豪快!男の料理?の話。
豪快!男の料理?の話。
ある年、旦那様は首都圏に単身赴任することになりました。
なんたることでしょう。連れていってくれない理由が、会社の寮は女人禁制だからというのです。
私は諦めました。
彼は自炊するから、簡単な料理を教えてくれと言いました。
私は炒飯ならよいのではないかと考えました。炒飯は男の料理という勝手なイメージもありました。
冷蔵庫にはベーコンと卵がありましたし、葱もあります。
材料を切り、卵をかき混ぜておきます。フライパンに油を少したらし、ベーコンと葱をいため、一度皿にあけます。同じフライパンに卵とご飯をいれ、強火でいためます。ベーコンと葱を戻したら更にいためます。
ここまでを何事もなく淡々と旦那様はこなします。
お主、なかなかやるではないかと時代劇のお武家様のような台詞が浮かびました。
程よい頃に私は、塩と胡椒を少々に醤油を少しかけてという指示を出しました。
旦那様は豪快に塩をかなり多めに投入したのです。私は唖然と立ち尽くしました。
今、君は何をした?少々と言ったではないか。と私は驚きのあまり絶句しました。醤油も使うからこそ、塩は少しと言ったのに。
出来上がった炒飯はとても美味しかったです。そう、美味しかったのですよ。奥さん。
彼は言います。
「僕の味付けはかなりのものだろう。調味料は少しずつ入れるものではない。味見してから足すのは危険だ。入れすぎになるからね。……僕は躊躇わないから」
待て!少しは躊躇え!頼むから!
彼が作った炒飯を前に、私は何故か負けたと感じたのでした。