い奴ではない。長く伸びた髪の毛の毛先をくるくるといじるのが癖である。少々お嬢様気質な面も。
新たな登場人物が増える度に書き記していくつもりなので、良ければ一読してみてはいかがでしょうか。今後人物の設定を踏まえた上で読んでみるとわかる点も出てくることでしょう。