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とたんに、沈黙が訪れた。

8割型、俺のせいだろう。俺が何とも言えないような、ドス黒い雰囲気を出しているからだ。

…でも、俺をそうしたのは悪魔だ。


突然態度が豹変した俺を、悪魔は怯えたように見る。


へぇ。怖いんだ…?



苛立ちで、どうにかなりそうだった。

思わせぶりな態度とか、行動をしといて、“好き”じゃないとか……マジあり得ないっ。



悪魔が俺を“好き”じゃなかった事に怒るなんて、傲慢だし滑稽だ。

嗤ったら良いんじゃないかな?きっと、楽しいよ?


音にしなければ、聞こえないとわかっていながら、俺は心の中で悪魔に言った。



俺は、静かに拳銃を構えた。

銃口は、もちろん悪魔に向けた。


悪魔の目は、死を前に怯え、震える。

綺麗な目から出た、涙と言う名の体液が頬を伝う。



「…悪魔って」


俺は、光の無い目で悪魔を真っ直ぐ見ながら、沈黙を破る。

銃口は悪魔に向けたまま。


「こんな銃で死ぬの?」


悪魔は、更に涙を溢れさせながらも、無理にニコリと笑い、


「うん。それ、対悪魔用だから。」


と、答えた。


何を笑っているのだろう。怯えてたんじゃない訳?



俺は、興味無さげに


「ふーん。」


と、言った。


正直、もうどうでも良かった。

全て、壊してしまいたかった。


あの男に追いかけられて、俺は自分を見失った。

悪魔と賭けをして、俺は自分を捨てた。

あの男を殺して、俺は精神を壊した。

悪魔との契約で、俺は…。



誰が悪いとか言う話じゃない。

俺が素直にあの男に殺されていれば、ハッピーエンドだったんだ。

…俺が道を間違えた。


俺が死んでいれば、死ぬのは俺1人だったんだ。



「…ごめんね。」


悪魔は、俺に言った。


「は?」


その意味のわからない謝罪は、俺の神経を逆なでした。


「…俺の存在がキミの手を汚させた。」


…意味がわからない。俺の頭がおかしかった。それだけでしょ?

死ぬ運命から逆らったから、たくさん代償として失った。そうでしょ?


「俺を殺せば契約は破棄って言うのも、キミが手を汚すのを促したみたいになっているし…。本当に、俺は…っ。」


「もう、いい。」


俺は悪魔の言葉は遮る。


そう言うのいらない。思わせぶりな事して期待させるのは、やめてほしい。



「最後くらい喋らせて?お願いだからっ。」


悪魔は、切羽詰まった顔でそう言ってきた。



俺は、


「黙れ。聞きたくない。」


と、突き放すように、酷く冷たく言った。



そして、俺は悪魔の言葉なんか待たずに引き金を引いた。

…銃口を自分の頭に押し当てて。


パァンッと、乾いた音が凄く遠くで聞こえた気がした。




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