アイスクリンの話。
アイスクリンの話。
アイスクリンはお祭りの屋台で昔から売っていました。今も見つけると食べます。
しかし調べてみますと、私が知っている『アイスクリン』と、皆さんが知っている『アイスクリン』は違うのではないかと思います。多種多様に存在するようで、これが正解というものは無いのでしょうね。きっと。
アイスクリンは昔の呼び名であり、アイスクリームとは少し違うようです。詳しくは調べてみてください。
しいて言えば『氷菓』に分類されるのでしょう。何せ私がよく食べたものは、乳製品を使いませんから。
ある冬の寒い夜。叔父さんが大きな鍋に綺麗な雪をつめておいでと言いました。
よくわからないまま、私たち姉弟は言われたことをしました。
一杯になったら叔父さんは雪に塩をかけ、小さな鍋をその中に半分埋めました。
皆で家に入り、叔父さんは寒い玄関で作業を始めました。小さな鍋には砂糖水が入っていました。叔父さんは砂糖水をかき混ぜ、完全に凍る前に皿に取り出してくれました。
私たちは暖かい部屋の炬燵でぬくぬくしながらそれを食べました。
ちょっと水っぽい氷のシャクシャクした舌触りと甘い砂糖の味。
暖かい部屋で冷たいものを食べるとか、いいですよね。
びっくりする程寒い日、炬燵にあたりながらあの時食べたアイスクリンを思い出しました。
旦那様に昔食べたのよと話したら作ればいいじゃないかと言われました。
雪は外に沢山あります。やろうと思えば出来ます。しかし、寒いのです。
そういえば作ってくれた叔父さんは寒さに震えていたような。しかもかなり出来上がるまで時間がかかったような。
多分叔父さんは雪を使ってお菓子が作れる。寒くても雪で遊ぼうと思えば色々出来るぞ、と教えてくれたのだろうなと今なら思います。
というより雪を使わなくてもいいじゃないか。冷凍庫を使えば簡単じゃない?と身も蓋もないことを考えました。風情が無さすぎる思考に、自らその案は却下しました。
私は寒さに負けたのです。今年は諦めました。
……いつか作る日はくるでしょうか。