表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/77

レアチーズケーキの話。

 レアチーズケーキの話。


 ある日母は、友人に教えてもらったというレアチーズケーキを作りました。

 ホールではありません。母はそれを大きめの保存容器にいれ、冷蔵庫で冷やしました。そうすることで冷蔵庫の場所はとりませんし、暫くは保存出来ます。後で皿に盛り皆で食べました。結構作るのは大変だとは思いましたが、あっさりしたその美味しさに私たちは虜になりました。


 暫くして又作ってとお願いしたら自分で作りなさい。レシピあるからと身も蓋もない答えが返ってきました。

 作ってわかりました。材料費が割とかかるのです。なので嫁に来てからも滅多に作りません。


 ある日、後に旦那様になる彼へプレゼントしようと思いつきました。

 蓋つきのカップに入れれば渡しやすいと考えたのです。彼の家族皆で食べてくれたら嬉しいですし、間違いなくこれは美味しいから安心だというのもありました。


 季節は春とはいえまだ寒いですし。多少暖かいくらいなら保冷剤があればなんとかなるだろうと、彼と会う前日の夜に作りました。

 滅多に作らない以上、家族の分も用意するのは当たり前だと材料も倍用意しました。

 次の日の朝、家族の幸せそうな顔を見て、これは彼も喜んでくれるかもと確信しました。私も最後の確認とばかりに食べました。うん、大丈夫だと思いました。



 用意もすませ、ドライブに行くというので迎えに来てくれるのを待つ間に、一度外に出ました。


 なんという陽気。暖かいのはいいけど、これは駄目だと私は呆然としました。昨日まであんなに肌寒かったというのに。

 車に置いておくのは危険だと感じました。レアチーズなのです。柔らかいのです。プレゼントで食中毒とかになったら笑えません。


 私は彼にレアチーズケーキを渡すのを諦めました。

 まあ彼に「作ってくるよ」などと期待させることは言ってはいないし、私はそのケーキを無かったことにしました。



 冷静に考えれば、彼が帰る時渡せばよかったのです。が、すぐ家に帰るとは限りませんし、弟たちに食べていいとがっかりしたまま言ってしまった以上、全ては闇に葬り去るしかありませんでした。



 さて、リベンジです。


 結婚後、旦那様に食べたいか聞きました。勿論と言うので作りました。


 出来上がり、上に少しだけブルーベリージャムをのせます。

 ふわふわなチーズケーキにブルーベリージャムはなんと合うのでしょうか。このジャムは本当に万能だなと思いつつ、旦那様を見ます。

 あっと言う間に無くなっていました。

 予想通り、気に入ってくれたのだと嬉しくなりました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ